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異世界初心者

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 「うーん、それは僕には出来かねます。僕はたまたまこの村に来て、この村の方達を気に入って手伝っているだけなんです。どうか静かに過ごさせて下さい。」

 調査官に話しながらも、静かに過ごす事は出来なくなりそうな予感がしていた……

 「分かりました……我々の証言だけでは、領主様に信じて頂けるか分かりかねますが、道具は置いていきます。もしアキラ様のお気が変われば是非領土の発展にもお力をお貸し下さい。」

 調査官フォードとシャロンは、頭を下げていた。

 領主への報告のためと調査官はザルト村を後にした。

 「アキラ様、村人達に無事な姿を見せて下さい。おそらく皆アキラ様を心配しているはずです。」

 「皆さん心配かけてすいません。調査官は帰りました。中断していた作業を再開しましょう!」

 村人達には安堵のため息と歓喜の拍手が交差していた。

 ザルト村には、豊富な水、豊かな農作物、村や畑を守る柵が完成していた。

 さらに食料事情に余裕を待たせるため、畑の拡大、家畜の飼育に取り掛かる。

 体力のない子供達に【通販】で購入した有精卵を暖かいカイロで適温で温める卵の孵化をお願いした。体力は必要ないものの、常時監視して卵を暖める重要な役割だ。

 「出来るかい?」

 「うん、卵を1時間ごとに回転させて暖めるんだね?ちゃんとアキラ様に教えてもらった通り温度計で温度に気をつけるよ。姉ちゃんと2人で頑張るからね!」

 体力のある男性達は、畑を荒らしに来ていた猪の捕獲だ。猪を捕まえて家畜にしたい。

 「あいつらはあの森に寝床があるのは分かってるんだ。親猪が無理なら瓜坊を捕まえよう。」

 男達は、大きなフォークのような農機具や、くわを持ち猪を探しに出発した。

 夜になると男達は意気揚々と凱旋してきた。

 「やったぞ!今夜はご馳走だ!」

 大きな猪の両脚を括り、丸太に吊るして運んできている。両脚を括った瓜坊も6匹も捕まえている!!

 男達の凱旋に村人は家から飛び出して、歓声をもって出迎えた。

 瓜坊は木工作業を任せているシエル達が建てた猪小屋で飼育する事にした。

 親猪は捌いて、村人全員のご馳走にする。

 毛皮は捕まえた村人の物となり、肉は大きな鍋で村人全員で美味しく食べた。鮮度抜群の猪肉は臭みもなく、村人の活力源となった。

 卵を暖め始めてから21日が経った。

 「アキラ様次々と産まれてます。来て下さい。」

 孵化を任せていた姉からの呼び掛けに急いでいくと黄色のふわふわした毛に包まれたヒヨコが、弟の周りをピヨピヨと動いている。
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