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王専属の娼婦2※

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 大きな両手に尻を目いっぱい開かれ、後孔には舌と指が侵入している。ぬるぬると舐め回され、差し入れられた指は腹側を時折刺激する。
 尻から蜜の袋、そして陰茎を伝った夫の唾液がぱたぱたと敷布に落ちた。

「……今宵も甘いな。メレの香油が蜜のようだ」

 尻を解放され、ユノンはぐったりとうつ伏せに倒れ込んだ。性器の裏を押されて強制的に勃起させられ、股間は痛いほどに熱い。
 身に着けていたものをすべて脱いだタリアスは、唇を舐めながらユノンを見下ろしていた。

「お前は恐ろしい子だよ。本当に、私と同じ男という生き物とは思えない。美しい顔立ち、しなやかな四肢、小さな尻、慎ましやかでありながら貪欲な蕾……」

 再び両方の尻たぶを掴まれた。ぐにぐにと広げられ、揉み込まれ、唾液と仕込んだ香油が漏れた後孔がぐちぐち濡れた音を立てた。

「……うっ……あん……」
「お前は湖の精霊ではないのか? いつか向こうの世界へ帰ってしまったりしないだろうな?」

 力を入れて限界まで尻を割り広げられ、恐怖を感じたユノンはタリアスを振り返り否定した。

「僕は、カザカルの一国民です。幼い頃から、僕をご存知でしょう? 昔、僕はただの子どもでした」

 あのお方によくお仕えするようにと教わり育てられた。兄のようなタリアスを慕ってはいたが、このように淫の限りを尽くすように身体を合わせることになるとはあの時は想像もつかなかった。
 ただ楽しく、兄弟のように日々を過ごしていくものと思っていた。夫婦というものの関係性を理解していなかった、あの頃は。

「ああ、知っているよ。にこにこと愛くるしい少年だった。あの子を、こんな風に淫らに抱く日が来るとはな。当時の私も、考えもつかなかったことだ」

 ぐにぐにと尻を弄んでいた手が止まった。
 萎むような語尾に、ユノンはタリアスが悲しんでいるのかとふと心配になった。
 起き上がり、タリアスに向き合う。

「タリアス様……?」
「ユノン、私はお前を汚しているのか? 私の欲望をお前に向けることは、お前にとって苦痛か?」

 タリアスの瞳は不安に揺れている。まるで、それこそ幼い子どものように、何かに縋りたがっている。

「私は、お前をきちんと愛せているか? お前は私を嫌い、どこかへ行ってしまったりしないだろうな?」
「嫌うなどと」

 タリアスからこんな弱気な言葉が出たことはない。
 ユノンは驚き、返す言葉に惑う。すぐに否定してやりたいが、タリアスの心中が察し難い。

「タリアス様、ユノン様は毎夜たいそうお悦びになっているではありませんか。私の目にはそう見えますよ」

 傍観していたミロが横から口を挟んだ。ちらりと横目で見られ、ユノンも同調する。

「はい。僕は、お恥ずかしながらタリアス様から教えていただくことがほとんどで。……戸惑うことも多くありますが、何度も申し上げております通りこの身体を愛していただくことが最上の幸せなのです」

 これまでも何度か口にした言葉を再び述べた。タリアスの心は震えている。何かに怯えているのだろうか。
 いつも自信に満ちた彼がこんな風にしおらしく誰かに縋ろうとする姿は、心が痛んだ。
 少しでも心が晴れればいい。この身体を愛好されることが最上の幸せであることは真実だ。妃であるユノンにとっては――。

「ではお前は、ライルの元へ走ったりはしないな? 私の妃として輿入れしておきながら、気持ちは他の男の元にあるなどと。そのようなことは、断じてないな?」

 時が止まった気がした。まっすぐに交わったタリアスの瞳から、逃れられない。
 タリアスの隣から射るように視線を送ってくるミロは、ユノンの次の言葉をじっと待っている。
 緊張で喉がひりつく。指先が震えそうだ。それでも、耐えなければ。この身体はタリアスのもの。王の所有物。そのことを自らの唇で述べればいい。

「……僕は、いつもあなた様とともにあります。あなた様をお支えし、身も心もご満足いただけるようお仕えします」
「そうではない。ユノン、お前の心はどこにある?」
「ここにございます。しっかりと、あなた様のおそばに」

 ユノンは胸を押さえた。タリアスの表情は晴れない。
 腕が伸びてきて、押し倒された。感情も読めないままに、下着ごと乳首を唇に含まれた。

「痛……っ」

 甘噛みかと思いきや鋭い痛みが走り、ユノンは顔をしかめた。タリアスが唇をつけた方の布がかすかに赤く滲んでいる。
 意図的に傷つけられたのだ。そう気づいたそばから引っ張られるように身体を起こされ、後ろに回ったタリアスの雄を尻に挟まれる。

「タリアス様……?」

 展開が早くて、理解がついていけていない。それでもまるで引きずられるように、ユノンはタリアスの言いなりになるしかないのだ。

「ミロ」

 控えているミロの名を呼び、タリアスはユノンの萎れた雄を握り込んだ。

「あ、タリアス様、何を」
「かしこまりました」

 タリアスはユノンの問いには答えない。ミロは目を輝かせて返事をすると、身に着けているものを脱ぎ始める。
 そうか、とユノンは悟った。
 タリアスはユノンに、ユノンが今最も望まないことをさせようとしている。
 握り込んだ雄が扱かれた。

「あっ、あっ、あん、やあ……」
「ふふ、ユノン様。早く大きくなって。いつでも僕の中に入っていらしてくださいね」

 艶めく先端に軽く口づけ、全裸になったミロは寝台に上がった。先ほどのユノンのように後ろ向きに四つん這いになり、尻を突き出す。
 淡いには黒く太い杭が刺さっており、ミロは後ろ手にそれをゆっくりと抜いた。ぐぷり、と透明な汁が溢れ、肉の壁がはくはく蠢く。まるで蜜の湧く魔法の泉だ。

「……ん、あん……。さあ、ユノン様、どうぞ……」
「あっ、あ、タリアス様、おやめください……あうっ!」

 ずぶり、と後ろに太い亀頭がめり込んできた。
 嫌なのに、逃げたいのに、早く奥まで入って来てほしくてユノンの腰は後ろに擦り寄るように動いてしまう。

「……はあ、ああっ、あ、あ……」

 みちみちと詰め込まれるにつれ、自らの幹も硬度を増していく。ユノンは口の端から唾液を垂らし、目をつぶった。
 何も見ていたくなかった。

「ミロ、入れるぞ」
「はい」

 タリアスとミロの声が聞こえ、身体を前に押し出された。

「あああっ、ああ――!」

 ぐちゅん、と一息に呑み込まれた。よく解された柔らかなミロの内側は、待っていたと言わんばかりにユノンをきゅうきゅう締め上げる。

「あんっ、あんっ! やだあ、抜いて、だめ……あ、ひゃあ、ああ……!」

 後ろから突かれ、前に深く入り込む。タリアスの先端にいいところを擦られ、ミロの蠕動に射精を促され、ユノンは行き過ぎた快楽に悲鳴を上げ咽び泣いた。

「や、だぁ、……っあ、ひゃんっ、やんっ、あうう……」

 痛む乳首を後ろからぐりりとつねられ、ユノンは「ひいっ!」と目を剥いた。

「お前を自由にできるのは私だけだな、ユノン」

 熱い息が耳にかかる。

(だめ。だめ……これ以上嘘は積み重ねたくない)

 絶対に頷けない。だったら、狂った振りをするしかない。
 ユノンは髪を振り乱し、暴力的な快感のままに悲鳴を上げながら身を捩った。ミロが結んだリボンが敷布に落ちる。

「あ、ああっ……いや、いや、抜いて、だめ、出る……っ」

 射精感がせり上がる。中に出すまいと腰を引くと、タリアスが深く刺さってしまう。

「ひんっ」
「出しなさい」

 タリアスがミロの腰を掴み、ユノンを一際強く突いた。

「やああっ、やだあ……!」
「あん、ユノン様、熱い……。ひっ、あああん!」

 中に出してしまった。一瞬遅れ、ミロの身体もビクビク跳ねる。ぎゅううと一度強く締め上げられ、搾り取られた。
 解放されるかとタリアスの胸に寄り掛かったが、律動は止まらない。出した精液がミロの尻の間で白く泡立っている。

「……えっ、タリアスさま、いや……」

 訴えは退けられる。

「やんっ、やだやだ、だめ……!」
「あん、あ……あっ、ふあ、あ……ユノン様の精、なんだかちょっと、薄いような気がします……」

 ミロが顔を後ろに向けて喘ぐように笑った。その表情に、ユノンはみぞおちの辺りが一瞬ひやりとした。
 ミロはそのまま顔を敷布に押し付け、尻だけを高く突き出した体勢になる。ぐぷ……ぐちゅ……と白濁でびしょびしょに濡れた尻のあわいが、薄明りに生々しい。

「や、あ、あ……」

 良すぎて辛い。この感覚は初めてではない。タリアスは、こうやってユノンに罰を与えるのだ。

「助けてください、タリアス様、お願い……」
「だめだユノン。何も考えられなくなりなさい。今この瞬間の、まぐわいだけに集中しなさい」
「そんな……」

 ぐりぐりと内を抉られ、その度に雄を扱かれ、苦痛にも近い耐えがたい快楽が続く。
 絶望に似た気持ちで二人の男に挟まれてよがり泣く。こんな自分を哀れだと嘆く余裕さえもうなかった。

「あん、うあんっ、……あ、あ……!」
「ユノン様、もっとです、もっと、ください! 私の深くまで、もっと注いで……!」

 振り返るミロの顔も焦点が合っていない。淫靡に笑う口元には唾液が垂れ、彼も我を失うほどに接合にはまり込んでいる。

「ユノン、忘れなさい、今このまぐわいに関係のないものはすべて、忘れるのだ……!」

 タリアスが血の滲むユノンの乳首をぐりりとくびった。

「あああっ!」

 びくん、と身体が跳ね、また達してしまったことを悟った。痛みからでさえも快楽を汲み取ってしまうようになった己の肉体が恐ろしい。
 行為の終わりは見えず何度も中に精を注がれ、ぬかるみから雄を引き抜き引き抜かれることを許されたのは夜が明け切ってからのことだった。


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