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小さな一歩
要と裕一郎
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裕一郎が小学3年生の頃、体育でドッチボールをしていると裕一郎は転けてしまい、その時に足を挫いてしまったが言えない性格の裕一郎は心配したクラスメイトに笑顔で答えた。
「大丈夫、大丈夫、続きしようぜ!!」
それを聞いたクラスメイトは安心して再開しようとしたが外野側にいた要が手を挙げて先生に伝えた。
「先生、真中君を保健室に連れて行って大丈夫ですか?」
「構わないぞ」
要は戸惑っている裕一郎を無理矢理、腕を引っ張って保健室まで連れていった。
「なっなんだよ!」
要はドアをガララと開けて「失礼します。」と言うと女性の若い先生が笑顔で2人を出迎えた。
「あら、どうしたの?」
「真中君の右足を診てもらっても良いですか?」
先生は裕一郎に丸椅子に座るように指示をすると彼は渋々丸椅子に座り先生が右足を確認すると先生は踝を優しく押した。
「いってて!」
「ここが痛いのね、今すぐ冷やすわね。」
***
先生に処置をしてもらい裕一郎と要はゆっくり廊下を歩いていたが裕一郎は彼に話しかけた。
「箕輪は保険委員だっけ?」
「違うけど?」
裕一郎は知っていた。彼が学級委員で要は色んな先生から気に入られていて1部の生徒から嫌われている事を裕一郎はその1人では無いが真逆の優等生タイプの彼が苦手だった。
「なんで、助けたの?」
「なんでって普通に痛そうにしてたから」
要はあっさりと答えるとそのまま無言の空気になってしまった。その時、チャイムが鳴ったので体育の時間が終わってしまった。
「体育、終わったな。」
「そうだね・・・足大丈夫?」
「・・・まぁ、歩けるのは歩けるし・・・ありがとな」
裕一郎は要の顔が見れず、そっぽ向いたが彼は気にせずに教室まで歩いた。
次の時間は先週にした算数のテストが配られる日で一番高い点を採った人は先生に紹介された。
「箕輪要君はクラスで1番点数が良かったです。皆さん拍手!!」
きちんと拍手をする人も要れば気に食わない人は不満そうな顔をして小さく拍手をしていた。要はただ笑顔でもなく自信あり気な顔でもなく、ただ真顔で座っていた。
休み時間、裕一郎は椅子に座って机で隠していた算数のテストを見てため息をついているとお調子者の男子生徒の2人にテストを取られてしまった。
「裕一郎、たった17点かよ!」
「マジかよ俺なんてまだ30点だぜ!」
「おっおい、やめろよ!!」
2人は大きな声で裕一郎の点数を叫び彼は恥ずかしくなって奪おうとしたが足を挫いていたので椅子ごと転けてしまった。
「おいおい何、転んでんだよ!」
「ダッセェ奴!」
ギャハハと下品な笑い声に裕一郎は少し下唇を噛んでから無理矢理笑顔を作り笑った。
「うるせぇよ!はよ返せ!」
それでも2人は笑うだけで返す気配が全く無く裕一郎は俯いて悲しく笑っているとお調子者の1人の声が聞こえた。
「あっ返せよ!」
「返すも何もこれは君の物じゃないでしょ?」
裕一郎は顔を上げると真顔の要がテストの点数が見えないように外に折り曲げて渡してくれた。
「どうぞ」
「・・・ありがと」
裕一郎はテストを貰い、次はできるだけ顔を見てお礼を言うとお調子者達は要を睨みつけて行ってしまった。すると要は手を出してきたので裕一郎は渋々、手を取り起き上がった。
「・・・・足、大丈夫?」
「あー・・・まぁ、平気」
「そっか、酷い事するね」
「まぁ、アイツらは遊びでしてるから」
裕一郎はあははと笑うと要は眉に深くシワを作り怪訝そうにお調子者達を見た後に裕一郎の方を向き真剣な顔で言った。
「真中君はあの子達に点数バラされて嬉しかった?」
「はぁ?嬉しい訳ねぇじゃん!」
「じゃあ、きっと遊びじゃないよ」
「っえ?」
「いじめだと思うけど?」
「いじめって大袈裟な・・・」
その後、休み時間が終わったチャイムが鳴り生徒は慌てながら席に着いて次の科目の教科書を出していた。
裕一郎は不思議そうに要を見つめていた。
***
ある日、第2の性の検査結果が出て先生が1人ずつ封筒を配っていった。その後、先生からの忠告があった。
「この封筒は君たちの性に関する大切な封筒なので絶対に学校では開けずに親御さんと一緒に見るように。」
生徒達は元気に返事をしていたが破る生徒もやっぱりいた。
休み時間、男子生徒が封筒の中身を見て「α」や「β」と話していたが要は皆のノートを先生に渡す為に職員室にいってたので教室には居なかった。すると前にテストの件で要を良いように思っていない2人が要のランドセルに目を付けた。
「・・・なぁ、アイツの性、気にならねぇ?」
「アイツって箕輪か?」
「アイツさぁ、俺達の事を無言でバカにしてきてムカつくじゃん!」
「でもさ・・・覗いていいの?」
「少しだけだよ」
1人は要のランドセルを勝手に開けて丁寧にファイルに入っていた封筒を取りゆっくり開けてプリントの中身を覗いた。
***
要は家に帰宅するとすぐに親に封筒を見せると母親の表情の雲行きが怪しくなった。
「お母さん?」
「・・・・・要・・・・絶対に学校の皆に言ったら駄目よ。」
母親は要にプリントを見せるとそこには大きな文字で「Ω」と書かれていた。母親は悲しそうな顔で要を抱きしめて頭を撫でていたがその時、要は違うことを考えていた。
『僕がお母さんに見せる前になんで開けやすくなってたんだろう?』
封筒に貼っていたセロハンテープの粘着が弱くなっているのに気づいて要は母親に封筒から開けてプリントを見せていた。要の不安そうな顔がIHの上にあるやかんに不気味に映っていた。
***
次の日の朝、要が学校に行き教室のドアを開けると黒板にデカデカと書かれていた。
「Ωの箕輪要君は学校に来ないでください!!」
それを要は唖然と眺めていると要の事が気に食わない生徒達のクスクスと笑い声が鈴虫の合唱のように教室中に響いた。
「大丈夫、大丈夫、続きしようぜ!!」
それを聞いたクラスメイトは安心して再開しようとしたが外野側にいた要が手を挙げて先生に伝えた。
「先生、真中君を保健室に連れて行って大丈夫ですか?」
「構わないぞ」
要は戸惑っている裕一郎を無理矢理、腕を引っ張って保健室まで連れていった。
「なっなんだよ!」
要はドアをガララと開けて「失礼します。」と言うと女性の若い先生が笑顔で2人を出迎えた。
「あら、どうしたの?」
「真中君の右足を診てもらっても良いですか?」
先生は裕一郎に丸椅子に座るように指示をすると彼は渋々丸椅子に座り先生が右足を確認すると先生は踝を優しく押した。
「いってて!」
「ここが痛いのね、今すぐ冷やすわね。」
***
先生に処置をしてもらい裕一郎と要はゆっくり廊下を歩いていたが裕一郎は彼に話しかけた。
「箕輪は保険委員だっけ?」
「違うけど?」
裕一郎は知っていた。彼が学級委員で要は色んな先生から気に入られていて1部の生徒から嫌われている事を裕一郎はその1人では無いが真逆の優等生タイプの彼が苦手だった。
「なんで、助けたの?」
「なんでって普通に痛そうにしてたから」
要はあっさりと答えるとそのまま無言の空気になってしまった。その時、チャイムが鳴ったので体育の時間が終わってしまった。
「体育、終わったな。」
「そうだね・・・足大丈夫?」
「・・・まぁ、歩けるのは歩けるし・・・ありがとな」
裕一郎は要の顔が見れず、そっぽ向いたが彼は気にせずに教室まで歩いた。
次の時間は先週にした算数のテストが配られる日で一番高い点を採った人は先生に紹介された。
「箕輪要君はクラスで1番点数が良かったです。皆さん拍手!!」
きちんと拍手をする人も要れば気に食わない人は不満そうな顔をして小さく拍手をしていた。要はただ笑顔でもなく自信あり気な顔でもなく、ただ真顔で座っていた。
休み時間、裕一郎は椅子に座って机で隠していた算数のテストを見てため息をついているとお調子者の男子生徒の2人にテストを取られてしまった。
「裕一郎、たった17点かよ!」
「マジかよ俺なんてまだ30点だぜ!」
「おっおい、やめろよ!!」
2人は大きな声で裕一郎の点数を叫び彼は恥ずかしくなって奪おうとしたが足を挫いていたので椅子ごと転けてしまった。
「おいおい何、転んでんだよ!」
「ダッセェ奴!」
ギャハハと下品な笑い声に裕一郎は少し下唇を噛んでから無理矢理笑顔を作り笑った。
「うるせぇよ!はよ返せ!」
それでも2人は笑うだけで返す気配が全く無く裕一郎は俯いて悲しく笑っているとお調子者の1人の声が聞こえた。
「あっ返せよ!」
「返すも何もこれは君の物じゃないでしょ?」
裕一郎は顔を上げると真顔の要がテストの点数が見えないように外に折り曲げて渡してくれた。
「どうぞ」
「・・・ありがと」
裕一郎はテストを貰い、次はできるだけ顔を見てお礼を言うとお調子者達は要を睨みつけて行ってしまった。すると要は手を出してきたので裕一郎は渋々、手を取り起き上がった。
「・・・・足、大丈夫?」
「あー・・・まぁ、平気」
「そっか、酷い事するね」
「まぁ、アイツらは遊びでしてるから」
裕一郎はあははと笑うと要は眉に深くシワを作り怪訝そうにお調子者達を見た後に裕一郎の方を向き真剣な顔で言った。
「真中君はあの子達に点数バラされて嬉しかった?」
「はぁ?嬉しい訳ねぇじゃん!」
「じゃあ、きっと遊びじゃないよ」
「っえ?」
「いじめだと思うけど?」
「いじめって大袈裟な・・・」
その後、休み時間が終わったチャイムが鳴り生徒は慌てながら席に着いて次の科目の教科書を出していた。
裕一郎は不思議そうに要を見つめていた。
***
ある日、第2の性の検査結果が出て先生が1人ずつ封筒を配っていった。その後、先生からの忠告があった。
「この封筒は君たちの性に関する大切な封筒なので絶対に学校では開けずに親御さんと一緒に見るように。」
生徒達は元気に返事をしていたが破る生徒もやっぱりいた。
休み時間、男子生徒が封筒の中身を見て「α」や「β」と話していたが要は皆のノートを先生に渡す為に職員室にいってたので教室には居なかった。すると前にテストの件で要を良いように思っていない2人が要のランドセルに目を付けた。
「・・・なぁ、アイツの性、気にならねぇ?」
「アイツって箕輪か?」
「アイツさぁ、俺達の事を無言でバカにしてきてムカつくじゃん!」
「でもさ・・・覗いていいの?」
「少しだけだよ」
1人は要のランドセルを勝手に開けて丁寧にファイルに入っていた封筒を取りゆっくり開けてプリントの中身を覗いた。
***
要は家に帰宅するとすぐに親に封筒を見せると母親の表情の雲行きが怪しくなった。
「お母さん?」
「・・・・・要・・・・絶対に学校の皆に言ったら駄目よ。」
母親は要にプリントを見せるとそこには大きな文字で「Ω」と書かれていた。母親は悲しそうな顔で要を抱きしめて頭を撫でていたがその時、要は違うことを考えていた。
『僕がお母さんに見せる前になんで開けやすくなってたんだろう?』
封筒に貼っていたセロハンテープの粘着が弱くなっているのに気づいて要は母親に封筒から開けてプリントを見せていた。要の不安そうな顔がIHの上にあるやかんに不気味に映っていた。
***
次の日の朝、要が学校に行き教室のドアを開けると黒板にデカデカと書かれていた。
「Ωの箕輪要君は学校に来ないでください!!」
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