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40、メルファとアレンさん
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「フュリーマ様、何ですか? そのいい考えって」
私はアレンさんにそう尋ねた。
教会に避難している人達の様子を知るいい方法って何だろう?
アレンさんは私に答えた。
「実は以前、アドニス殿下には修道士の姿をして頂いたのです。出来ましたらシャルロッテ様にも修道女の姿となって避難民達のありのままの姿をご覧頂きたいのです」
(そうか、そうだよね……)
そもそも、いかにも王子様って姿や公爵令嬢っていう格好で行ったらみんなビックリするよ。
私はアレンさんに答えた。
「分かりました。エトスさんとジルレットさんは、修道女の服を取りに言ってるんですね?」
アレンさんは頷く。
「はい、教会に向かわれる皆様の分を用意するように命じてあります」
メルファがアレンさんに尋ねた。
「あ、あの。エトリーズ婦人とお連れの方の分もご用意されるのですか?」
そう言えば、あの二人の赤と黒のドレスは正直言って私より目立つよね。
「はい。ですが、まだあの方達にはお伝えをしていません」
メルファがアレンさんに言った。
「アレン様、もしよろしければ私の方からお伝えしますけれど?」
「それは助かります、メルファ殿。あのような煌びやかな婦人は私はどうも苦手で」
私はジト目でアレンさんに言った。
「煌びやかでない私には言えるんですね、フュリーマ様」
私の言葉にアレンさんが焦って答える。
「そ、そいうことでは。何といいますかシャルロッテ様には、あのお方達とは違いどことなく庶民的なところが……。いえ、決して悪い意味ではなく!」
「アレン様!!」
メルファが、フォローが下手なアレンさんを心配して言葉を挟んだ。
庶民的……。
鋭いよアレンさん。
これ以上追い込むとこっちがボロが出そう。
(あれ? でもメルファは、いつの間にアレンさんのことアレン様って呼ぶようになったんだろ?)
昨日はフュリーマ様って呼んでたよね。
それに、何だかが少し二人が親し気だよ。
「メルファ、いつの間にアレン様って呼ぶようになったの?」
「な! 何を仰るのですかシャルロッテ様! わ、私は最初からそうお呼びしていました!」
嘘だよねメルファ? 何を隠してるの。
私達の会話を聞いて、アレンさんが答えてくれた。
「ああ、そのことですか。実はメルファ殿が今朝早くからシャルロッテ様の部屋の前で番をされていたのです、丁度私も警備の為に屋敷を回っておりましたので、お会いしたのですが」
「アレン様!」
メルファが少し頬を染めて、アレンさんの言葉を止めようとしている。
聖騎士様は鈍感でそれに気が付いていない。
「ドルルエ公爵様が復興事業に携われて、中にはそれが気に入らない者達もおりますから。万が一のことを考え、メルファ殿がこんなに小さなお体でシャルロッテ様を心配されている姿がとても健気で」
「メルファ、貴方そんなことをしてたの?」
私はビックリしてメルファに問いかける。
「は、はい。勿論きちんと仕事に差し支えない程の睡眠はとっています! でも、それ以外はシャルロッテ様をお守りしたくて」
馬鹿だよメルファ……。
私知ってるもん、メルファは真面目で人一倍頑張って働いてるのにそんなことまでして。
俯いているメルファを私は抱きしめた。
「メルファ、約束したでしょ。もう叩いたりしないって、だからもうそんなことしなくていいんだよ」
メルファが私をキュッと抱きしめ返した。
「そうじゃありません……嬉しくて。お優しいシャルロッテ様をお守りしたくて」
メルファは、もう十分過ぎるぐらい色んなことをしてくれてるよ。
私にとっても大事な友達だもん。
公爵家の中に居れば安全だとは思うけど、もし私を守ってメルファが死んだりしたら耐えられない。
アレンさんが、優しくメルファの肩に手を置いている。
「ご安心下さいシャルロッテ様。メルファ殿には、私からその必要がないと申し上げましたから。夜は三交代で私とエトスとジルレットで部屋の前の番を致しますからと」
メルファは、優し気に自分を見るアレンさんをうっとりと見上げている。
(あれ? もしかして私、お邪魔虫……?)
メルファと私の熱い友情の話だと思ったのに、いつのまにか二人が熱い視線を交わしてるんですけど。
「メルファ殿がシャルロッテ様に捧げる忠義、騎士の皆にも見習わせたいものです。健気で可憐なお方だ」
少し頬を染めながらそう言ったアレンさんを見て、メルファが真っ赤になっている。
「あ、アレン様……そんな」
私はジト目で二人を眺めている。
もしかしたら私とアドニスよりこの二人の方が早く結ばれたりして。
どうしよう! だけどそうなったらメルファは家からいなくなっちゃうよね?
でも何だかそうなったら嬉しい、あのゲームをやりこんだ私から見るとこの二人ってとても良く似合ってる気がするんだよね。
私はアレンさんにそう尋ねた。
教会に避難している人達の様子を知るいい方法って何だろう?
アレンさんは私に答えた。
「実は以前、アドニス殿下には修道士の姿をして頂いたのです。出来ましたらシャルロッテ様にも修道女の姿となって避難民達のありのままの姿をご覧頂きたいのです」
(そうか、そうだよね……)
そもそも、いかにも王子様って姿や公爵令嬢っていう格好で行ったらみんなビックリするよ。
私はアレンさんに答えた。
「分かりました。エトスさんとジルレットさんは、修道女の服を取りに言ってるんですね?」
アレンさんは頷く。
「はい、教会に向かわれる皆様の分を用意するように命じてあります」
メルファがアレンさんに尋ねた。
「あ、あの。エトリーズ婦人とお連れの方の分もご用意されるのですか?」
そう言えば、あの二人の赤と黒のドレスは正直言って私より目立つよね。
「はい。ですが、まだあの方達にはお伝えをしていません」
メルファがアレンさんに言った。
「アレン様、もしよろしければ私の方からお伝えしますけれど?」
「それは助かります、メルファ殿。あのような煌びやかな婦人は私はどうも苦手で」
私はジト目でアレンさんに言った。
「煌びやかでない私には言えるんですね、フュリーマ様」
私の言葉にアレンさんが焦って答える。
「そ、そいうことでは。何といいますかシャルロッテ様には、あのお方達とは違いどことなく庶民的なところが……。いえ、決して悪い意味ではなく!」
「アレン様!!」
メルファが、フォローが下手なアレンさんを心配して言葉を挟んだ。
庶民的……。
鋭いよアレンさん。
これ以上追い込むとこっちがボロが出そう。
(あれ? でもメルファは、いつの間にアレンさんのことアレン様って呼ぶようになったんだろ?)
昨日はフュリーマ様って呼んでたよね。
それに、何だかが少し二人が親し気だよ。
「メルファ、いつの間にアレン様って呼ぶようになったの?」
「な! 何を仰るのですかシャルロッテ様! わ、私は最初からそうお呼びしていました!」
嘘だよねメルファ? 何を隠してるの。
私達の会話を聞いて、アレンさんが答えてくれた。
「ああ、そのことですか。実はメルファ殿が今朝早くからシャルロッテ様の部屋の前で番をされていたのです、丁度私も警備の為に屋敷を回っておりましたので、お会いしたのですが」
「アレン様!」
メルファが少し頬を染めて、アレンさんの言葉を止めようとしている。
聖騎士様は鈍感でそれに気が付いていない。
「ドルルエ公爵様が復興事業に携われて、中にはそれが気に入らない者達もおりますから。万が一のことを考え、メルファ殿がこんなに小さなお体でシャルロッテ様を心配されている姿がとても健気で」
「メルファ、貴方そんなことをしてたの?」
私はビックリしてメルファに問いかける。
「は、はい。勿論きちんと仕事に差し支えない程の睡眠はとっています! でも、それ以外はシャルロッテ様をお守りしたくて」
馬鹿だよメルファ……。
私知ってるもん、メルファは真面目で人一倍頑張って働いてるのにそんなことまでして。
俯いているメルファを私は抱きしめた。
「メルファ、約束したでしょ。もう叩いたりしないって、だからもうそんなことしなくていいんだよ」
メルファが私をキュッと抱きしめ返した。
「そうじゃありません……嬉しくて。お優しいシャルロッテ様をお守りしたくて」
メルファは、もう十分過ぎるぐらい色んなことをしてくれてるよ。
私にとっても大事な友達だもん。
公爵家の中に居れば安全だとは思うけど、もし私を守ってメルファが死んだりしたら耐えられない。
アレンさんが、優しくメルファの肩に手を置いている。
「ご安心下さいシャルロッテ様。メルファ殿には、私からその必要がないと申し上げましたから。夜は三交代で私とエトスとジルレットで部屋の前の番を致しますからと」
メルファは、優し気に自分を見るアレンさんをうっとりと見上げている。
(あれ? もしかして私、お邪魔虫……?)
メルファと私の熱い友情の話だと思ったのに、いつのまにか二人が熱い視線を交わしてるんですけど。
「メルファ殿がシャルロッテ様に捧げる忠義、騎士の皆にも見習わせたいものです。健気で可憐なお方だ」
少し頬を染めながらそう言ったアレンさんを見て、メルファが真っ赤になっている。
「あ、アレン様……そんな」
私はジト目で二人を眺めている。
もしかしたら私とアドニスよりこの二人の方が早く結ばれたりして。
どうしよう! だけどそうなったらメルファは家からいなくなっちゃうよね?
でも何だかそうなったら嬉しい、あのゲームをやりこんだ私から見るとこの二人ってとても良く似合ってる気がするんだよね。
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