上 下
48 / 313
中年期

閑話休題...変わった貴族

しおりを挟む
~こちらは鳥羽愛翔目線です。~



________





俺は鳥羽愛翔。農業中学の3年生。



身分は男爵だが俺は小さい頃から花を育てたり観賞したりするのが好きで親にこの学校に通いたいと言ったら二つ返事で許してくれた。


俺には兄と弟がいて男兄弟しかいなかった。
兄が親の後を継ぐため俺と弟は好きなことをさせてもらっている。

兄は男爵家を継ぐのは嫌がっておらず、弟も好きに勉強や習い事をやっている。



とても優しい家族だと思う。





僕が寮長になり新入生を案内していると、この学校では珍しい侯爵家の子が2人入ってきた。


一人は邪答院侯爵家の令嬢。金髪青瞳でつり目。かなりキツそうなイメージ。さすが侯爵令嬢っていう感じだった。

もう一人は八乙女侯爵家の子息。黒髪で前髪も後髪も伸ばし放題のパッとしない気弱そうなイメージ。・・・威圧感を感じない普通の男性に見えた。



・・・どちらも近寄りがたい人だった。







ところが何故か八乙女薫風に親しくさせてもらいたいと言われた。



いわゆる友達になりたいと・・・?



侯爵らしく堂々としていて口調も大人びている。だが偉そうな態度をせず、むしろ一つ一つが丁寧で、感心してしまう程だ。




・・・こんな貴族もいるのかと不思議に思った。




それから何度かご飯を共にしたり俺の部屋へ来て勉強の話や家の話など色々と話をした。



なんだか弟が出来た感じがした。頼られるのは悪い気はしない。




暫くして同じ侯爵の邪答院さんとつるむようになり、俺の所にも2人でくるようになった。




話してみると見た目を裏切る程お淑やかで、いかにも高貴令嬢の様な振る舞いだった。




人は見掛けに寄らないなと思った。


自分が面白いと思った出来事を話すと2人は心から笑ってくれた。特に邪答院さんは高貴令嬢なのにお腹を抑えて爆笑してるよ。・・・う~ん・・・美人が腹抑えて爆笑・・・なんともシュールな光景を目の当たりにした感じだ。




・・・身分を気にする事なく友人のような感じで楽しい時間を過ごした。とても心地よかった。





それから衝撃的な事が起こった。






実習で遅くなり食堂にギリギリに駆け込みご飯をとり、自室で予習してると0時を過ぎてしまった。



明日も学校があるので急いで風呂に入る。








・・・疲れてたので大浴場へと行く。この時間なら1人で満喫できるかなと思い心踊らせながら入ると・・・



人影が1つ・・・ん?見覚えが・・・






「・・・あれ?八乙女さん?」

「わっ!?・・・この声は鳥羽先輩ですか?」







八乙女さんは今シャンプーしてる所で目を瞑ってる中、俺の声で誰だかわかったらしい。





それから離れた所で自分も身体を洗う。



すると八乙女さんが先に浴槽に入り「ふぅ~」とリラックスしたような声を漏らしていた。





「八乙女さんはいつもこの時間に入ってるの?」

「そうですね。僕は・・・少し顔にコンプレックスをもってるので人目を避けてこのくらいの時間に入ってるんです。」

「へぇ~そうなんだ。・・・ちなみに聞いてもいい?そのコンプレックスというのは?」

「あ~見ればわかると思います。先輩も早く風呂に浸かるといいですよ。」

「そう?」





なんだろう?顔に傷でもあるのかな?






「っ!?・・・その目は・・・?そうか・・・確かに目立つね。」

「そうでしょう?・・・この瞳のせいで幼稚園の時にからかわれてしまって・・・それで前髪を伸ばしてるんです。そして小顔の可愛い系らしく、小学校の時に男性に告白もされまして・・・もうコンプレックスの塊です。」

「・・・そっか。苦労したね?」

「はい・・・そうですね・・・」





お風呂に入ってるからか前髪はオールバックにしてるので顔立ちがよくわかる。



やはり目立つのは瞳。くっきり二重瞼で色はネイビーブルー。鼻筋は通っていてぷっくりと膨らんだ唇。そして小顔。



うん、確かに美形だし・・・俺も抱こうと思えば抱けるな。




「小学校の時は2歳離れた兄がいたので、よく守ってもらいましたが、中学は寮生活なので自分の身は自分で守らなければなりませんからね。こう見えて護身用に体術を習ってるんですよ。」

「そうなのか!だから肥料とか軽々運べたんだな。」

「へへへっ。」





うわっ!・・・なんて破壊力がある笑顔。ああ‥これは男女関係なく惚れるわな。



俺も危うく落ちそうになったわ・・・





それから少し他愛のない話をして八乙女さんは先に上がった。






・・・うん、ヤバい。惚れた・・・かも。




かなりスラッとした体型にしっかりとした腹筋。

腰のラインとか色っぽくてお尻も弾力のありそうな丸い形をしていた。


あっ、一応言うが下はタオルで覆ってたよ。でも生地越しに見える姿はエロかった。






・・・俺、こんなにムッツリスケベだったのか?




初めて気付く自分の事。・・・思わず苦笑いをする。








・・・それから、結局八乙女さんの瞳の事は強風で前髪が乱れ注目を浴びてしまい、今じゃ1年の人気者になってしまった。




八乙女さんは無視する事なく話しかけられれば返事をし、告白されればちゃんと言葉を選んで断っていた。



八乙女さんは成績はいつも首位だ。とても頭がいい。





容姿良し。頭も良し。身分も良し。良いとこ尽くしで有料物件と認定され隙あらばアピールしてくる人は絶え間なく続いた。





・・・俺は友人ポジションでも充分満足している。


でももしも八乙女さんが俺に片寄ってきたら、できれば恋人になりたい。




・・・俺は俺らしく少しずつアピールしていこうか・・・



同じ高校へ行くと言っていたからまだチャンスがある。




うん、頑張ってみようか・・・



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

クソ雑魚新人ウエイターを調教しよう

十鳥ゆげ
BL
カフェ「ピアニッシモ」の新人アルバイト・大津少年は、どんくさく、これまで様々なミスをしてきた。 一度はアイスコーヒーを常連さんの頭からぶちまけたこともある。 今ようやく言えるようになったのは「いらっしゃいませー、お好きな席にどうぞー」のみ。 そんな中、常連の柳さん、他ならぬ、大津が頭からアイスコーヒーをぶちまけた常連客がやってくる。 以前大津と柳さんは映画談義で盛り上がったので、二人でオールで映画鑑賞をしようと誘われる。 マスターの許可も取り、「合意の誘拐」として柳さんの部屋について行く大津くんであったが……?

中イキできないって悲観してたら触手が現れた

AIM
恋愛
ムラムラして辛い! 中イキしたい! と思ってついに大人のおもちゃを買った。なのに、何度試してもうまくいかない。恋人いない歴=年齢なのが原因? もしかして死ぬまで中イキできない? なんて悲観していたら、突然触手が現れて、夜な夜な淫らな動きで身体を弄ってくる。そして、ついに念願の中イキができて余韻に浸っていたら、見知らぬ世界に転移させられていた。「これからはずーっと気持ちいいことしてあげる♥」え、あなた誰ですか?  粘着質な触手魔人が、快楽に弱々なチョロインを遠隔開発して転移させて溺愛するお話。アホっぽいエロと重たい愛で構成されています。

ダンシング・オメガバース

のは
BL
異世界転移したけれど、僕の知ってるオメガバースとなんか違う! なんだってこの島のイケメンたちは、僕にダンスを見せつけるんだ。 僕は先生に相談した。 先生は、右も左もわからぬ僕を拾って保護してくれた人で、僕の担当医のようなものである。 彼が言うには、この島のバース性は独自の進化を遂げていて、ダンスで互いを誘惑するらしい。 しかも検査を重ねるうちに僕のバースは徐々にオメガを示し始めた。 自分のバース性を受け入れられずにいる僕にも、とうとう発情期がやってくる。 こんなとき触れてほしいのは先生だ。だけど、先生は僕のフェロモンの影響を受けない。 このままつらい片思いがずっと続くんだと思っていた。 先生が、僕の前から突然姿を消すまでは。 ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙は生成AIをベースにして、髪型、ポーズ、服装等、多少手を加えたものを使用しております。

過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました

ムーン
BL
ブラック企業に勤めていた俺はある日突然死んでしまった。女神様に転生させてもらえたところまでは良かったのだが、その内容が問題だった。 女神はサキュバスもののエロ本を買っていた俺の好みを曲解し、男版のサキュバス……インキュバスに転生させた。しかも女神様の心付けで男にモテるように、 いわゆる総受け体質にされてしまった。 そのせいでモンスターに性的な意味で襲われるようになったけれど、ヤンデレ気味の弟やドSな勇者様、術や道具を使って落とそうとしてくる精霊使いにいきなり求婚してきた優しいオーガ……彼らに前世では経験できなかった愛情と快楽を与えられ、俺は過酷な世界で生きることを決めた。 人間の女性を襲えないから男から精液をもらうしかないと言い訳して、淫乱になっていくのは俺の流されやすい性格ではなくインキュバスの身体のせいだと言い訳して、抱かれる悦びに溺れていく。 ──── ────── ※暴力・流血・凌辱表現注意 ※攻めが複数居る。主人公が嫌がっても痛がっても犯されることがある。などが苦手な方は避けてください。 ※なんでもいいよ! 酷い目に遭う子が好きだよ! という趣味がないなら避けてください。 ※別投稿の作品と同世界の物語ですが、キャラ・ストーリー共にほぼリンクしないので気にしないでください自己満足です。

寝込みを襲われて、快楽堕ち♡

すももゆず
BL
R18短編です。 とある夜に目を覚ましたら、寝込みを襲われていた。 2022.10.2 追記 完結の予定でしたが、続きができたので公開しました。たくさん読んでいただいてありがとうございます。 更新頻度は遅めですが、もう少し続けられそうなので連載中のままにさせていただきます。 ※pixiv、ムーンライトノベルズ(1話のみ)でも公開中。

大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。

みるくくらうん
BL
R18溺愛BL作品★  田舎の孤児院から、伯母の元で奴隷として過ごし、ひょんなことから地方特待生として王都の学校に進学することになったフィン・ステラ。  劣悪とも言える環境から王都に来たフィンは、住む家を探すよりも先に、憧れだったミスティルティン魔法図書館で教科書を手に入れようと行動を取る。  そこで出会ったハイエルフと何故か恋人になる展開になったが、実はそのハイエルフはミスティルティン魔法図書館を統括する大貴族の長にして王族特務・大魔法師であるリヒト・シュヴァリエだった。  リヒトの寵愛をひたすら受け愛を育む、溺愛系BL。 ------------------- 性描写★付けてます。 殴り書き小説ですが、楽しんでいただければと思います。 2021/07/25 シリーズ二作目配信開始しました☆

BL短編集②

田舎
BL
タイトル通り。Xくんで呟いたショートストーリーを加筆&修正して短編にしたやつの置き場。 こちらは♡描写ありか倫理観のない作品となります。

処理中です...