癒し手は異世界の救世主

やの有麻

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第2章 四葉の役割

2ー10 ボスを捕まえました

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さてさて、最終話!
ボスを倒しましょう。


「なっ・・・何なのだお前らは!?!?」


黒いローブがブルブルと震え始める。混乱してるのだろう。


『其方は少々やり過ぎたのだ。もう諦めよ。誰に命じられテールの町を襲ったのだ。答えよ。』
「何者だよ!?龍?・・・はっ!まっまっマサカ・・・!!!」
『我は応龍なり。この土地を守護する四霊の一体だ。』
「なっ!?!?」
『さぁ・・・其方は死にたいのか?首謀者を吐けば命だけは助けてやるぞ?』
「うぅ、うぅぅ嘘だ!!四霊なんか存在するものか!」
「この方は応龍様だ。観念せよアルバド・ルーヴィン殿。誰に指示されてここへ来たのだ?」
「この・・・佐官の分際でっ!」
「ん~埒が明きません。とりあえず皆さんもだいぶ疲れましたので、私達と眠って頂けませんか。」
「はぁ!?!?」
『ヨツバ・・・まぁ、その方が良いかもしれんな。』
「同意だ。このままでは埒が明かないのはあきらかだな。」
『・・・俺もそろそろ休みたい。』


急に和みモードの雰囲気になりアルバドは混乱する。この切羽詰まった空気に似合わず眠るとか休みたいとかワケわからん事を言われて唖然としてしまう。


「はい。満場一致という事で、お休みなさい。ごめんクロウくん、これを使うと多分倒れるから後は頼んでもいい?」
「大丈夫だ。俺がベッドまで連れていく。」
「有難う。では心置きなく・・・ここにいる誰かが起こされない限り永遠の眠りを。『睡眠スリープ』!」
「なっ!?待てぇ・・・・・・ぐぅ。」


四葉がアルバドに唱えると、今まで強ばってた顔が一瞬にして緩み深い眠りについた。

それと同時に四葉も膝から崩れ倒れる。地面に倒れる寸前クロウが腕を伸ばし抱き寄せる。そしてお姫様抱っこをするクロウに不満を持つ応龍だが、自分もギリギリ身体を起こしてる状態なので無言でクロウに付いていくしかなかった。


・・・それから安全になったと同時にテールの町の家に張られた結界が解呪の時のように泡のような気泡ができて空へと消えていった。








翌朝。


「さて。町人の前で話を聞いても良いのですが極秘の可能性もあるので、ピスパロウとオオカラスと合流して町外で話しましょうか。」
『あぁ・・・無闇に誤解を与えて町の雰囲気が変わってしまったら大変だからな。』
『少し離れた所にピスパロウの住み家があるはずだ。あのディモルフォセカに案内してもらえば良かろう。』
「そうですね。ディモルはどこに?」


とりあえずマーランの家から出て町の外へ行く。アルバドはクロウが肩に担いで連れていく。


「ディモル~!!」


あまり大きくなく、近くにいる人に話しかけるより少し大きな声で呼んでみる。すると「ギュリ~♪」と嬉しそうに森の中から飛んで来る。

住み家に連れてってと言ったら喜んで連れてってくれた。
するとオオカラスもそこにいて助けを求めてきた数より倍以上はいた。見事にムクドリの騒音そのものだった・・・


「あーではこのアルバドさんを起こしましょうか。えー・・・『覚醒アウェイクニング』かな?」


四葉が口にするとアルバドにピンク色の粉らしき物が降りかかる。すると「んんっ!」とアルバドが反応し、ゆっくり目を開けた。


「おはようございますアルバドさん。」
「ぅ・・・なんだ、誰だ・・・」
「まだ寝惚け眼ですね。睡眠スリープが聞きすぎてしまったか、元から疲れがたまってたか・・・あっ、まだ夢の中の方が話しやすいのかもしれませんね。」
「そうだな・・・なにか方法はあるか?」
「じゃあこういうのは?・・・ほろ酔い程度、合ってるかな?『微酔イントクスイケイション』!」


アルバドに酔っ払わせるイメージで唱えてみると、アルバドは少ししたら頬の辺りが赤くなり身体が左右に揺れ始めた。


あっ、ちなみにアルバドのローブは回収しました。素顔はなんとモブ顔。四天王と聞いていたので勿論イケメンかと勝手に勘違いしてまして、イケメンでもなければブサメンでもなく極平凡な男性でした。


話を戻して・・・


「ヨツバ殿・・・何故酔わせたんだ?」
「えっ、だって酔った方が本音がでやすいかと!お酒の勢いで何でも喋っちゃえー♪的な!」


ルンルン気分で話してる四葉にキョトンとしてしまうクロウ。う~んと唸りながら何となく察知して話を進める。


「お疲れ様ですアルバド様!とてもご機嫌ですね~!」
「あぁ~誰だぁ~・・・おぉ美人さんだなぁ!」


四葉がヨイショすると機嫌良く返事を返してくる。クロウは四葉の喋り方や対応の良さに圧倒されていた。
応龍たちは後ろで待機していた。


「今日はかなりお飲みですね~何か良い事がありましたか?」
「あ~四天王様に軽々しく話しかけるでない!まぁお前の美人顔に免じて許してやろう。」
「ふふっ、有難うございます。何か面白いお話でもしてください!」
「面白い話か~そういえばあの話は知ってるか!」


四葉は終始笑顔で世間話に付き合った。男性らしく下町のアノ細道を通った先に遊女に会えるとか、部下の悪口とかモロモロ・・・
クロウは不快に思いながら四葉に任せる。

すると気になる事を言い出した。


「あのギンギの野郎は本当に腐ってる!前のラーヤ村を襲うとか何とか話を聞いて不愉快になったもんだ!あ~あいつは悪知恵ばかり働いて困ったものだよ~。」
「あら、ギンギというのは、あのギンギ少将様の事ですか?」
「ああ、あの成り上がり野郎だ。少し気になってたアヤンちゃんが巻き込まるのは可哀想に思ったんだけどなぁ~立場上、悪事の証拠がなければ捕まえようがないからね~・・・」


なんと四葉がこの世界に来て最初に関わったラーヤ村の襲撃の事を知っていたのだ。


「・・・やはりあのギンギ少将の仕業だったか。」
「それはそれは・・・仕方無いですね・・・後味悪いお話を聞いてしまって申し訳ありません。」
「ん~まぁ皆権力と金が欲しいからな~仕方ないさ。もうこの国は滅びの道に足を突っ込んでしまってるからなぁ~。」
「・・・あら、そんな怖い事を言わないでくださいませ。」
「あはは~怖がらせたかな~悪いね~」
「いいえ。怖い話も好きですよ?」
「そうか・・・これば極秘の話になるんだけどね~・・・聞くかい?」
「・・・はい、是非とも!」


やっと本題に入った。
さて、どんな悪いお話が聞けるのやら・・・


**************************
アルバドさん口調がかなり柔らかくなりました。
いつも昼に更新してますが予定がある為早めました。

お気に入り数1300人突破有難うございます。感想とかあると励みになります!頑張ります~!
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