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「もっと」2※
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「どうだ? これでいいか?」
ライルがわずかに眉根を寄せながら訊ねてきた。締め付けられ、早く動きたいはずだ。
「まだ、まだです、ライル様。これだけじゃ、だめです」
乳首をくびり、立てた膝に力を入れて腰をくちゅくちゅと揺する。
期待し過ぎて、目が眩んでいる。ユノンはライルの身体を使い、好き勝手自慰しているような状況だ。
妻の痴態に、ライルは愉快そうに目を細めた。
「どうしたい?」
耳元で吐息に問われ、ユノンはぞくりと身体を震わせた。
「……動いて、ください。めちゃくちゃにして。たくさん……」
たくさんたくさん、愛されたい。
何をされてもいい。何度でも絶頂に連れて行ってほしい。出すものがなくなるまで、搾り取られたい――。
そこまではさすがに口に出せないけれど。
ライルは小さく笑うと、一度引いて打ち付けた。
ぶちゅん、と耳を覆いたくなるような卑猥な音が立った。筒の中の肉がライルに絡んで縋りつき、往復運動に翻弄される。
「あ! ……んん……」
ライルが動いたせいで、中に流し込まれた唾液や先走りが溢れて尻を濡らす。
「……あんたの中、ぬるぬるしながら絡んでくる……」
「や、あ、やめ……」
辱められるようなことを言われ、ユノンはライルから顔を背けた。こんなことでも内側は興奮を訴え、ますます咥えたものを締め上げる。
ライルは力強く律動を開始した。まるでユノン自ら濡れているのではないかと錯覚するくらいに、結合部は水音を立てている。
たとえ男の王妃でも、女になりたいとは思っていない。けれども、甘い愛液で秘部を濡らし、愛する夫を自らのぬかるみに迎え入れることができる女は羨ましいと思う。
男であるユノンは、香油や夫の唾液など何かに頼らなくては雄を迎えることができないのだ。それは少し、哀しいと感じている。
「ああっ、あああん、やあ、ライル、さま」
顔の両脇につかれたライルの両腕をぎゅっと握った。もう乳首を弄っている場合ではない。
中の刺激に集中していないと、意識が飛んでしまいそうだ。
「あん、やだ、やだ、きもちいい……!」
ただ突かれているだけで、こんなにも満たされている。今だけは二人きり、誰にも邪魔されない。何も我慢する必要はない。
そんな気持ちが快感を増幅させているのかもしれない。
「ライルさま、……ああんっ! ……きもちい、だめ……」
「……どっちだよ」
揺さぶられながらうわ言のように呟くユノンに、ライルは眉根を下げて苦笑した。
そうだ、嫌ではないし、だめでもない。
行為中の口癖のように、あるいは多少は恥じらいを持たなければという無意識の戒めから来るものかもしれないが、否定的な言葉は今は不必要だ。
ユノンは回らない頭を巡らす。今この場に必要な言葉。ライルに率直に好意と自分の要求を伝える言葉……。
「……ん、ライルさま、もっと……」
必死に考え、吐き出した。ライルは、この選択を気に入ってくれるだろうか。
「もっと、ください。たくさん、もっと」
みちみちと詰め込まれ、毎度のことながらユノンは、正直なところ受け入れることでいっぱいいっぱいだ。ライルも狭い洞の中に苦しげな顔を見せることがよくある。
それでも「もっと」を望むのは、身体も心もこの男を欲しているからだ。
あなたになら何をされてもいいのだと、だからもっと奥深くまで来て、柔らかな部分に触れてくれと伝えたいのだ。
ライルは額に汗を浮かべながら腰を穿つ。打ち込まれる度に、ユノンの奥底から滲むものがだんだんと積を増していく。
「……それでいい。素直だな」
ライルが呆れたように、けれど優しく笑った。腰の動きが止み、穏やかに見下ろされる。
「ふぁ……ライル様……?」
どうしたのかとユノンもライルを見上げた。
ライルはゆっくりと抜ける寸前とのところまで引き抜き、その後で一気にずんと突く。
「ひっ、ああああ――」
油断していたユノンは、堰き止めていたものを決壊させた。
びくびく震えていたユノンの先端からは、透明な体液が勢いよく吹き出し腹や顔を濡らした。
押し出される感覚は、尿意とも射精とも似ている。ただただ解放感で溢れ、心の隅にはまた醜態を晒してしまったという自らへの失望があった。
「あ、あ、あ、あん……」
すべて出し切ってしまい、ユノンは胸を上下させ荒く息をした。だらしなく開いた腿はぶるぶると震え、愉悦の余韻に濡れている。
後ろには、まだライルが入ったままだ。
「……ユノン……」
ライルが何とも言えない声でユノンを呼んだ。はっとして見上げると彼の目は見開かれ、じっとユノンの全身を見回している。
「……あ、あ……。ごめんなさい……」
よりによって、こんな場で。せっかくライルと二人きりで存分に愛し合うことができるというのに、なんという失態を。
瞳からはみるみる涙が溢れてきた。できることなら、もう消えてしまいたい。
目元を覆ってしゃくりあげるユノンだったが、頭をふわりと優しく撫でられた。
「なぜ泣いている?」
問われ、目を覆う指の隙間からライルを見上げた。こんなこと、聞かずともわかるだろうに。
「……自分が、恥ずかしいのです」
「なぜ? 恥ずかしがる必要はないだろう?」
そっと手を退かされ泣き顔をつぶさに見下ろされた。後ろに潜り込んだままのライルがぐんと質量を増した。
「あっ、あん……」
ユノンはもどかしく腰を揺らしてしまう。つい今しがたまでしおらしく泣いていたのに、なんといやらしい身体だと自らを呪う。
「俺に抱かれるのが、そんなに気持ちいいのか」
「……聞かずとも、わかる、でしょう? ……僕は、普段失禁したりなどしません」
わざわざ問われたことに腹を立て、少し開き直ってライルを睥睨した。すると、ライルは一瞬目を見開いたのちにふっと笑う。
「なにがおかしいのです?」
ユノンは真っ赤になって声を荒げた。人が恥を忍んで行為の感想を述べているというのに。
「ユノン、あんたは自分が失禁してしまったと思っているのか。そうか。ますます可愛らしいな」
整った顔が優しい笑みを浮かべながら近付いてくる。そのまま口付けられて、口腔内をひとしきり蹂躙された。
「うっ、……ん、……どういうことですか……?」
ユノンには事態が呑み込めない。ライルがゆっくりと突き上げを再開し、それに耐えるため胸を突き出して荒く息をする。
「あんたはどんどんいやらしくなる。感じ過ぎて、ついに精液と小水以外のものまで吹き出してしまうとは」
「……んっ、ああっ、なん、ですか……?」
突き出した胸を吸われる。先ほど出した体液で濡れたままなのでライルを制止したいが、力が抜けてそんなことできない。
「潮だよ。絶頂を極めると吹き上げる女がいるらしいが、まれに男でも吹いてしまうものもいると聞いた」
「なに、それ……。ひ……っ!」
ぐん、と突かれて空気が喉の奥に引っ込む。
ライルがわずかに眉根を寄せながら訊ねてきた。締め付けられ、早く動きたいはずだ。
「まだ、まだです、ライル様。これだけじゃ、だめです」
乳首をくびり、立てた膝に力を入れて腰をくちゅくちゅと揺する。
期待し過ぎて、目が眩んでいる。ユノンはライルの身体を使い、好き勝手自慰しているような状況だ。
妻の痴態に、ライルは愉快そうに目を細めた。
「どうしたい?」
耳元で吐息に問われ、ユノンはぞくりと身体を震わせた。
「……動いて、ください。めちゃくちゃにして。たくさん……」
たくさんたくさん、愛されたい。
何をされてもいい。何度でも絶頂に連れて行ってほしい。出すものがなくなるまで、搾り取られたい――。
そこまではさすがに口に出せないけれど。
ライルは小さく笑うと、一度引いて打ち付けた。
ぶちゅん、と耳を覆いたくなるような卑猥な音が立った。筒の中の肉がライルに絡んで縋りつき、往復運動に翻弄される。
「あ! ……んん……」
ライルが動いたせいで、中に流し込まれた唾液や先走りが溢れて尻を濡らす。
「……あんたの中、ぬるぬるしながら絡んでくる……」
「や、あ、やめ……」
辱められるようなことを言われ、ユノンはライルから顔を背けた。こんなことでも内側は興奮を訴え、ますます咥えたものを締め上げる。
ライルは力強く律動を開始した。まるでユノン自ら濡れているのではないかと錯覚するくらいに、結合部は水音を立てている。
たとえ男の王妃でも、女になりたいとは思っていない。けれども、甘い愛液で秘部を濡らし、愛する夫を自らのぬかるみに迎え入れることができる女は羨ましいと思う。
男であるユノンは、香油や夫の唾液など何かに頼らなくては雄を迎えることができないのだ。それは少し、哀しいと感じている。
「ああっ、あああん、やあ、ライル、さま」
顔の両脇につかれたライルの両腕をぎゅっと握った。もう乳首を弄っている場合ではない。
中の刺激に集中していないと、意識が飛んでしまいそうだ。
「あん、やだ、やだ、きもちいい……!」
ただ突かれているだけで、こんなにも満たされている。今だけは二人きり、誰にも邪魔されない。何も我慢する必要はない。
そんな気持ちが快感を増幅させているのかもしれない。
「ライルさま、……ああんっ! ……きもちい、だめ……」
「……どっちだよ」
揺さぶられながらうわ言のように呟くユノンに、ライルは眉根を下げて苦笑した。
そうだ、嫌ではないし、だめでもない。
行為中の口癖のように、あるいは多少は恥じらいを持たなければという無意識の戒めから来るものかもしれないが、否定的な言葉は今は不必要だ。
ユノンは回らない頭を巡らす。今この場に必要な言葉。ライルに率直に好意と自分の要求を伝える言葉……。
「……ん、ライルさま、もっと……」
必死に考え、吐き出した。ライルは、この選択を気に入ってくれるだろうか。
「もっと、ください。たくさん、もっと」
みちみちと詰め込まれ、毎度のことながらユノンは、正直なところ受け入れることでいっぱいいっぱいだ。ライルも狭い洞の中に苦しげな顔を見せることがよくある。
それでも「もっと」を望むのは、身体も心もこの男を欲しているからだ。
あなたになら何をされてもいいのだと、だからもっと奥深くまで来て、柔らかな部分に触れてくれと伝えたいのだ。
ライルは額に汗を浮かべながら腰を穿つ。打ち込まれる度に、ユノンの奥底から滲むものがだんだんと積を増していく。
「……それでいい。素直だな」
ライルが呆れたように、けれど優しく笑った。腰の動きが止み、穏やかに見下ろされる。
「ふぁ……ライル様……?」
どうしたのかとユノンもライルを見上げた。
ライルはゆっくりと抜ける寸前とのところまで引き抜き、その後で一気にずんと突く。
「ひっ、ああああ――」
油断していたユノンは、堰き止めていたものを決壊させた。
びくびく震えていたユノンの先端からは、透明な体液が勢いよく吹き出し腹や顔を濡らした。
押し出される感覚は、尿意とも射精とも似ている。ただただ解放感で溢れ、心の隅にはまた醜態を晒してしまったという自らへの失望があった。
「あ、あ、あ、あん……」
すべて出し切ってしまい、ユノンは胸を上下させ荒く息をした。だらしなく開いた腿はぶるぶると震え、愉悦の余韻に濡れている。
後ろには、まだライルが入ったままだ。
「……ユノン……」
ライルが何とも言えない声でユノンを呼んだ。はっとして見上げると彼の目は見開かれ、じっとユノンの全身を見回している。
「……あ、あ……。ごめんなさい……」
よりによって、こんな場で。せっかくライルと二人きりで存分に愛し合うことができるというのに、なんという失態を。
瞳からはみるみる涙が溢れてきた。できることなら、もう消えてしまいたい。
目元を覆ってしゃくりあげるユノンだったが、頭をふわりと優しく撫でられた。
「なぜ泣いている?」
問われ、目を覆う指の隙間からライルを見上げた。こんなこと、聞かずともわかるだろうに。
「……自分が、恥ずかしいのです」
「なぜ? 恥ずかしがる必要はないだろう?」
そっと手を退かされ泣き顔をつぶさに見下ろされた。後ろに潜り込んだままのライルがぐんと質量を増した。
「あっ、あん……」
ユノンはもどかしく腰を揺らしてしまう。つい今しがたまでしおらしく泣いていたのに、なんといやらしい身体だと自らを呪う。
「俺に抱かれるのが、そんなに気持ちいいのか」
「……聞かずとも、わかる、でしょう? ……僕は、普段失禁したりなどしません」
わざわざ問われたことに腹を立て、少し開き直ってライルを睥睨した。すると、ライルは一瞬目を見開いたのちにふっと笑う。
「なにがおかしいのです?」
ユノンは真っ赤になって声を荒げた。人が恥を忍んで行為の感想を述べているというのに。
「ユノン、あんたは自分が失禁してしまったと思っているのか。そうか。ますます可愛らしいな」
整った顔が優しい笑みを浮かべながら近付いてくる。そのまま口付けられて、口腔内をひとしきり蹂躙された。
「うっ、……ん、……どういうことですか……?」
ユノンには事態が呑み込めない。ライルがゆっくりと突き上げを再開し、それに耐えるため胸を突き出して荒く息をする。
「あんたはどんどんいやらしくなる。感じ過ぎて、ついに精液と小水以外のものまで吹き出してしまうとは」
「……んっ、ああっ、なん、ですか……?」
突き出した胸を吸われる。先ほど出した体液で濡れたままなのでライルを制止したいが、力が抜けてそんなことできない。
「潮だよ。絶頂を極めると吹き上げる女がいるらしいが、まれに男でも吹いてしまうものもいると聞いた」
「なに、それ……。ひ……っ!」
ぐん、と突かれて空気が喉の奥に引っ込む。
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