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 「民衆の代表者によると、国王陛下の一族とアルフォンス公爵の一族の国外追放と全ての財産没収を求めている様です。」

 私に王国を治めて貰いたいという要求は黙っていた。

 「なんだと!?それでサラは僕を反乱者達に引き渡そうというのか?僕を売るのか?」

 「いえ、まだ決心しておりません。」

 「そうか……なあサラ!このまま僕をサラの側に置いてくれ。かつての婚約者の仲に戻ろうではないか?」

 「それは出来ません。貴方とはすでに婚約者でも何でもありません。あの時貴方は私に何か助け舟を出しましたか?貴方はアルフォンス公爵の言いなりだったでしょう?命を取る事はしませんが、二度と目の前に現れないで下さい。」

 その瞬間、ボクリアは縛っていた紐を外し、尖った物を私の首に突き付けた。デニス先生も紐を外している!

 「さぁ警備の者達。下がれ。後ろに下がるんだ!」

 デニス先生に言われ、トニー以下警備の者達は数歩後退りした。

 「こうなればもう僕には未来がない。この男もそうだろう。恨みを持つ公爵の息子に手を貸すんだからな!」

 とデニスを見る。

 「私は被害者なんだ。公爵と教団幹部によって良い様にされた被害者なんだ。やれ!ボクリア!サラの処女を奪えば、聖女の力は失われる。そうなればこの国や付き従う奴等もお終いだ!おい!お前達動くなよ!動けばサラの首元に刺さるぞ!大人しくすれば、聖女の命だけは助けてやる!おい!動くな!」

 サラの首元に突き付けられた尖った釘のような物で、サラの首から血が滲んできている。

 「いいぞ!ボクリア!そのままだ!よしお前達は、1人ずつ部屋から出るんだ。手を挙げたままだ!ゆっくりゆっくりだ!」

 私の耳元ではボクリアの荒い鼻息がことさら大きく聞こえていた。

 フーフー!

 このままでは、私は犯され、処女を奪われ、聖女の力をも喪失してしまう……

 この空間の1秒が数分にも感じられていた。ボクリアの左手は私の手首を痛いほど握り、右手には尖った釘のような物を握っている。

 逃れる事は出来ない……私はトニーの目を見た。私の意図を感じ取り、動いてくれるだろうか?信じるしかない。即死しないように、首の血管に当たらないように、私から尖った物に刺さりにいった。

 血が噴き出る!

 その血に怯んだボクリアが私から手を離して、座り込む。

 その一瞬を見逃さずに、トニーが素早い動きでボクリアを抑え込む。

 ボクリアは転がりながらも逃げようとする。が、トニーが腹這いの態勢でボクリアを抑え込んだ。

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