上 下
24 / 66

No.23:「おっぱい5センチあげるから」

しおりを挟む
「んーーーーおいしーーーー」

 山野は俺の目の前で、このカフェの名物
「ウルトラメガスーパーマックスジャンボパフェ」
 なるものを、ものすごい勢いで食べている。
 プロレスの技か?

 パフェの高さは55センチ。
 最初に店員さんが運んできた時、パフェの先端は小柄な山野の目線のはるか上だった。
 山野はスプーンを手に取るといきなり立ち上がり、「いっただっきまーーす」と言うが早いか、パフェの上から食べ始めた。

 制服を着た見た目が中学生のツインテールロリっ娘が、立ちながらドでかいパフェを上からぱくぱくと平らげていく。
 その巨乳がパフェに触れそうで山野も食べにくそうにしている。
 こうしてみると山野自身、くりっとしたネコ目でとても愛らしい。
 さすがは美少女3トップの一角だ。

 当然店内の注目を一身に集めている。
 大半が男性客だが。

「かわいーな、おい」
「胸がパフェにあたるぞ」
「俺が胸を持っといてやる」
「いや俺が」

 半分ぐらいは危ない奴らだった。

 それにしても、食べるスピードが早い。
 そのちっこい身体のどこに入っていくんだ?
 しかもめちゃめちゃ美味そうに食べるので、見ていて気持ちがいい。

 5分前後で半分くらい平らげ、ようやくそこから座って食べ始める。
 子供みたいに夢中に食べている。
 口の周りがアイスで少し白くなっていて、見方によってはちょっとエロい。
 大きなバナナは口の中に入りきらなかったらしく、そのまま「んくっ、んくっ」と少し喉をならしながら口の中でアイスを飲み込んでいる。
 18禁のレベルだ。
 周りの男性客の目が血走っている。

 残り少なくなってきた。
 もう少しゆっくり食べればいいのに。
 案の定、スプーンからアイスがこぼれた。
 言わんこっちゃない。

「やんっ」と山野は声をあげる。
 アイスが濃紺の制服のお腹の部分に、白く広がってしまった。

「あーもうー、大山君てばー。制服の上には出さないでって言ったのにー。しょうがないなー」

「お前やめろ!」

 周りの男性客のみならず、店員まで全員俺に視線を向けた。

「まあまあ、細かいことはいいからさー」
 ナプキンで制服を拭きながら、山野はさらりと流す。

「お前、わかってやってるよな?」

「さー、どうだろうねー」
 山野はへらりと笑う。
 やべえ、こいつ殴りたい。

「ごちそうさまーー。本当に美味しかったー。しかも大山君のオゴリだから、余計に美味く感じたよー」

 そうなのだ。
 山野は「ここは大山くんのオゴリねー」と言って、俺をこのカフェに連れてきた。
 そして山野は「ウルトラメガスーパーマックスジャンボパフェ 2,350円」を躊躇なく注文しやがった。
 俺がおごることも、パフェのネーミングも、価格設定も全ておかしい。

 俺は自分が注文したコーヒーを一口飲む。

「それにしてもすげー食べっぶりだったな。食べ始めてから15分も経ってなかったぞ。あんなでかいもの、その小さい体のどこに入っていくんだ?」

「まあねー、甘いものは別腹って言うしねー」

「別腹っていうレベルじゃねえ」

 55センチのドでかいパフェが、ロリっ娘の体内に吸い込まれていく。
 その様子は、まるでイリュージョンだ。

「はあ……でも本当に、もう少し背が高かったらなぁ……ねえ大山君、身長5センチくれない? おっぱい5センチあげるから」

「いらんわ! もらっても、活用できん」

「ひなも雪奈みたいに、バランスの取れた美少女に変身できないかな……」

 そうだ。桜庭の話だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

神絵師、青春を履修する

exa
青春
「はやく二次元に帰りたい」 そうぼやく上江史郎は、高校生でありながらイラストを描いてお金をもらっている絵師だ。二次元でそこそこの評価を得ている彼は過去のトラウマからクラスどころか学校の誰ともかかわらずに日々を過ごしていた。 そんなある日、クラスメイトのお気楽ギャル猿渡楓花が急接近し、史郎の平穏な隠れ絵師生活は一転する。 二次元に引きこもりたい高校生絵師と押しの強い女子高生の青春ラブコメディ! 小説家になろうにも投稿しています。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

野球

moon
青春
甲子園を目指して野球部に入部した。 健二の成長物語

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

ぼっちの俺にはラブコメは訪れないんですか?

最東 シカル
青春
 ぼっち高校生、芦田武流。  彼は小さい頃から陰キャでぼっちである。だが、芦田の周りに居る人間は彼とはほとんど正反対である。同じ親なのに容姿が似ても似つかない美少女の妹。因縁の2人の幼馴染。同類の女の子。そして・・・・・  ぼっちに不満はない。彼本人は強がりとかではなく、本心でぼっちは楽で良いと思っている。だがなんか噛み合わない。自分にはもっと何か出来る。そんな感じ。  そしてある日、一人の少女が彼の自宅の前に立っていた・・・ 「あの、、家に何か用ですか?」 不審者少女とボッチ高校生が今、出会う。

処理中です...