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その12 ライブに行ってみる
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それから一か月後の土曜日。その日の海斗と陸は繁華街にいた。店の宣伝のためのビラ配りのために出てきたのはもちろんだが、一番の目的は『Man made Lily』のライブのためだった。
「おおー、アイドルのライブなんて初めて来たが、すげえなこれ」
「なんだこれ……」
会場内に入ると海斗は観客の数に圧倒される。陸も慣れない人混みに少しくらくらする。
「結構人気みたいだな。女のファンもいるし」
海斗の視界に女性の姿がある。あたりを見回しながら二人は観客席の真ん中あたりに立つ。席と言っても観客は立って見るので席とは言えない。それでもその場にいる観客らは心待ちにしている。
「海斗、始まるぞ」
「おお、」
二人はやや身構えるようにステージを見る。そこに走るように現れたのは、三人のアイドル。アンナ、マリサ、ユズミだ。
「みんなー! 今日も来てくれてありがとうー! 『Man made Lily』の特攻隊長、アンナです!」
アンナはマイク片手に高らかに挨拶をする。
「『Man made Lily』のいたずらっ子、マリサちゃんだ! 今日初めて来てくれた人もありがとー!! 楽しんでってね!」
マリサも観客に叫ぶ。
「『Man made Lily』のお姉さん、ユズミです。僕達と素敵な時間を、すごさせてください!」
ユズミも名乗り出る。
「アンナー!」
「マリサー!」
「ユズミー!」
観客らは彼女ら、もとい彼らを見て熱狂する。
「結構いいなこれ。しかもかわいい! ちょっとアンナ好みかも」
「ああ、可愛い」
海斗と陸は三人、特にアンナに惹かれる。
「それでは最初の一曲、『天使は泣いてない!』をお聞きください!」
アンナが曲名を言うと曲が流れ三人は歌う。観客らと海斗と陸はそれを楽しむのだった。
※
「ありがとー! また来てね」
ライブが終わると握手会に入る。アンナはファン達と握手をしていく。
「……ん? ええ!?」
アンナは次に握手をする相手の姿を見て驚く。それは以前ネット記事の写真で見た中華屋のイケメン店員、陸だった。
「はじめまして……」
陸は照れながら挨拶する。
「あ、ああはい! はじめまして!」
アンナは陸の顔を見て、そのまぶしさに驚きつつ握手する。
「こんちは。俺も今日初めてきました」
「あ! こんにちは!」
陸との握手の後に来たのは陸と同じように記事に出ていた海斗だった。
「俺とさっきの奴、陸の店、『青月堂』に来てくれよな。陸の飯うまいから」
「はい、行きます……」
海斗とも照れながらアンナは握手する。握手を終えると海斗は去っていく。
(なんで「青月堂」のイケメン店員が来たの!? 営業!? ここで!?)
アンナは笑顔を見せつつ、内心驚きしかなかった。
(アンナちゃん、あのイケメン二人に結構ニコニコしていたような……まさかああいうのが好み?)
握手の列の奥で、幸男もその光景を見ていた。
「おおー、アイドルのライブなんて初めて来たが、すげえなこれ」
「なんだこれ……」
会場内に入ると海斗は観客の数に圧倒される。陸も慣れない人混みに少しくらくらする。
「結構人気みたいだな。女のファンもいるし」
海斗の視界に女性の姿がある。あたりを見回しながら二人は観客席の真ん中あたりに立つ。席と言っても観客は立って見るので席とは言えない。それでもその場にいる観客らは心待ちにしている。
「海斗、始まるぞ」
「おお、」
二人はやや身構えるようにステージを見る。そこに走るように現れたのは、三人のアイドル。アンナ、マリサ、ユズミだ。
「みんなー! 今日も来てくれてありがとうー! 『Man made Lily』の特攻隊長、アンナです!」
アンナはマイク片手に高らかに挨拶をする。
「『Man made Lily』のいたずらっ子、マリサちゃんだ! 今日初めて来てくれた人もありがとー!! 楽しんでってね!」
マリサも観客に叫ぶ。
「『Man made Lily』のお姉さん、ユズミです。僕達と素敵な時間を、すごさせてください!」
ユズミも名乗り出る。
「アンナー!」
「マリサー!」
「ユズミー!」
観客らは彼女ら、もとい彼らを見て熱狂する。
「結構いいなこれ。しかもかわいい! ちょっとアンナ好みかも」
「ああ、可愛い」
海斗と陸は三人、特にアンナに惹かれる。
「それでは最初の一曲、『天使は泣いてない!』をお聞きください!」
アンナが曲名を言うと曲が流れ三人は歌う。観客らと海斗と陸はそれを楽しむのだった。
※
「ありがとー! また来てね」
ライブが終わると握手会に入る。アンナはファン達と握手をしていく。
「……ん? ええ!?」
アンナは次に握手をする相手の姿を見て驚く。それは以前ネット記事の写真で見た中華屋のイケメン店員、陸だった。
「はじめまして……」
陸は照れながら挨拶する。
「あ、ああはい! はじめまして!」
アンナは陸の顔を見て、そのまぶしさに驚きつつ握手する。
「こんちは。俺も今日初めてきました」
「あ! こんにちは!」
陸との握手の後に来たのは陸と同じように記事に出ていた海斗だった。
「俺とさっきの奴、陸の店、『青月堂』に来てくれよな。陸の飯うまいから」
「はい、行きます……」
海斗とも照れながらアンナは握手する。握手を終えると海斗は去っていく。
(なんで「青月堂」のイケメン店員が来たの!? 営業!? ここで!?)
アンナは笑顔を見せつつ、内心驚きしかなかった。
(アンナちゃん、あのイケメン二人に結構ニコニコしていたような……まさかああいうのが好み?)
握手の列の奥で、幸男もその光景を見ていた。
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