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身体を繋げるということ3※

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「だめ、もう、お尻、いっぱいで苦し……」

 息も絶え絶えだ。
 苦しいと思うのに、先ほど精を吐いた自分の細身の芯は首をもたげふるふると頼りなく揺れている。
 身体は確かに感じているという事実に、ユノンはじわりと目尻に涙を浮かべた。
 淫乱な自分が情けなく、恨めしい。
 自分は誰にこんなことをされても歓んでしまうのだろうか。
 これでは貞淑を求められる王妃になど相応しくないではないか。

「いい声だ。もっと鳴けよ。お前の中、たまらない。ぬるぬるできつくて、俺のブツにあつらえて作られたみたいだ」
「ひああっ、あん、あん、あ……」

 抜き差しされるたびに腹の奥を押され、意に沿わない興奮が高まる。性器は痛いくらいに昂り、自然と腰も振れて、ライルの動きに合わせてより深く咥え込もうとしてしまう。
 媚薬の効果だと思わないと、この行為の後にどんな顔でライルを非難すればよいのかわからない。

「達したいか?」

 突き上げられながら、ユノンは何度も頷く。

「はい、もう、出したい……です……」

 消えてしまいたい。それでも身体には逆えず、正直に答えた。
 ライルは荒く息をしながらも余裕を覗かせ笑う。

「はは。あんたはなかなか正直でいいな。じゃあ、俺と一緒に達しろ。この中に、注いでやる」
「ま、待って。それはだめです。陛下が」
「何がだめだと?」
「あううっ!」

 突然根元をぎゅうと掴まれ、ユノンは痛みに身体を震わせた。
 抽挿をやめないまま、ライルが耳元に唇を寄せてくる。熱い息が耳にかかり、ユノンは肩を竦ませた。

「いいか、俺が最初にあんたと身体を繋げた男だ。兄上みたいに子種を指で塗り込むなんて中途半端な真似、俺はしない。張り型なんて入れている暇があったら俺のものを咥えろと、何度も思ったさ」

 耳を疑った。タリアスと自分しか知りえない事情だ。それなのになぜ彼が。
 ユノンは目を見開いてライルを振り返る。
 快楽に流される身体の感覚も、灯された熱も、すべて一瞬忘れた。
 彼の濡れて笑みを浮かべる赤い唇にやたらと目がいく。
 タリアスが話したのだろうか。いや、いくら弟でも夜の事情など。だとしたらーー。

「なぜ僕たちのことを」
「見ていたからな。あの場で、初夜から全部」

 ――心配するな。彼は私が最も信頼する人物だ――。

 タリアスの言葉が蘇る。そうか、そうだったのか。
 裏切られたとも欺かれていたともつかない、奇妙な心持ちが芽生えた。信じていたのに、と心の中がすっと冷えていく。王は何も嘘はついていないのに。

「や、あ、あ、」

 ライルがユノンの性器を戒める手を上下に扱く。感傷に浸る暇も与えられない。
 前からと後ろから、両方から責められて一気に快感が閾値に近づく。
 突き上げは激しさを増し、寝椅子がガタガタ音を立てる。

「だめ、だめ、それ……」
「だめじゃない。しっかり受け止めろ!」

 ぶわり、と腹の中に熱いものが広がるのと、ユノンが吹き上げるのは同時だった。

「ひぁ、ああぁあーーっ……! あつい……」

 二つの強すぎる刺激にふらふらと倒れそうになる身体を、後ろからしっかりと抱かれた。

「あ、やん……」

(すごい……指で入れられるより、ずっとたくさん……)

 ユノンは手で下腹部をさする。
 気づけばメレの実による腹の中の疼きもだいぶましになっている。
 二度、三度ぐりぐりと深くねじ込まれた。残さず最後までしっかりと注がれる。
 だらだらと先端から白濁を滴らせながら、ユノンはされるがままになっていた。

「これで、あんたは俺の妻だ」

 ゆっくりと、言い聞かせるようなライルの声が聞こえる。

「ユノン・オルトアは、俺の妻……」

 感慨深ささえ含んでいるような繰り返しのライルの言葉に、頭がぼうっとなる。

(ライル様は、こんな声も出せるのか)

 普段の人を寄せ付けない彼とは真逆の、安心しきった優しい声のように思う。

「ライル様……」

 とても心地いい。こんな彼の声をもっと聞いていたい。
 そんな気持ちを込めて名を呼ぶと抱き上げられ、寝椅子に座る彼の膝の上に乗せられた。

「少し休んでいい。後で部屋まで連れて行ってやる」
「はい……」

 身体は汗と精液とメレの果汁でべしゃべしゃだ。けれど、なぜか心は晴れている。
 彼に抱かれることにあれだけ葛藤があったのに、どういうことだろう。
 ライルが薄手の羽織を脱いで裸の身体にかけてくれた。優しい面もあるようだ。

(悪い人ではないのかもしれない。まだよく、わからないけれど……)

 ユノンは重くなってきたまぶたを閉じた。ライルのしっかりした温かな腕に抱かれ、安心できる。
 唇に柔らかなものが当たった気がしたが、すぐに意識は心地よいぬかるみの中へ落ちて行った。
 
 
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