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異世界初心者

襲撃3

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 「盗賊の仲間がまだ居るかもしれない。今日は見張り番を置いて警戒しておこう。」

 盗賊達を全員繋げるようにくくりつけ、村人は順番に盗賊の監視をする事にした。

 僕は村長フィオナの住居に戻り、村長フィオナに事の顛末を説明した。

 「村の発展にいい気になって完全に油断していました。明日からは村の防備を固めましょう。」

 「アキラ様の責任ではありませんよ。そんなにご自身を責めないで下さい。悪いのは盗賊共です。盗賊は、ザッカルニア領土の首都キリシアに送らないといけませんが……面倒ですね……」

 翌朝、盗賊を救出しようとする盗賊の仲間は現れなかった。が、見張り番をしていた村人達は極度のストレスで疲れ切っていた。

 村の周りには、現状木の柵しか張り巡らせていない。昨日のような盗賊や、動物の襲撃が突然来ては防ぎようがないのが実態であった。

村の中心にスピーカーを取り付け、村中に声が届くような村内放送を行えるようしようと考えている。

 新たに村の周りには、太陽光電源の人感センサーと赤外線センサーを購入して張り巡らせる。何者かが、センサーに感知すればまばゆい灯りが点灯し、警戒音が、村内放送を通じて村中に鳴り響くように設置した。

 さらに各戸にスタンガン、催涙スプレーを配布した。各々の住居は各々で守れるようにするのだ。

 村人の人数を遥かに超える大人数での襲撃は防げないかもしれないが、少なくとも今までよりは格段に防衛力が向上したはずだ。

 あらかたの村の防備が完成した頃に新たな訪問客が姿を見せた。

 調査官として来ていたフォードとシャロンである。

 「私達が調査に来てからそんなに日が経過していないのに、またザルト村では変化があっているようですね。」

 村長フィオナが、調査官の姿を見て慌てて駆けつけて来た。

 「何かご用ですか?前回の調査では不十分だったのですか?」

 「いえいえ、今回訪れたのは調査ではありません。アキラ様にお話とお願いがあって参りました。アキラ様に会わせて頂けませんか?」

 村長フィオナは、しばらく考えた後、

 「ミーヒャ、アキラ様に来て頂くように伝えてくれ。」

 僕は嫌な予感がしていたので、調査官とは会いたくなかったが、しぶしぶ顔を出した。

 「突然の来訪お許し下さい。面会して頂き感謝致します。」

 調査官フォードとシャロンは片膝を地面に着き、まるで偉い人にする様な挨拶をしている。

 「ああ……どうも今日は一体何の用ですか?ああそうだ。首都キリシアに帰る時に盗賊を連れて行って貰えませんか?」

 「ええ!?この村に盗賊が現れたと?」

 「はい、昨日の日が暮れた頃に。おそらく襲撃して来た盗賊全員を捕まえていると思いますが……」

 
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