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高年期[一学期編]
知らなかった事。昔を掘り返さないで欲しい
しおりを挟む・・・なんとクラス長、越名くんは同じエリート校に通ってたらしい。同じクラスになった事がなかったので接触はなく全く気付かなかった。
でも越名くんは僕の事を知っていたとは。・・・なんせ6年間、僕はあの応援合戦でかならず歌ってたからだ。そりゃ目立つよね。なんか僕が廊下をあるくと知らない人に挨拶など話しかけられまくったもんなぁ~・・・うん、黒歴史。
愛ちゃんとかどうしてるかなぁ~小学校卒業してからパッタリだもんね・・・あぁ懐かしい。
・・・でもね、それは小学生の頃の事で、僕も声変わりしたわけ。あの時はまだ発達途中の可愛らしい声が出てたから成せた事であり、今の僕は平凡だと思うわけ。無理に決まってんじゃん!
「クラス長、何故そんな昔の話をだすの?僕、もう声変わりして昔の様な声はでないよ。」
「でも歌のセンスはずば抜けて上手いよ!あぁ、このクラスにも薫風くんを知ってる子沢山いるよ?」
は?そうなの?・・・うわ、全っ然わかんない!同じクラスになった子なら絶対覚えているけど、このクラスに知ってる人はいないぞ!?
「薫風くんのクラスはね、特待生が集まるクラスだったんだよ。僕もある程度勉強はできたんだけど、いつも薫風くんとは同じクラスにはなれなかったよ。」
「・・・へぇ?」
「いっつも首位だったから気付かなかったのかな?」
「・・・確かに今思えばクラスの生徒は何年経っても変わらなかったなぁ・・・うん、変だと思ったよ。まさか特待生クラスがあったとは、ね・・・」
「そうそう。・・・で、話戻して、どう?薫風くん引き受けてくれない?」
「え~・・・他のクラスはどうなの?」
凄く面倒なんですが。避けたいです。
先生いわく、オリジナル曲が多いらしい。皆お貴族様ばかりだから知り合いを通して歌を作ってもらって音楽祭に挑んでるらしい。
・・・ちなみに前回優勝クラスの歌は...
「・・・え?今なんて?」
「だから、『大きな古時計』と言う題名の歌だよ。歌詞もメロディも素晴らしくて満場一致だったらしい。」
「・・・」
あ、陽南さんと目が合った。やっぱりそうだ。この歌、題名に「のっぽの」がないけど有名な歌だ。
この世界に何人か転生者がいるんじゃないだろうか・・・?
うーん・・・でもやりたくない。面倒すぎるし、目立ちたくない!切に願う!
・・・でも、何故か周りの人から熱ぅ~い、かなり熱ぅ~い眼差しを向けられてしまい・・・はい、根気負けしました。
なんと優勝クラスには・・・発表はされてないが褒美があるらしい。貴族学校でどんな褒美があるんだろうねぇ・・・
まぁ、やるからには頑張りましょうか。
________
「へぇ?薫風が今回、作詞作曲するの?それじゃ薫風のクラスが優勝間違いないね!頑張って。」
「・・・そんな持ち上げないでよ兄さん・・・大変なんだよ?期限も1ヶ月ないし、どうしよう・・・」
「とりあえず明日は休みなんだから、ゆっくり考えると良いよ。」
「・・・そうだね。」
「・・・ところで今日も一緒に寝るかい?」
「・・・迷惑じゃなければ、一緒に、寝たい・・・です。」
「迷惑じゃないよ。じゃあ枕持ってきたり準備してきなさい。」
・・・兄さん凄く優しい。
あの保健室での出来事以来、一人で寝ると、どうしても前世の記憶が蘇るようで怖くなるようになった。
風間先輩に拉致された時は風間先輩が一緒に寝たお陰で悪夢は見なかったが家に帰って一人で寝ると寝付きが悪かったり、やはり悪夢を見たりして寝れなくなり、それ以来兄さんに頼んで一緒に寝かせてもらってる。
貴族様らしく大の大人が2人寝ても余裕な程大きなベットなので兄さんに甘えて寝かせてもらっている。
兄さんは嫌がる素振りは見せず、寧ろ僕と寝るまでゆっくり話せるからと言って許してくれる。あー兄さん、良い旦那さんになりそう。愛妻家が似合いそうだなぁ・・・未来の奥さん羨ましい!!
あーベットの中に潜ると兄さんの匂いがして落ち着く・・・いつも侍女さんがシーツ取り替えてるけど、やはり毎日同じ物を使ってれば匂いって染み込むよね。兄さんの匂い好きだなぁ~・・・やばい変態っぽい?
次の日、陽南さんを我が家に招待した。もちろん前世の話と音楽祭の話をするために。
僕の部屋に案内して執事に紅茶とクッキーを用意してもらい出ていってもらった。・・・男女二人っきりになっても何もしませんよ?
「ねぇ、音楽祭なんてイベントありましたっけ?」
「あっ、やはり無かったよね。流依兄さんに聞いた時に「何それ?」って思った。」
「やっぱり・・・ところで薫風くん、何か良い歌、思い付く?」
「う~ん・・・前回優勝したって歌・・・あれ絶対前世の記憶もちの人が作った歌だよね。」
「ええ、私もそう思いました。・・・この世界に何人か転生者がいるみたいですね・・・驚きましたわ。」
「これは負けてられないよ・・・陽南さんはピアノ弾けますか?」
「ええ、前世もやってて今もやってますわ。」
「ふふ、それならピアノの演奏で、尚且合唱で歌える歌か・・・うん、あの歌なら皆歌いやすいだろう!」
「あら、私も知ってますか?」
「中◯みゆきの歌。昔作られた曲が再ブームした曲。」
「ああ!あれ、他のアーティストがカバーに使った曲ね!」
「意味も理解しやすいし、何より歌いやすいかなと。あれなら男女関係なく歌えるし、歌詞の意味がわからないと言われても説明できるしね。」
「わかったわ。・・・う~ん、メロディは覚えてるけど楽譜がねぇ~」
「じゃあピアノの部屋に行こう。」
さて、曲は決まった。じゃあ僕は歌詞をノートに書いてピアノは陽南さんに任せるとしますか。
・・・優勝したらなんの褒美がもらえるのやら・・・
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