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事務所の前に来ると、応接台のソファーでゴロゴロしているギルドマスターを発見した。
開いていた扉をノックして、声をかける。
トントントン♪
「失礼します」
ソファーで身体を伸ばしていたギルドマスターは飛び起き、こちらを見た。
『おお~スズちゃんか!?早かったね!こっちに入っておいで』
昨日はヒロセック様と呼んでいたギルドマスターは、スズちゃんと呼び、いきなり距離を詰めてきた……
『今日からギルドの一員なんで、スズちゃんと呼ぶからね。私の事はギルドマスター略してギルマスと呼んでくれ!冒険者はお客さんだから、敬意を持って対応してもらうけど、職員同士は、基本的には上も下もない方針だからね。みんな仲間って事で!』
フランクなギルドのようだ。一気に仲間が増えたようで嬉しかった。
『それじゃ、朝礼でみんなに紹介するから挨拶してね。その後は自由に図書館に行って勉強していいから。資料は持ち出し禁止なんで、図書館内で読んでね』
朝礼で、みんなの前で自己紹介を行い、拍手で迎えられた。その後、みんな自分の担当部署に移動して行ったので、私は図書館に行く事にした。
図書館には、項目毎に整然と本が並べられていた。
《聖女と呼ばれた女性》《癒し女と卑しい女》《祈りを捧げた女性》など目にとまった本を次々に読んでいった。
聖女と呼ばれた人は、希少だが今までに何人か実在していた事。治療院を建てて、人々を治療してきた事。現在では回復スキルや、薬剤知識を持った人達のグループ【聖治癒会】という勢力が存在する事などを、知った。
治療スキルは生まれ持った才能か、女神様の《神技落としの儀》により授けられて貰う他ないようだ。いくら努力しても、スキルは身に付かないようだ。
ポーションや薬剤を作る事はスキルがなくても、努力により知識を得る事で出来る。
人を癒すという同じ結果を得るが、そこに辿り着く行程が違うという。哲学のようで理解する事はなかなか難しい……
聖女として、祈りで治療もしたいが、薬剤知識も身につけたいと考えた。
文献を調べても、具体的にどうすれば祈りで治療するかは記載していなかった。
実際に試してみようと思った。
ちょうど昼食時だ。事務所に行き昼食を食べに行った。アリス姉さんが作ってくれたお弁当を食べながら、他のギルド職員に話し掛けた。
「実際に治療を試してみたいんですが、身体の調子が悪い方居ませんか?」
その声を聞いたギルマスが近づいてきた。
『なになに?治療してくれるの?俺最近、肩が上がらなくてさ~』
開いていた扉をノックして、声をかける。
トントントン♪
「失礼します」
ソファーで身体を伸ばしていたギルドマスターは飛び起き、こちらを見た。
『おお~スズちゃんか!?早かったね!こっちに入っておいで』
昨日はヒロセック様と呼んでいたギルドマスターは、スズちゃんと呼び、いきなり距離を詰めてきた……
『今日からギルドの一員なんで、スズちゃんと呼ぶからね。私の事はギルドマスター略してギルマスと呼んでくれ!冒険者はお客さんだから、敬意を持って対応してもらうけど、職員同士は、基本的には上も下もない方針だからね。みんな仲間って事で!』
フランクなギルドのようだ。一気に仲間が増えたようで嬉しかった。
『それじゃ、朝礼でみんなに紹介するから挨拶してね。その後は自由に図書館に行って勉強していいから。資料は持ち出し禁止なんで、図書館内で読んでね』
朝礼で、みんなの前で自己紹介を行い、拍手で迎えられた。その後、みんな自分の担当部署に移動して行ったので、私は図書館に行く事にした。
図書館には、項目毎に整然と本が並べられていた。
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実際に試してみようと思った。
ちょうど昼食時だ。事務所に行き昼食を食べに行った。アリス姉さんが作ってくれたお弁当を食べながら、他のギルド職員に話し掛けた。
「実際に治療を試してみたいんですが、身体の調子が悪い方居ませんか?」
その声を聞いたギルマスが近づいてきた。
『なになに?治療してくれるの?俺最近、肩が上がらなくてさ~』
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