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異世界初心者

希望

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 「そうね。私達が住んでいたザルト村のように食べ物もなく困っている領民が居るでしょうからね。」

 「分かったわ!まずはみんなで頑張って素晴らしい領内にしましょう!それが出来たら私達の幸せを求めるわよ!」

 やる気が高まった僕達は、それぞれの視察に向かった。ニコルは農園に、ミーヒャは治療院に、僕は人夫からバル稼ぎの品物を[売却]しに収集場所に向かった。

 城外にはニコルと共に行く。農園はすっかり拡大しており、多種多様な作物を植え付けている。

 「農作物は順調な様だね。収穫が待ち遠しいね。」

 「農作物もそうだけど、鶏や卵が安定供給出来る様になったのが大きいわ。おかげで首都キリシアの街の中でも、栄養が行き渡り出してるわ。」

 「本当は魚介類も育てたいんだけどね。」

 「魚介類?アキラはやっぱり物知りね。さすが未来の旦那様だわ!」

 「はいはい、未来のお嫁さん頑張って働いて来てね。」

 ニコルと別れた僕は、頼まれていた道具を追加しに倉庫に立ち寄った。

 「おーい、シエル。遅くなってゴメンね。何がいるって言ってたんだっけ?」

 壊れた道具や人員が増えたことにより道具が足らなくなっていたので追加を頼まれていたのだ。

 「シエル、どうだい?順調にいってるかい?」

 「はい、人夫も覚えた仕事場を要望して来ているみたいで、皆熟練度が上がっています。いっぱしの職人のように作業出来てますよ。」

 「それは心強いね。事故や怪我を起こさない様にしっかり指導を頼んだよ。」

 シエルもしっかり頼もしくなっている。シエルの頼まれた事を終えた僕は、ようやく収集場所に集めて貰った鉱滓を[売却]した。

 最近はすっかり手持ちのバルが増えて余裕があるようになってきた。少しは自分の楽しみのために品物を購入しようかな?

 パッと思い付くのは美味しい食べ物だ。

 この世界の食べ物は、食糧危機もあり、お世辞にも美味しいとは言い難い。真空パックならば、生物も購入出来る様だ。簡単に調理が出来る冷凍食品やレトルトを使った食堂を開いても人気が出ることは間違いないだろう。

 久しぶりに酒も飲みたい。こちらの世界に来てからは、汗をかき身体を動かす仕事をして健康そのものの生活をしている。

 娯楽といった物もほとんどない世界である。生きるための生活なのである。生きるための最低限の生活を僕が支援するのは理解出来るが、僕が領主家の代行として美酒美食や娯楽を提供するのは間違っている気がする。

 商売には自由競争の思想が取り込まれないといけないだろう。
 
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