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42、大礼拝塔
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「どうしたのレアン、お願いってなあに?」
私はアレンさんやエリン、そしてレアン君と一緒に私の部屋へと歩いていく。
歩きながら私はそう尋ねた。
「午後から聖ファリアンネ教会に行くんですよね? 僕一度でいいから、大礼拝塔に登ってみたかったんです! お姉様から大司教様にお願いしてくれませんか?」
「大礼拝塔?」
確か都の中央にある聖ファリアンネ教会の入口に立ってる、大きな塔のことだよね。
『銀色の髪の王子と7人の貴公子 ~でも貴方だけに恋して~』のオープニングムービーに女神像と一緒に出てきたのを覚えてる。
この前教会の女神像に避難している人達が祈りを捧げているのを見た時も、後ろに白くて高い塔が建っていた。
じっと私を見上げるレアン君に、お付きの侍女であるエリンが言う。
「駄目ですよレアン様、あそこはファリアンネ様の巫女に選ばれた方だけが入れる塔だそうですから。国王陛下だって入れないそうですよ」
エリンの言葉を聞いて、私はへえって思った。
(王様でも入れない場所なんてあるんだ)
私は、その言葉にがっかりしてるレアン君の頭を撫でた。
「レアン。国王陛下でも入れないところだから、無理かも知れないけど思うけど聞いてみるわ」
これから行くことになる教会は、都で一番大きな教会だからミレアン大司教様っていう偉い人がいるんだよね。
白い髭のお爺ちゃん。
ティアが聖妃と呼ばれていたのは、ミレアン大司教が聖女と認めたからなんだよ。
ファリアンネ教会の教皇様に仕える12人の大司教様の一人。
教皇様はゲームには出てこなかったけど、このベネディクテア王国ではなくて聖ファリアンネ教国にいらっしゃる。
女神の加護に守れらているっていう噂の美しい国。
女神ファリアンネは色んな国で希望の女神として崇められているから、教皇様の命令で国ごとに大司教様が派遣されているらしい。
聖女として認められたティアがアドニスと一緒に教皇の元に挨拶に向かうシーンが、真エンディングには出てきた。
残念だけどそこでムービーは終わりだったから、ファリアンネ教国がどんなところかは知らないんだけどね。
二人はあの後どうなったんだろう?
そんなことを私が考えているとエリンが言った。
「大礼拝塔の扉は聖なる力で封印がされていて、巫女の力がある者でなければ、その扉を開くことは出来ないって聞いたことがあります」
そうなんだ、益々難しそう。
アレンさんも相槌を打つ。
「私も陛下の命で暫くあそこで修道士として働いていましたが、巫女と大礼拝塔の話は聞いたことがあります。巫女となるほどの力がある方は、めったに生まれてこないそうですが」
「そうなんですか……大礼拝塔の中にとても綺麗な絵が飾ってあるって聞いたので見たかったんです」
レアン君ががっかりしたように俯いた。
残念そうにしょんぼりするレアン君も可愛い。
お姉ちゃんがダメもとで聞いてみるから、そんなにがっかりしないで。
あれ? でもその飾ってある絵は誰が見たんだろう。
その時、部屋の扉がノックされる。
多分メルファだろう。
「お嬢様、メルファです」
「メルファ、皆揃ってるわよ」
私の言葉に扉が開くと、メルファがウサギが食べられるような野菜を入れた器を運んできた。
ウサギが食べやすいようなサイズにキチンと切られてあるので、私達はみんなで白ウサギに餌をあげた。
ヒクヒクと鼻を動かして食べる姿が愛らしい。
レアン君が、私にぴったりとくっついている。
私にとっての癒しの時間。
ふと気が付くと、アレンさんがじっとこちらを見ている。
それを見て私達は顔を見合わせて笑った。
アレンさんは動物好きだってことを隠してるつもりだけど、全然隠せてないのが可愛い。
メルファがアレンさんを誘って一緒に餌をやっていると、玄関の方から馬の嘶きが聞こえてきた。
私はアレンさんやエリン、そしてレアン君と一緒に私の部屋へと歩いていく。
歩きながら私はそう尋ねた。
「午後から聖ファリアンネ教会に行くんですよね? 僕一度でいいから、大礼拝塔に登ってみたかったんです! お姉様から大司教様にお願いしてくれませんか?」
「大礼拝塔?」
確か都の中央にある聖ファリアンネ教会の入口に立ってる、大きな塔のことだよね。
『銀色の髪の王子と7人の貴公子 ~でも貴方だけに恋して~』のオープニングムービーに女神像と一緒に出てきたのを覚えてる。
この前教会の女神像に避難している人達が祈りを捧げているのを見た時も、後ろに白くて高い塔が建っていた。
じっと私を見上げるレアン君に、お付きの侍女であるエリンが言う。
「駄目ですよレアン様、あそこはファリアンネ様の巫女に選ばれた方だけが入れる塔だそうですから。国王陛下だって入れないそうですよ」
エリンの言葉を聞いて、私はへえって思った。
(王様でも入れない場所なんてあるんだ)
私は、その言葉にがっかりしてるレアン君の頭を撫でた。
「レアン。国王陛下でも入れないところだから、無理かも知れないけど思うけど聞いてみるわ」
これから行くことになる教会は、都で一番大きな教会だからミレアン大司教様っていう偉い人がいるんだよね。
白い髭のお爺ちゃん。
ティアが聖妃と呼ばれていたのは、ミレアン大司教が聖女と認めたからなんだよ。
ファリアンネ教会の教皇様に仕える12人の大司教様の一人。
教皇様はゲームには出てこなかったけど、このベネディクテア王国ではなくて聖ファリアンネ教国にいらっしゃる。
女神の加護に守れらているっていう噂の美しい国。
女神ファリアンネは色んな国で希望の女神として崇められているから、教皇様の命令で国ごとに大司教様が派遣されているらしい。
聖女として認められたティアがアドニスと一緒に教皇の元に挨拶に向かうシーンが、真エンディングには出てきた。
残念だけどそこでムービーは終わりだったから、ファリアンネ教国がどんなところかは知らないんだけどね。
二人はあの後どうなったんだろう?
そんなことを私が考えているとエリンが言った。
「大礼拝塔の扉は聖なる力で封印がされていて、巫女の力がある者でなければ、その扉を開くことは出来ないって聞いたことがあります」
そうなんだ、益々難しそう。
アレンさんも相槌を打つ。
「私も陛下の命で暫くあそこで修道士として働いていましたが、巫女と大礼拝塔の話は聞いたことがあります。巫女となるほどの力がある方は、めったに生まれてこないそうですが」
「そうなんですか……大礼拝塔の中にとても綺麗な絵が飾ってあるって聞いたので見たかったんです」
レアン君ががっかりしたように俯いた。
残念そうにしょんぼりするレアン君も可愛い。
お姉ちゃんがダメもとで聞いてみるから、そんなにがっかりしないで。
あれ? でもその飾ってある絵は誰が見たんだろう。
その時、部屋の扉がノックされる。
多分メルファだろう。
「お嬢様、メルファです」
「メルファ、皆揃ってるわよ」
私の言葉に扉が開くと、メルファがウサギが食べられるような野菜を入れた器を運んできた。
ウサギが食べやすいようなサイズにキチンと切られてあるので、私達はみんなで白ウサギに餌をあげた。
ヒクヒクと鼻を動かして食べる姿が愛らしい。
レアン君が、私にぴったりとくっついている。
私にとっての癒しの時間。
ふと気が付くと、アレンさんがじっとこちらを見ている。
それを見て私達は顔を見合わせて笑った。
アレンさんは動物好きだってことを隠してるつもりだけど、全然隠せてないのが可愛い。
メルファがアレンさんを誘って一緒に餌をやっていると、玄関の方から馬の嘶きが聞こえてきた。
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