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第69話
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満足するほど食べ、雰囲気を存分に楽しんだ杏は「帰ろう。」と言い始めた。
「杏、まだ体力あるなら行きたいところがあるんだが。」
「うん。行きたい。遠いの?」
「いや、車で30分くらいだな。」
「行ってみたい!」
連れて行きたかった場所は、俺の心をリフレッシュしたりなにかを決心したりするときに行く場所。
着いた場所は海。
「うわぁぁぁぁあああ!」
杏は初めて海にきたのかその壮大さに驚いていた。
「ねぇ、近くまで寄ってもいい?」
「あぁ、靴を脱いでそばまで行ってみようか。」
夏も少しずつ涼しくなりそうな季節。
ずぶ濡れにならなければ大丈夫だろう。
「海すごい!大きい!」
「そうだなぁ。」
「あの向こうは外国なんだよね!」
「あぁ。行けるさ。今度は初めから最後まで楽しい海外旅行に行こう。」
「うん。ずっと紫苑が隣にいてね。」
「勿論だ。」
散々遊び疲れた杏は階段の部分に座り水分補給をおこなっていた。
「紫苑はどうして俺をここに連れてきてくれたの?」
「海は…海をみるといつも自分の中がリセットされる気がするんだ。それは悪いこと、悩み事、浮かれていること、全てがスッキリしていい方向に進む。」
「大切な場所だね。」
「杏は今大きな岐路に立っているよな。だけど、俺はそれを応援することしかできない。そばで一緒にはできない。杏が決めたことを俺は見届けることしかできない。だから、杏が今まで持っていた過去の重りをなるべくここに置いていって、杏らしく物事全ていい方に進んで欲しかったんだ。」
「…紫苑。俺…ずっとずっと死にたかった。死んで楽になって何も考えないで一人でいたかったけど、紫苑にあって、紫苑と過ごすようになってから生きたいって思うようになったよ。まだ、怖いものも嫌なこともたくさんあるけど、前に進みたい。でも、そのためには病気と決着をつけなきゃなんだ。」
痛む喉元をガーゼで抑えている杏。
心は俺を受け入れても、散々裏切られてきた体はまだ受け入れてくれていないのだ。
自分でもどうなるかわからない。
その恐怖は本人が1番あるだろうに杏はそんなそぶりを全く見せない。
むしろ、表情が豊かになり感情がしっかり心と一致し始めたので、いい方に進むと考えたい。
「もし、俺が死んだら、新しい番を見つけて契約してねって本当は言いたかったんだけど…。」
「新しく番う気なんて全くない。俺の運命の番で生涯たった一人の愛する人なんだから。」
「ん。嬉しいね。照れる。」
「もっと嬉しくさせてやろう。」
少しずつ海の底に沈もうとする太陽を背に杏と唇を合わせる。
この柔らかさを知り、甘さを手放すことなんてできない。
神が杏を奪おうとするのに運命は逆らえるだろうか。
いや、ここにきたんだから物事はきっといい方向に進むだろう。
そしてついに杏は眠りについた。
「杏、まだ体力あるなら行きたいところがあるんだが。」
「うん。行きたい。遠いの?」
「いや、車で30分くらいだな。」
「行ってみたい!」
連れて行きたかった場所は、俺の心をリフレッシュしたりなにかを決心したりするときに行く場所。
着いた場所は海。
「うわぁぁぁぁあああ!」
杏は初めて海にきたのかその壮大さに驚いていた。
「ねぇ、近くまで寄ってもいい?」
「あぁ、靴を脱いでそばまで行ってみようか。」
夏も少しずつ涼しくなりそうな季節。
ずぶ濡れにならなければ大丈夫だろう。
「海すごい!大きい!」
「そうだなぁ。」
「あの向こうは外国なんだよね!」
「あぁ。行けるさ。今度は初めから最後まで楽しい海外旅行に行こう。」
「うん。ずっと紫苑が隣にいてね。」
「勿論だ。」
散々遊び疲れた杏は階段の部分に座り水分補給をおこなっていた。
「紫苑はどうして俺をここに連れてきてくれたの?」
「海は…海をみるといつも自分の中がリセットされる気がするんだ。それは悪いこと、悩み事、浮かれていること、全てがスッキリしていい方向に進む。」
「大切な場所だね。」
「杏は今大きな岐路に立っているよな。だけど、俺はそれを応援することしかできない。そばで一緒にはできない。杏が決めたことを俺は見届けることしかできない。だから、杏が今まで持っていた過去の重りをなるべくここに置いていって、杏らしく物事全ていい方に進んで欲しかったんだ。」
「…紫苑。俺…ずっとずっと死にたかった。死んで楽になって何も考えないで一人でいたかったけど、紫苑にあって、紫苑と過ごすようになってから生きたいって思うようになったよ。まだ、怖いものも嫌なこともたくさんあるけど、前に進みたい。でも、そのためには病気と決着をつけなきゃなんだ。」
痛む喉元をガーゼで抑えている杏。
心は俺を受け入れても、散々裏切られてきた体はまだ受け入れてくれていないのだ。
自分でもどうなるかわからない。
その恐怖は本人が1番あるだろうに杏はそんなそぶりを全く見せない。
むしろ、表情が豊かになり感情がしっかり心と一致し始めたので、いい方に進むと考えたい。
「もし、俺が死んだら、新しい番を見つけて契約してねって本当は言いたかったんだけど…。」
「新しく番う気なんて全くない。俺の運命の番で生涯たった一人の愛する人なんだから。」
「ん。嬉しいね。照れる。」
「もっと嬉しくさせてやろう。」
少しずつ海の底に沈もうとする太陽を背に杏と唇を合わせる。
この柔らかさを知り、甘さを手放すことなんてできない。
神が杏を奪おうとするのに運命は逆らえるだろうか。
いや、ここにきたんだから物事はきっといい方向に進むだろう。
そしてついに杏は眠りについた。
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