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高年期[二学期・後編]
し、しんえいたいのみんなぁ~!!!
しおりを挟む鞄からクッキーの入った袋を取り出した途端、奪われ上に掲げられキラキラした目で袋を眺めていた。
「クッキー・・・もう食べられないかと思ったよぉ~。貴重なチョコ、絶妙な甘さ加減のプレーン、紅茶と一緒に食べると絶品のジンジャーに抹茶・・・最高です。」
「・・・」
若干引いた・・・たかがクッキー、何故そんなに拝む?それより話の続きが気になるんですが。
「あの、皆は大丈夫なのでしょうか・・・?」
「ん~・・・ん?あ、ごめんなさい!あまりにクッキーを貰えた事に感激しちゃってました!・・・え~と、確かに嫌がらせ?嫌味をいわれてたよ。どーやって姫の親衛隊だって調べたのかわからないけど、特に1年の親衛隊たちに集中攻撃していたみたいなんだ。」
「僕と同い年の・・・」
「でもね、その嫌がらせ?が・・・なんとも子供じみた嫌がらせでね・・・殆ど親衛隊自身が対応しちゃったんだ。」
「・・・は?」
なんでも、その嫌がらせが噂の事を僕の親衛隊の目の前で皆に聞こえるよう大声で言いふらしたり、影で僕を見つめていた親衛隊に後ろからどつかれ僕の前に出てきてしまって僕に嫌な顔をさせたり・・・その他諸々。なんとも下らない嫌がらせ。馬鹿なのか?
「・・・姫、言いたい事が顔にでているよ?いや、姫のレアな顔を見れて嬉しいんだけどね・・・あからさまで・・・ッブハ!」
「・・・すみません、明らか馬鹿くさい事をするんだなと思って。」
「アッハッハ!そ、そうだね~姫のその率直な意見、凄く好きです!・・・は~、まぁそうゆうわけで、怪我をするとか大事にはいたらないような事ばかりなので、そんな心配するような事じゃないよ~。」
「そうですか・・・はぁ、良かったです。・・・あ、あと、親衛隊の方が・・・何人いるのか、減ったかもと思って大袋にクッキーを入れて持ってきたんですが」
「えっ!まだあるの?・・・あ~俺独り占めしたい・・・」
「今度、人数をちゃんと把握したら人数分作ります。」
「今度?今度って、また作ってくれるんだね!?やったあ~!!!」
「僕の作った物をそこまで喜んでもらえるならいくらでも作りますよ。・・・あ、猫屋敷先輩はいつもの屋上ですか?」
「ん?ネコ?そうだと思うよ。・・・あ~ネコも個別で用意したんだね。」
「はい。僕が今把握しているのは神泉先輩と愛翔さんと猫屋敷先輩だけなんで・・・」
「そっか・・・じゃあ今度集会に顔を出しなよ!姫ならすぐに顔を覚えられると思うし。」
「!・・・ぜひ、参加してみたいです!」
「そっか~。じゃあ今度は体育祭の後すぐだから、その時に呼ぶね。皆を驚かせよう!」
ニシシという副音が聞こえそうな笑顔を浮かべて言ってきた。うん、イタズラ好きなのかな?
では、神泉先輩と別れて猫屋敷先輩の所へ向かおうか~。
_________
「ネコせんぱぁ~い・・・いますか?」
いつもの指定席に向かって声をかけた。・・・眠ってるかな?
近くまで行き顔を覗くとスヤスヤと眠っていた。まぁ秋空で晴天ならまぁ昼寝には丁度良いのかもしれないけど・・・寒くないのかな?
「ネコ先輩・・・猫屋敷先輩・・・」
「スー・・・」
「ダメか・・・仕方ない、前同様置き手紙を書いて置いておくか。とりあえず昼休みが終わるまでここにいようか。」
まだ15分ある。上着を脱ぎ猫屋敷先輩に掛けてみる。・・・うん、何されても本当に起きないね。
まぁ・・・15分ってのあっという間で、チャイムが聞こえたので猫屋敷先輩を起こしてみるが・・・やはり起きなかったね。上着をそのまま被せたままにして教室へと戻った。
「薫風くん!・・・って上着は?」
「知り合いに貸してきた。ところで何か用かい万純くん?」
「鳳くんが探してたよ。授業が終わったらD組に行くといいよ~。」
「わかった。ありがとう。」
克典か。どーしたんだろうなぁ・・・
_____________
「ひーめー?」
「あ、ネコ先輩。」
授業が終わったと同時にドアから猫屋敷先輩が顔を出してきた。・・・うん、僕の上着とクッキーの入った袋をブンブン振り回さないでね。
すぐに駆け寄り廊下へ行くと、上着を背中に被せてくれた。そして抱き着かれ何故か頬擦りされた。・・・ほんと猫みたい。
「姫がわざわざ会いに来てくれたのに起きれなくてごめんねー」
「いいえ。でもクッキーを渡せて良かったです。作ったその日に渡して食べてもらった方が味が落ちないし、すぐに渡したかったので。」
「姫のクッキー美味しくて好き~。家に帰って食べるよ~。あと上着有難う~優しいねぇ姫は~。」
「もう夏も過ぎたので風邪ひいてしまいますよ?まぁ今日は晴天ですか大丈夫かとは思いますがね・・・てか、わざわざ返しにきていただいて申し訳ないです。」
「そんなー謙遜しないでいーんだよー?もーだから姫から離れられないんだよー。」
「え?」
「隊長に聞いたよー。気にしてるようだけど、あれ、嫌がらせにならないような嫌がらせだから気にしなくて良いんだよー?まったく・・・姫の悪口なんか俺たちが信じるわけないんだからさ~?」
「ね、ネコ先輩・・・」
「だーいじょーぶだよー?姫が好きな奴等はみーんな姫の噂なんて全然気にしてないからー。そんでー・・・俺たちは誰も怪我してないから。」
「・・・は?」
「えー、目には目を?歯には歯を?」
「・・・」
「フフーン!姫はドーンとしてればいーんだよー!」
「ハ、ハハ・・・」
おいおいおいっ!猫屋敷先輩、何したんだろう?ってか僕の親衛隊は何者!?はやく集会に行ってみたいな・・・これ、何か決まり事とかないかな?え、一体何をしたの?
と、とりあえず猫屋敷先輩が手をブンブン振って自分の教室へと帰っていった。・・・またサボったりしないよね?あ、丁度チャイム鳴ったし教室へ戻ろうか。
「薫風~」
「おっ、克典。昼間はごめんよ席外してたから。何か用か?」
次の休みに克典の所へ行こうとしたら廊下で鉢合わせした。うん、すれ違わなくて良かったよ。
「噂の真相を知りたくて~」
「あ~うん、理事長とは別れたよ。ほら耳見て。」
「・・・ほんとだね~。どーしてか聞いていー?」
「簡潔に言えば風間理事長が最低で僕から別れを告げたんだよ。」
「へー」
「・・・ねぇ、克典が聞いてきたんだからさ、少しは興味持てよ。」
「まぁ、周りが騒いでたから聞こえてくるんだよねー。知りたくも興味もなかったんだけど、あの薫風にベタ惚れしてた理事長がよく別れたなーって思って確認しにきたんだよ。」
「ベタ惚れね・・・」
「?」
リセット前はそうだったかもね。でも今は違うだろうな。所有物のような感じだったし。
「あーそうそう、運動会の前あたりにうちに来ないか?夢美義姉さんが料理振る舞いたいってー。あ、流依義兄さんと真菜ちゃんもだってー。」
「あ、本当に?わかった兄妹に聞いてみるよ。」
「次の休みとかーどうかってさー。」
「ん。わかった。」
おー久々に夢美姉さんの手料理か・・・うん、楽しみだなぁ。
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