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高年期[一学期編]
救世主と思いきや・・・あ、あれ?
しおりを挟む頭がボォ~っとしてる中、大きな音がした方へと目をやる。
黒いスーツ姿に黒いオーラを纏った人物・・・
そこには・・・あぁ、超信頼している前世の兄、銀徹さんがいました!
きゅーせーしゅー(救世主)登場!
「だっ誰だ?」
「・・・あの銀髪・・・っ!あの人は五十嵐秘書だよ!風間理事長の秘書!」
「はっ?なんでこんな所に・・・っ!?」
無言で僕らの所へと近付いてくる。
ひぇ~こんな露になった姿、見せたくないけど、なんせ身体がいう事利かないもんで・・・
ってかこの神経毒?身体全体に効くくせに脳はクリアなままなんですが・・・麻痺毒のようなもんなの?
っと、思い耽ってたらいつの間にか僕にあれこれしてた2人が撃沈してました。
そしてさっき着ていた銀徹さんの上着が僕の上にありました。
・・・早業ですね。
「ぎ、ん・・・にぃ・・・」
「すまん花彫・・・遅くなった」
「ぁ・・・だ、い・・・ぶ・・・」
あー・・・大丈夫と言いたいのに滑舌がぁ・・・
「双葉先生が慌てて俺に知らせに来てくれてな。・・・風間は丁度いなかったから・・・はぁ~~~また花彫に辛い目に合わせてしまって・・・」
「・・・お、にぃ・・・あ、り、が・・・と」
「?・・・あ、何か様子が・・・?」
「・・・び、ひゃ、く・・・し、ん、け、い
・・・ど、きゅ・・・」
「・・・媚薬に神経毒?・・・はぁ、まだそんな物が出回ってるのか・・・」
「・・・にぃ・・・あ、つい・・・」
「・・・とにかく移動するぞ。」
今更ながら保健の先生は双葉先生というんだ。うん、後で・・・いや、薬を盛ったのは先生だから感謝できないな・・・
そう言ってヒョイッと軽々しく僕を横抱きしてくれた。銀徹さんの上着・・・主に僕の下半身の方を覆い隠してるようだけど・・・こ、これ高くないの!?
い、いや確かに他人に下半身、しかもグチャグチャになってるであろうものを見せるのは嫌だけど・・・スーツがぁ・・・ごめんね。
「スーツは気にするな。何着も似たようなのがある。それに後で風間に請求する。」
わぁー銀徹さんサラッと風間くんに金ださせよとしてるし!
うん、お兄は金に対する執着は半端なかったよ。それはやはり前世のを引き継ぐんだね。
さすが金の亡じ・・・
「何か変な事、考えてないか?」
「・・・イ、エ・・・」
「ん、そうか。・・・今はそんなに金に執着してないぞ?今はご貴族様だからな。金はいくらでもある。」
ひょえー!完璧心読まれてた!
・・・それから銀徹さんがスタスタと歩く。向かった先は・・・花園だった。
かなり時間が経ってるせいか日が落ちかけ生徒たちはもういなかった。もちろん愛翔お兄も・・・
「愛翔が心配してたが・・・先に帰らせた。流依もな。」
「・・・」
「とりあえず・・・おい!鬼龍院いるか!」
「・・・あ?」
おうっ!?身体の奥に響くような低いドスのきいた声が花園の奥から聞こえた!あ、鬼龍院さんはまだ作業中なんだ・・・
「すまんな、少し・・・こいつを匿ってくれ。神経毒と媚薬を飲まされたらしい。」
「あ?・・・八乙女か。」
「すまんな、頼む。」
ひえっ!?なにも鬼龍院さんの腕に降ろさなくてもっ!!!って・・・鬼龍院さんも僕を軽々と抱っこするのね・・・
それから鬼龍院さんは、あのバラ園の秘密基地に入っていき僕を寝かしつけてくれた。
「しゅ・・み、みゃ、しぇ・・・」
「・・・クッ!」
「っ!」
「すまん・・・神経毒で滑舌が良くないんだったな。なんとも・・・あぁ、笑ってすまん。」
「い、え・・・」
わっ笑われた・・・。いや素の鬼龍院さんの笑顔は、かなり眼福です!ダンディな笑顔、有難うございます。
「・・・酷な事を言うが、お前の状態からして神経毒は今日中に消えるだろうが媚薬の方は厄介だ。」
「・・・え?・・・ど、ゆ、・・・?」
「それはな・・・俺の知ってる物だったら、間違いなく厄介だ。」
なんなんだろう?厄介って・・・?
「何年も前に全て押収され、もう出回らないはずだったんだがな・・・。その出回ってた媚薬ってのがな、男専用の物で、どーゆうわけか犯されないと永遠に発情する代物なんだ。」
「・・・」
「ちなみに意識はハッキリしているだろう?・・・それが何よりもの証拠だ。・・・どうしたもんか。」
「・・・」
絶句。唖然。・・・ほんと言葉を失った。
本当に、ここって乙女ゲーの世界に似てるだけで内容は全くの別物なんですね・・・
てか、意識してしまったからか、あいつらに弄られてた・・・お尻のほうがムズムズするような・・・
それからまた銀徹お兄が帰って来て解毒剤を飲ませてくれた。・・・うん、口移しで。仕方ないよね。少量しかなかったから溢したらもう無いし。
そして僕が解毒剤が効いて喋れる様になった時、銀徹お兄にとんでもない事を言われた!!
「・・・俺もその媚薬の事を知っててな・・・その媚薬の抜き方も知ってる。かほ、薫風は・・・誰だったら気を許せる?」
「・・・え?・・・な、何を、言って・・・?」
「・・・一生このままにいるか?家に引きこもるつもりか?」
「・・・」
ヒッキー?いや無理。毎日陽を浴びなきゃ生きてけない。そして今の家族を悲しませたくないし。
えー・・・脱童貞じゃなく脱処女ですよねー?犯されるって言ってたし?
・・・何?その処女を捧げる相手を選べって?・・・酷過ぎる・・・
でも・・・一度抜いた(正確には抜かされた)にも関わらず未だに火照りは収まらないんだよね・・・
・・・あーここでも腹を括らなきゃならないのか・・・もう人生に何回腹を括らなきゃならないんだ・・・?
「・・・銀徹さ、ん・・・じゃあ・・・」
「あぁ。そいつをすぐ呼んできてやる。明日は学校を休め。」
わかりましたー。・・・じゃあ・・・あの人を呼んでもらおう。
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