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8,領主の屋敷

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リョウタ視点。エロ無し。夫婦の日常。たまにこういうの書きたくなります


 ナナは嫁いできた日からよく働いてくれている。料理は作らせると美味いし、普段の家事も使用人達にアドバイスできるレベルにできたりした。
「これ俺の地方の定番飯だよ」
「窓は新聞紙使ったほうが綺麗になるよ」
兄弟二人と使用人数人でどこか味気ない屋敷がちょっとだけ明るくなったように思えた。
政略結婚は花嫁の実家に嫁ぎ先の情報を横流しされる可能性もある。これはそれをするための作戦か?
「ナナ。今日の夕飯なんだ?」
「ああ、ビーフシチューです」
「お! ナナの美味いんだよなぁ」
ハヤトは今日の夕飯を知って喜ぶ。以前は食事自体には何も興味ないって感じだったのに。
「ナナは家事も料理も慣れているみたいだが、なんでだ?」
「あ、俺の実家使用人雇うような金は無くて、家事とか自分達でやってたんだ。貧乏貴族にはよくある話だよ」
僕が訊くとナナは笑いながら言う。
「きっと俺の両親は今頃使用人を雇ってるかも。俺が来たことで向こうには仕事も金もたくさん入ったと思うから」
ナナは少し寂しそうにも見える。
「俺はナナが来てくれて嬉しいぞ。うちが賑やかになったみたいに思える」
「ふあ!?」
ハヤトは笑いかけてナナに抱き着く。
「……俺、ちょっとでも早く屋敷での生活とかこっちの街に慣れたいから出来ること色々やってるけど、リョウタさんには迷惑だったかな?」
ナナに不安げな目線を向けられる。僕がナナを警戒しているのを気付かれていたのかもと気付く。
「……いや、ありがたい」
「リョウタさん?」
「ハヤト、ナナから離れたほうがいいぞ。飯の仕度出来ないみたいだ」
僕はナナを信じてもいいかもと思うのだった。
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