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それぞれを縛るもの2※
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「お前の快楽に悦ぶ顔、屈託なく笑う顔、嫌がって悲しむ顔、恐怖に歪む顔、絶望する顔、泣き顔――そのすべてが見たい。すべてのお前を私のものにしたい。
まったく本当に、最初から私一人のものにしておけばよかった。ライルとの重婚など、許可しなければよかった」
――すべてのお前を私のものにしたい。
この言葉には覚えがある。とても理解できる。共感できる。
(タリアス様は、僕を本当に愛してくださっているのかもしれない……)
心を、見えない何かで貫かれたように思った。溢れ出すのは生ぬるい血液でなく、冷たい冷たい、凍てつく冬場の湖水だ。
「さあユノン、私になら教えてくれるだろう? お前の身体で一番辛いところは、どこかな?」
貫かれた心からは冷たいものが溢れ出すのに、身体は芯から火照っている。刺激を求めて無意識にびくびく震える胸を突き出し、ユノンは観念した。
「……ここです。乳首です。どうか、触ってください。うずうずして、たまらないのです……」
理解し難くて、頭が破裂してしまいそうだった。
最近ではミロとともにまるで玩具のような扱いを受けていたのに、タリアスは自分を独り占めしたいと述べるほどに愛している。
愛する人間になぜそのような仕打ちをと思うのに、タリアスの言葉に嘘はない。これには確信が持てる。なぜなら、最も愛しい人に対する自分の感情とまるで同じだから。
すべての表情を知って、すべて独り占めしたい。身も、心も――。
「いい子だ」
タリアスは言い、ユノンの背後へ目くばせした。途端、ずっと触れもしないのにぷくりと膨らんでいた乳首についに甘い刺激が走った。
「あ、あん……!」
ユノンは一際高く声を上げた。ずっと待ちわびていたものをもらったのだ。
「あん、あああっ、ふあ……」
「ふふ、ユノン様、ここへ来てまで強情を張らないでください。私も、どこまでもあなた様にお仕えさせてください」
ぎゅう、ぎゅう、と乳首から何かを絞り出すように、薄い乳房を揉んでからくびられる。
この動きは、タリアスやライルが授乳の練習だとふざけて胸を弄る時のものだ。
「どうです? 私も最近はタリアス様とユノン様の、とてもお美しい情交をつぶさに見ておりましたから。……上手でしょう?」
胸をいじめられながら、明らかな意思を持って尻に固い棒が擦り付けられている。興奮すれば、小さな下帯からはすぐにはみ出てしまうのだろう。
棒の先端はぬるつき、ミロの息は荒い。
「やんっ、やめ……ああんっ!」
屈辱的だ。それなのに、上も下もどうにもしようがない。
乳首は本来なら痛いほどに力を入れてくびられている。それなのに、今のユノンが汲み取るのは激しい悦だけだ。
胸を絞られるほどにびくんびくんと腰までもが動き、自らの意に反してさらに男を誘うような動きを見せる。
「ああっ、ミロ、だめ、やめて……」
「ユノン様のお尻、とてもお可愛らしくていやらしい。跳ね返すような固い弾力があって、けれどもちもちと柔らかくて。私も、あなた様の中にもぐり込みたいくらいです……」
半狂乱で首を左右に振り立てると、顎を掴まれ正面を向かされた。
つぶっていた目を開けると、タリアスの明るい色をした美しい瞳とぶつかる。
ユノンは今の過酷な状況も忘れ、一瞬だけ見入ってしまった。
「……昔、今のお前のように拘束された、見目麗しい若い男を見た。まだ父上がお元気だった頃の話だ」
「え……?」
こんな時に昔話かとたじろいだが、タリアスの瞳はユノンを突き抜けてまるで遠くを見ているようだった。
「……あ、あっ、なぜ、そのようなお話を……?」
ミロの手の動きが緩やかになる。強い搾乳の動作でなく、優しく胸を揉んでいる。再び刺激が足らずもどかしいことになってしまったが、ユノンは荒く息をつきながら必死に耐えてタリアスの話に耳を傾ける。
「私が女を知る前のことだ。初めて見た性的なものが、父と男妾の睦み合う姿だったのだよ。その衝撃は、当時の私には凄まじかった」
タリアスはユノンの前に胡坐をかき、甘い飴玉のような瞳で見上げ、語る。
タリアス第一王子は、父の蔵書が読みたかった。父王はとても勤勉で、城の図書室の他に寝室の片隅にも大きな本棚をいくつか置いていた。その父の血を濃く継いだタリアスが本を愛するようになるのは、自然なことだった。
タリアスはいつものように戸を叩いてから父王の部屋へ入った。父の不在時は勝手に入室し本を探し、持ち出してもよいと許可を得ていた。その代わり、本以外の一切のものに触れてはならない。
忠実に父との約束を守り、入室した後は本棚しか目に入れなかった。しかし目当てのものはなかなか見つからず、その上少年の興味を引く面白そうなものは無限にある。
タリアスは床に寝そべりながら何冊かを読み漁るうちに、つい寝入ってしまった。
どれだけ時間が経ったかわからない。父王の部屋へ来た際は夕食後で、まだ夏の日は高かった。しかし目覚めれば部屋の中は暗い。
やってしまったと思いながら慌てて身体を起こすと、何やら苦しげな声が聞こえてくる。父の声ではない。おそらく、若い男だ。
(嘘だ。まさか……)
全身から血の気が引いた。まずいところに居合わせてしまったのだと、本能的に気付いたのだ。
少年は本棚の重なり合った陰にひたすら静かに横たわっていたので、存在を気付かれなかったのだろう。
大理石の床に、橙色の光がちらちらと揺れて本棚の陰まで伸びていた。
見たくない。でも、気になる。
少年はとうに精通は迎えているし、どのようにして子が生まれるのかも知っていた。来年になれば年上の若い女に手ほどきを受けることにもなっており、その日を密かに心待ちにしている。
タリアスは恐る恐る本棚の陰から顔を出した。そして、思わず自らの口を手で覆った。
側卓に乗せた燭台に照らされた父の大きな寝台。そして、緩んだ裸の男の後姿。明らかに壮年の、これは父だ。その父が愛おしそうに撫でまわす、縄で縛られたもの。
それは寝台の中央に置かれ、天蓋から吊るされた縄で両手首の自由を奪われているようだった。
(あれは……ギャラか……?)
喉まで出かかった声はどうにか呑み込めた。
父は男妾ばかり数人もっている。その中でも一際気難しそうなギャラを溺愛していることは幼い頃から知っていた。
タリアスはかねてからギャラを好ましくなく思っていた。美しく賢い母がいた時分はもちろん、彼女が長く続く流行り病にみまかってからというもの、父は悲しむ間も惜しむようにギャラとともに時間を過ごすようになった。
しかし、こうして父が寵愛する妾と愛し合う姿を見せつけられるのは当然ながら初めてだった。ギャラはいつも、父といる時でさえ王子たちには慎ましく事務的に接した。
極めて丁寧だがまるで感情などないのではないかと疑うような所作で、しかし時折父に言葉を掛けられれば頬を赤らめて微笑んだりする。
タリアスは、ギャラを疎ましく思う気持ちが家族を奪われかねない危機に対する恐れなのだと気づいていた。しかし、彼が父の悲しみを癒す存在ならばと目をつぶってきたつもりだった。
しかし、今回のこれだ。
精神的に未熟な少年には、この異様な王の褥は決定的な父の不貞として捉えられた。
まるで狩られた獲物のように縄で戒められた白い肌。それを、父がみっともなく荒い息を上げながら撫でまわし、舌を這わせる。
いつも物静かで神経質そうなギャラは、普段の様子からは想像もできない高い声でひっきりなしに喘いでいる。髪を振り乱し、勃起した雄の揺れる腰をくねらせ、男のくせに胸を吸われて悦んでいる。
(なんだ、これは……)
恐い。ここに自分がいて、見ていてよい光景でないことは明白にわかる。
けれど、タリアスは自分の股間もいつの間にか腫れあがっていることに気付いた。
なぜ股間がこんなことになるのかも、博識なタリアスは知っている。人体に関する本の女体を解説している挿絵を見た時や、豊満な身体の下働きの女を目で追ってしまった時。そういった時に、タリアスの雄はこうなる。
(僕は、ギャラに興奮しているのか? あんな年上の、ただの痩せた男に?)
認めたくない。家族の仲を引き裂こうとする憎い敵だ。それなのに、妖しくくねる白い身体から目が離せない。
やがて心ゆくまでギャラの身体を舌で舐め回した父が、両腕の戒めを解いてやる。そうするとギャラは熱っぽい視線で主人を見上げ、四つん這いになって父の股間に顔を埋めた。
今度は何をするのかとタリアスは固唾をのんで見守る。やがて部屋には、じゅぷじゅぷと何か液体を啜るような音が立つ。
父の真後ろなので、何をしているのかよく見えない。
恐い、でも、見たい。
タリアスは痛いほどに勃起した股間を押さえながら無意識に立ち上がり、寝台の方へ足を踏み出した――。
「父上とギャラの驚いた顔は今でもはっきり思い出せる。あれは傑作だった」
くくっと唇を歪め笑うタリアスの顔が、なぜだかユノンには悲しげに見えた。本意では笑いたくなどないのだと思った。
その後は即刻出て行けと顔を真っ赤にした父王に怒鳴られたそうだが、すぐに落ち着いた顔に戻ったギャラは何も言わず、退室するタリアスを静かに見つめていたそうだ。
「ギャラは憎らしい男だ。したたかで、父上以外には決して媚びない……」
タリアスは指先でこりこりとユノンの両乳首を摘まむ。ユノンは喘ぎながら、従順にも胸を突き出してしまった。
「ひあ、ああ……んっ……」
「それ以来、何度も何度も父上の褥で見た光景を思い出しながら自慰をした。気付けば女よりも男を抱く自分を想像するようになっていたよ。もちろん、あのお高く留まったギャラを憐れに泣かせてやりたいと強く望んだし、父上にも談判した」
それでも、それが許可されることはなかった。父王は息子が妾を抱くことを絶対に許さなかった。そしてギャラ自身も、それを拒んだ。
「……っく、あ……そのような、ことが……やあっ」
胸を摘まんでいた手が後ろに伸ばされた。尻をぐにぐにと揉み、穴を塞ぐ縄を押し除けた指が遠慮なしに後孔に突き入れられた。
まったく本当に、最初から私一人のものにしておけばよかった。ライルとの重婚など、許可しなければよかった」
――すべてのお前を私のものにしたい。
この言葉には覚えがある。とても理解できる。共感できる。
(タリアス様は、僕を本当に愛してくださっているのかもしれない……)
心を、見えない何かで貫かれたように思った。溢れ出すのは生ぬるい血液でなく、冷たい冷たい、凍てつく冬場の湖水だ。
「さあユノン、私になら教えてくれるだろう? お前の身体で一番辛いところは、どこかな?」
貫かれた心からは冷たいものが溢れ出すのに、身体は芯から火照っている。刺激を求めて無意識にびくびく震える胸を突き出し、ユノンは観念した。
「……ここです。乳首です。どうか、触ってください。うずうずして、たまらないのです……」
理解し難くて、頭が破裂してしまいそうだった。
最近ではミロとともにまるで玩具のような扱いを受けていたのに、タリアスは自分を独り占めしたいと述べるほどに愛している。
愛する人間になぜそのような仕打ちをと思うのに、タリアスの言葉に嘘はない。これには確信が持てる。なぜなら、最も愛しい人に対する自分の感情とまるで同じだから。
すべての表情を知って、すべて独り占めしたい。身も、心も――。
「いい子だ」
タリアスは言い、ユノンの背後へ目くばせした。途端、ずっと触れもしないのにぷくりと膨らんでいた乳首についに甘い刺激が走った。
「あ、あん……!」
ユノンは一際高く声を上げた。ずっと待ちわびていたものをもらったのだ。
「あん、あああっ、ふあ……」
「ふふ、ユノン様、ここへ来てまで強情を張らないでください。私も、どこまでもあなた様にお仕えさせてください」
ぎゅう、ぎゅう、と乳首から何かを絞り出すように、薄い乳房を揉んでからくびられる。
この動きは、タリアスやライルが授乳の練習だとふざけて胸を弄る時のものだ。
「どうです? 私も最近はタリアス様とユノン様の、とてもお美しい情交をつぶさに見ておりましたから。……上手でしょう?」
胸をいじめられながら、明らかな意思を持って尻に固い棒が擦り付けられている。興奮すれば、小さな下帯からはすぐにはみ出てしまうのだろう。
棒の先端はぬるつき、ミロの息は荒い。
「やんっ、やめ……ああんっ!」
屈辱的だ。それなのに、上も下もどうにもしようがない。
乳首は本来なら痛いほどに力を入れてくびられている。それなのに、今のユノンが汲み取るのは激しい悦だけだ。
胸を絞られるほどにびくんびくんと腰までもが動き、自らの意に反してさらに男を誘うような動きを見せる。
「ああっ、ミロ、だめ、やめて……」
「ユノン様のお尻、とてもお可愛らしくていやらしい。跳ね返すような固い弾力があって、けれどもちもちと柔らかくて。私も、あなた様の中にもぐり込みたいくらいです……」
半狂乱で首を左右に振り立てると、顎を掴まれ正面を向かされた。
つぶっていた目を開けると、タリアスの明るい色をした美しい瞳とぶつかる。
ユノンは今の過酷な状況も忘れ、一瞬だけ見入ってしまった。
「……昔、今のお前のように拘束された、見目麗しい若い男を見た。まだ父上がお元気だった頃の話だ」
「え……?」
こんな時に昔話かとたじろいだが、タリアスの瞳はユノンを突き抜けてまるで遠くを見ているようだった。
「……あ、あっ、なぜ、そのようなお話を……?」
ミロの手の動きが緩やかになる。強い搾乳の動作でなく、優しく胸を揉んでいる。再び刺激が足らずもどかしいことになってしまったが、ユノンは荒く息をつきながら必死に耐えてタリアスの話に耳を傾ける。
「私が女を知る前のことだ。初めて見た性的なものが、父と男妾の睦み合う姿だったのだよ。その衝撃は、当時の私には凄まじかった」
タリアスはユノンの前に胡坐をかき、甘い飴玉のような瞳で見上げ、語る。
タリアス第一王子は、父の蔵書が読みたかった。父王はとても勤勉で、城の図書室の他に寝室の片隅にも大きな本棚をいくつか置いていた。その父の血を濃く継いだタリアスが本を愛するようになるのは、自然なことだった。
タリアスはいつものように戸を叩いてから父王の部屋へ入った。父の不在時は勝手に入室し本を探し、持ち出してもよいと許可を得ていた。その代わり、本以外の一切のものに触れてはならない。
忠実に父との約束を守り、入室した後は本棚しか目に入れなかった。しかし目当てのものはなかなか見つからず、その上少年の興味を引く面白そうなものは無限にある。
タリアスは床に寝そべりながら何冊かを読み漁るうちに、つい寝入ってしまった。
どれだけ時間が経ったかわからない。父王の部屋へ来た際は夕食後で、まだ夏の日は高かった。しかし目覚めれば部屋の中は暗い。
やってしまったと思いながら慌てて身体を起こすと、何やら苦しげな声が聞こえてくる。父の声ではない。おそらく、若い男だ。
(嘘だ。まさか……)
全身から血の気が引いた。まずいところに居合わせてしまったのだと、本能的に気付いたのだ。
少年は本棚の重なり合った陰にひたすら静かに横たわっていたので、存在を気付かれなかったのだろう。
大理石の床に、橙色の光がちらちらと揺れて本棚の陰まで伸びていた。
見たくない。でも、気になる。
少年はとうに精通は迎えているし、どのようにして子が生まれるのかも知っていた。来年になれば年上の若い女に手ほどきを受けることにもなっており、その日を密かに心待ちにしている。
タリアスは恐る恐る本棚の陰から顔を出した。そして、思わず自らの口を手で覆った。
側卓に乗せた燭台に照らされた父の大きな寝台。そして、緩んだ裸の男の後姿。明らかに壮年の、これは父だ。その父が愛おしそうに撫でまわす、縄で縛られたもの。
それは寝台の中央に置かれ、天蓋から吊るされた縄で両手首の自由を奪われているようだった。
(あれは……ギャラか……?)
喉まで出かかった声はどうにか呑み込めた。
父は男妾ばかり数人もっている。その中でも一際気難しそうなギャラを溺愛していることは幼い頃から知っていた。
タリアスはかねてからギャラを好ましくなく思っていた。美しく賢い母がいた時分はもちろん、彼女が長く続く流行り病にみまかってからというもの、父は悲しむ間も惜しむようにギャラとともに時間を過ごすようになった。
しかし、こうして父が寵愛する妾と愛し合う姿を見せつけられるのは当然ながら初めてだった。ギャラはいつも、父といる時でさえ王子たちには慎ましく事務的に接した。
極めて丁寧だがまるで感情などないのではないかと疑うような所作で、しかし時折父に言葉を掛けられれば頬を赤らめて微笑んだりする。
タリアスは、ギャラを疎ましく思う気持ちが家族を奪われかねない危機に対する恐れなのだと気づいていた。しかし、彼が父の悲しみを癒す存在ならばと目をつぶってきたつもりだった。
しかし、今回のこれだ。
精神的に未熟な少年には、この異様な王の褥は決定的な父の不貞として捉えられた。
まるで狩られた獲物のように縄で戒められた白い肌。それを、父がみっともなく荒い息を上げながら撫でまわし、舌を這わせる。
いつも物静かで神経質そうなギャラは、普段の様子からは想像もできない高い声でひっきりなしに喘いでいる。髪を振り乱し、勃起した雄の揺れる腰をくねらせ、男のくせに胸を吸われて悦んでいる。
(なんだ、これは……)
恐い。ここに自分がいて、見ていてよい光景でないことは明白にわかる。
けれど、タリアスは自分の股間もいつの間にか腫れあがっていることに気付いた。
なぜ股間がこんなことになるのかも、博識なタリアスは知っている。人体に関する本の女体を解説している挿絵を見た時や、豊満な身体の下働きの女を目で追ってしまった時。そういった時に、タリアスの雄はこうなる。
(僕は、ギャラに興奮しているのか? あんな年上の、ただの痩せた男に?)
認めたくない。家族の仲を引き裂こうとする憎い敵だ。それなのに、妖しくくねる白い身体から目が離せない。
やがて心ゆくまでギャラの身体を舌で舐め回した父が、両腕の戒めを解いてやる。そうするとギャラは熱っぽい視線で主人を見上げ、四つん這いになって父の股間に顔を埋めた。
今度は何をするのかとタリアスは固唾をのんで見守る。やがて部屋には、じゅぷじゅぷと何か液体を啜るような音が立つ。
父の真後ろなので、何をしているのかよく見えない。
恐い、でも、見たい。
タリアスは痛いほどに勃起した股間を押さえながら無意識に立ち上がり、寝台の方へ足を踏み出した――。
「父上とギャラの驚いた顔は今でもはっきり思い出せる。あれは傑作だった」
くくっと唇を歪め笑うタリアスの顔が、なぜだかユノンには悲しげに見えた。本意では笑いたくなどないのだと思った。
その後は即刻出て行けと顔を真っ赤にした父王に怒鳴られたそうだが、すぐに落ち着いた顔に戻ったギャラは何も言わず、退室するタリアスを静かに見つめていたそうだ。
「ギャラは憎らしい男だ。したたかで、父上以外には決して媚びない……」
タリアスは指先でこりこりとユノンの両乳首を摘まむ。ユノンは喘ぎながら、従順にも胸を突き出してしまった。
「ひあ、ああ……んっ……」
「それ以来、何度も何度も父上の褥で見た光景を思い出しながら自慰をした。気付けば女よりも男を抱く自分を想像するようになっていたよ。もちろん、あのお高く留まったギャラを憐れに泣かせてやりたいと強く望んだし、父上にも談判した」
それでも、それが許可されることはなかった。父王は息子が妾を抱くことを絶対に許さなかった。そしてギャラ自身も、それを拒んだ。
「……っく、あ……そのような、ことが……やあっ」
胸を摘まんでいた手が後ろに伸ばされた。尻をぐにぐにと揉み、穴を塞ぐ縄を押し除けた指が遠慮なしに後孔に突き入れられた。
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