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高年期[二学期・後編]
呼び出し
しおりを挟む・・・なに、この状況。
「ん~・・・はぁ、薫風いい匂い~!」
「・・・」
「政美・・・お前、そんなに薫風の事が好きだったか?」
「なに言ってるの~?もう幼稚園の頃から薫風の事、大好きだったよ~!新くんも爛くんも薫風の事、好きだったじゃんかぁ~?」
天野くんが目を覚ましてからというもの、何故かベッドの上に引き込まれ背中にしがみつかれた・・・
その姿を二階堂くんと子鷹狩くんは訝しい目で見てきてます・・・な、何故そんな目で見てくるわけ?
「・・・そう、だったか?・・・?」
「まぁ、嫌いでは、な、い・・・か?」
「爛くんなんて、いつでも会えるよう自分の領土にあるホテルで歌わせてるじゃ~ん!あ、薫風~僕の所にも歌いに来てよ!」
「えっ?あ・・・それは今度で。2学期は何かとイベントが多いので・・・」
「あーうん、そうだね~・・・運動会、同じチームだったら楽しめたのにねぇ?」
「確かクジで決めたとか。・・・仕方ないですよ。」
「それもそーだね~。」
「「・・・」」
何故か2人がさっきから呆気にとられてるんだけど・・・?
え、こんなのいつもの事じゃん?君たちだって僕を見る度に抱きついてきたんだし?
「・・・?なに~、2人は薫風を諦めたって事?」
「・・・あ?」
「政美、何を言ってるんだ?俺は前から・・・陽南が好き、だったが・・・?」
「そ、そうだ。私も前から・・・陽南が好きだった。」
「・・・」
「だって陽南さん。モテモテだね~?」
「!か、からかわないでくださいまし!・・・えっ二階堂先輩も子鷹狩先輩も、それは本当ですか?・・・薫風くんではなく?」
「は?・・・何故、私が・・・薫風を?」
「・・・」
「どーしちゃったの二人とも?・・・ま~ライバルが減るなら大歓迎だけどぉ~?」
ニッコニコ(笑)ながら僕を抱き締めないでください。ほんと、何故か2人からずぅ~っと見つめられてるんですが・・・い、いたたまれない。
「天野先輩?・・・僕には風間理事長がいますからね?気持ちには答えられませんからね?」
「知ってるよ~?でも仮なんだよねぇ~?いつか別れるなら僕は諦めないよぉ~!いつも2人に先駆けされちゃってたから、この際僕頑張っちゃうよ!」
「いやいやっ!頑張らないでください!?他の方を求めてくださいよ!」
「いいじゃ~ん!・・・はぁ、やっぱ薫風が傍にいると安心する~・・・!」
「・・・」
うん、やはり小悪魔キャラですね。猫みたいにすり寄って甘えてきてるんですが・・・ちょっと、首元でそれは辞めてほしい。柔らかい髪がくすぐったいです。
ってか、陽南さんが静かなんですが?ねぇねぇ二階堂くん、子鷹狩くん、陽南さんフリーになってますよ?・・・ああ、今の天野くんと僕の状況についてこれないって所かな?いやぁ、それにしても好きな子の前でそんな他の事で呆気に取られちゃ駄目でしょ?今アピールする時でしょ!
「・・・陽南さん、なんとかして?」
「な、何故私に話を振るんですの!?私に何を求めてますの?」
「いやぁ~陽南さん静かだからさぁ。何か考えてるのかと。」
「い、いえ・・・お二人から初めて告白されてしまったので・・・」
「「あ・・・」」
「へぇ?・・・初めてなんだ?行動はあからさまだったけどね・・・?」
「ち、違う!言う機会がなくって・・・」
「・・・」
「あれぇ~?二人ともそんな奥手だったっけ~?それって・・・」
「・・・本気、じゃないとでも言うのか・・・?」
「だってぇ~薫風にはあんなにアピールして好き好き言ってたのに?」
「「はぁ?」」
あ、二人してハモった。本当に忘れちゃったんだね。まぁ・・・僕にとっては良い事かな?うん、なんかもうどーでも良くなってきたかな。もうショック受ける所がないからかな?もう二人は僕じゃなく陽南さんに目がいってるみたいだし。・・・未だに風間くんと恋人のままだしね。
というか、二人の反応が面白い。二人には記憶にないけど天野くんがリセットされてない状況のせいか全部記憶に残ってるからね~・・・天野くんに取って二人の行動が異様に思えるよねぇ~うん。
「二人ともどーしちゃったんだろう?まるで記憶喪失になったようだね~?」
「まぁ、あながち間違ってませんよ。とにかく学校へ行けばわかりますよ。」
「ん~?なんか意味深な発言するねぇ~?」
「そうですか?・・・だって、何故か僕は学校の生徒たちに目の敵にされてますから?」
「えー!なんでぇ?すっごく気になるー!」
「多分、僕が学園のアイドル、陽南さんと仲が良いからでしょうか。急に陽南さん人気に火がついた感じですね~。」
「へぇ~なんか不思議だねぇ~?まっ、僕には関係ないけどねぇ~。ねぇ薫風~今日ここに泊まってってよ!薫風がいればもうさっきみたいに眠くならない気がするんだよねー!」
「えぇ~・・・」
何故そんな事を言い出すんだよ・・・まぁ天野くんなら襲われないとは思うけど・・・流石に気が引けるな。
・・・と思ってたのだが、急にドアが開き天野くんの両親?と執事さんが入ってきて何故か僕を巻き込んで抱き締められてしまった・・・
そして執事さんは両親に何と説明したのか僕に頭を下げてきて、おもてなしをさせてほしいと言われ半ば強制的に一泊泊まる事になった。
・・・あ、僕だけじゃなく3人も引き留めれお泊まりになりました。
____________
それから仲良く5人で登校しました。・・・ええ、予想通り大注目を浴びました。生徒会役員と一般人が一人。・・・うん注目を浴びるのは必然的だよねー。
「な~んかぁ~久々の学校だけどぉ・・・なんか雰囲気変わった?」
「だから言ったでしょう?昨日言った先輩の言葉はあながち間違いではないって。」
「え~なんか僕だけ違う世界にきた感じぃ~?なんか気味が悪いなぁ~・・・」
「あ、僕は園庭へ行きます。それでは・・・」
「またね~薫風~!」
「あ、薫風くん、私も・・・」
「陽南は生徒会の仕事がある。」
「あ・・・う~薫風くぅん・・・」
いやいやいや!そんな悲しそうな顔されても助けてやれないし。僕は生徒会でもないし。てか、ご令嬢注目を浴びたくないし!ガクブルもんですよ。
_________
「薫風、風間が呼んでる。放課後来てくれ。」
「わかりました。」
昼間、わざわざ銀徹さんが教室に来て伝言を伝えにきてくれた。周りはキャーキャーと黄色い声が・・・うん、銀徹さんも人気者だよね。しかも滅多に理事長室から出てこないからね。出てきても教務室に行くくらいだしね。例え婚約者がいてもあの美形ですから憧れの的ですよ。・・・うん、前世の兄だからか鼻が高い気分になる。
「何かあったのかい?直接理事長室に呼び出しなんて・・・」
「あ~・・・風間理事長から何か話があるのかもしれない。」
「・・・ああ!そっか・・・ごめん、野暮な事を聞いたね。」
「ん?」
「明日は休みだからね。」
「・・・あ~うん、そうだね。」
そうか、呼び出しってそれのことか。
まぁ、リセット後に追加された風間くんとの契約書を見せてもらう良いキッカケが出来たと思うことにしよう。
さてさて、なんて書いてあるのやら・・・
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