275 / 313
高年期[二学期・後編]
状況整理
しおりを挟むさて、あと気になるのは蛭間さん・・・
昼間出勤だから放課後、皆と話した後に会いに行こうかな。
「か、薫風くん!た、助けてっ!」
「は?」
愛翔さんと別れ教室に戻ると陽南さんに助けを求められた。・・・何事?
「何故いつも八乙女を求める!?そんなに八乙女が好きか?」
「好きとかそんなの関係ありません!こう無理矢理攻められるのは嫌です!」
「・・・だれ?・・・っ!うおっ、とと!」
知らない男が陽南さんと教室で揉み合っていた。・・・そして何故か僕を見つけて背中に隠れた。・・・おい、僕を盾にするんじゃないよ。
おっと!?なんか突進してきたので伸びてきた腕を掴み、捻って後ろをとり関節外れるギリギリまで絞りたてました。はい。
「いでででででっ!」
「・・・陽南さん、この人誰?」
「し、知りませんわ!急に教室にやってきて私の名前を呼んで、私と目があった瞬間襲ってきたのですわっ!」
「へぇ?か弱い女性に巨体な男が襲いかかったんだぁ~?」
「っ!?」
「僕の恋人知ってる~?・・・ここの理事長なんだけど~・・・どうする?」
「ひっ!」
「陽南さん、どーしたい?」
「え?あ、・・・えっと、せ、先輩?あの、私に何か用があったのですか?」
「っ!・・・ぅあ・・・あ、す、好きです!お、俺と付き合ってください!」
「「・・・」」
・・・こいつ、空気読めよ。あ~お兄と全っ然違う面倒!でもある意味、度胸あるよね。うん、立派だよ先輩?その度胸に免じて解放しようじゃないか。
「っ!?あ・・・?」
「ふ、ふふ・・・陽南さん、返事は?」
「へ?あ、えっと?」
「先輩、凄く度胸ありますね。男らしいです。僕は嫌いじゃないですよ。」
「「!?」」
「でも・・・勢いだけじゃ駄目ですよね?突進してしまったら大抵のご令嬢たちは怪我をしてしまいますよ。」
「あ・・・」
「呼び出して、廊下でもいい、2人きりになって、直接告白しても、あ、もし恥ずかしいのであれば手紙でもいいので、気持ちを伝えるのが得策でしょう。・・・いきなり教室に押し寄せて体当たりは駄目ですよ。」
「・・・」
「てなわけで?陽南さん、返事は?告白を受ける?受けない?それとも保留?」
「・・・すみません先輩。私、先輩の事、なにも知りません。ですのでお断りします。」
「・・・っ、わかった。すまない、迷惑をかけた・・・」
はい、一件落着。・・・ってか先生、廊下で見てないで場を納めてくださいよ。何観察してんのさ?
とりあえず陽南さんにもう一度謝って先輩は自分の教室へと帰ってった。僕も自分の席に戻ると万純くんは目をキラキラさせて、紫音さんは何故か悔しそうな顔して僕を見てきた。・・・え、何?
「いやぁ~薫風くんっていつも格好いいよねぇ~!場を納めるのが上手ってか自分のペースに相手を持っていくのが上手ってゆうかっ!ん~惚れ惚れしちゃうわぁ~!」
「・・・おい、惚れ惚れとか何気味の悪い事を言うんだよ。・・・まぁ誉め言葉として受け取っておくよ。」
「んもぅ~素直じゃないんだからぁ~!」
「何そのオネェ口調!やめれ!」
「おねぇ?ああ、女性の様なこの口調の事!?いやぁ~結構柔軟な受け答えが出来るから気に入っちゃってるんだよねぇ~!」
「この・・・チャラ男め!」
「ははは!」
・・・はぁ~この気軽い話し相手、やっぱ万純くんは友人として特別だなぁ~。多分、万純くんいなかったらこんな楽しい学校生活できなかっただろうなぁ。うん、感謝感謝。
でも何故紫音さんが悔しそうな顔で睨んでくるのかわからない・・・僕、何かした?
「・・・良い所で邪魔が入ったわ。何故いつも邪魔をっ!」
「・・・それは紫音さん、あなたを守る為だよ。」
「っ!?き、聞こえて・・・?」
「紫音さん、陽南さんは二階堂先輩の事は好きでないようです。気にせずアピールするといいよ。」
「な、な、なに、を!?」
「ふふ、紫音さんは美人なんだから素直になれば二階堂先輩、振り向いてもらえるよ。男は甘えられるのに弱いから。」
「っ!?」
「陽南さんには他に気になる人がいるみたいなんだ。もちろん、その相手は僕じゃないよ?僕は恋人がいるから。」
「・・・なんなんですの八乙女さん?何が言いたいのです?」
「ん?・・・僕はただ紫音さんを応援したいだけだよ?・・・僕も、紫音さんの気持ち、解るから。」
「え・・・?」
そう、今の紫音さんの状況は僕の今の状況と同じだ。好きな相手に振り向いてもらえない。それがどんなに辛いことか・・・
「僕は紫音さんの、そのツンデレ姿好きだよ。」
「えっ!?す、すき!?な、何を!?」
「もちろん友人としてね。中学の時いつも一緒だったでしょ?」
「・・・あ」
「前みたいに名前で呼んでよ。麗華さんも。」
「・・・私は馴れ馴れしくて男性を名前で呼べません。」
「うん、麗華さんは相変わらずブレないね。うん麗華さんは好きに呼んで?」
「・・・薫風さん。・・・朝のあの態度は、申し訳ございません。・・・今更ですが。」
「・・・うん、流石ツンデレ。うんうん、いいよ紫音さん。前のように気軽に接して?相談も乗るから。」
「つ、つん?・・・わ、わかりましたわ。」
・・・はぁ~~~これで紫音さんの腹ボテエンドは免れたかな?あ、違うな、二階堂ルートでの悪役令嬢の最後は退学処分&親に高齢のジジイに売られるんだっけ?・・・こんな美人さん、バッドエンドになんかさせませんよ。なんなら僕の兄さんあげるよ。
・・・流依兄さん・・・今なら兄さんの気持ちがわかるな。でも兄さんの気持ちに答えられない。ただ一緒に支える事ならできるけど・・・
その後は先生に取り仕切られて皆席に着いて何もなかったように授業が始まった。
___________
3人揃って、まずはこの状況をお兄二人に話す。険しい顔をされたが理解はしてくれてるようだ。
「・・・つまり、そのリセットにより対象者の人格が変わった、と。」
「人格までは変わってないよ。ほんと、記憶を無くしたような感じなんだよ。」
「・・・そうですわね。でも流依さんが薫風くんにそんな冷たい態度を取るとは思いもよらなかったわ。・・・対象者のみが記憶が無くなって多少は周りに影響が出るのは仕方ないとして・・・あ、まさかっ!」
「?」
「八乙女流依は・・・私が知らなかった全クリによって解放される隠れキャラでは!?」
「!」
そ、そうかー・・・流依兄さんが。あ、だからリセットされた・・・?うぅぅ・・・優しい兄さんに戻って欲しい・・・
「顔が整ってるのに何故ヒーローじゃないのかしらと、ずっと思ってましたの。これで納得しましたわ。」
「・・・僕の兄さんが隠れヒーロー・・・だからその弟の僕も顔が整ってるのか?」
「まっ、ナルシスト!・・・いや日本人に取って薫風さんの顔は誰がみてもイケメンの部類に入りますわよね。」
「この瞳の色もそうだし・・・はぁ~兄さんが・・・うん、あまり実感がわかないね。」
「仕方ないですわ。・・・ところでお二人は話に付いてきてますか?」
「「・・・」」
2人とも凄く険しい顔してるんですが・・・え、何考えてるの?
「・・・リセットされた事によって対象者たちの記憶が無くなったのはわかった。・・・それで、何故花塚がモテるようになった?」
「・・・恐らく、私がヒロインだからでしょう。元のシナリオ通りに話が戻っただけですわ。・・・しかも何故か二階堂さんと子鷹狩さんは私に対してかなり好感度が上がってる状態で・・・」
「・・・てか何故2人は陽南さんが僕の事が好きって流れになってるの?」
「それは・・・よく一緒にいるから?」
「なんか変な記憶操作されてるよね。悪役令嬢の紫音さんも僕が中学の時に悪役令嬢にならないよう淑やかな令嬢へと更生できるよう修正したのに・・・それが無かった事になってるなんて。」
「・・・そーいえば、昼間の出来事、あれイベントでしたわ。」
「・・・は?」
「確かあれは、本当は薫風くんではなく攻略中のヒーローに助けてもらうイベントですわ。そして・・・それを操ってたのが紫音さん、つまり悪役令嬢ですわ。」
「・・・」
どーなのそれ?・・・でも、とりあえずはっきりわかった事は、花塚陽南はヒロインに返り咲きしたって事だね!
10
お気に入りに追加
3,597
あなたにおすすめの小説
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
クソ雑魚新人ウエイターを調教しよう
十鳥ゆげ
BL
カフェ「ピアニッシモ」の新人アルバイト・大津少年は、どんくさく、これまで様々なミスをしてきた。
一度はアイスコーヒーを常連さんの頭からぶちまけたこともある。
今ようやく言えるようになったのは「いらっしゃいませー、お好きな席にどうぞー」のみ。
そんな中、常連の柳さん、他ならぬ、大津が頭からアイスコーヒーをぶちまけた常連客がやってくる。
以前大津と柳さんは映画談義で盛り上がったので、二人でオールで映画鑑賞をしようと誘われる。
マスターの許可も取り、「合意の誘拐」として柳さんの部屋について行く大津くんであったが……?
中イキできないって悲観してたら触手が現れた
AIM
恋愛
ムラムラして辛い! 中イキしたい! と思ってついに大人のおもちゃを買った。なのに、何度試してもうまくいかない。恋人いない歴=年齢なのが原因? もしかして死ぬまで中イキできない? なんて悲観していたら、突然触手が現れて、夜な夜な淫らな動きで身体を弄ってくる。そして、ついに念願の中イキができて余韻に浸っていたら、見知らぬ世界に転移させられていた。「これからはずーっと気持ちいいことしてあげる♥」え、あなた誰ですか?
粘着質な触手魔人が、快楽に弱々なチョロインを遠隔開発して転移させて溺愛するお話。アホっぽいエロと重たい愛で構成されています。
ダンシング・オメガバース
のは
BL
異世界転移したけれど、僕の知ってるオメガバースとなんか違う!
なんだってこの島のイケメンたちは、僕にダンスを見せつけるんだ。
僕は先生に相談した。
先生は、右も左もわからぬ僕を拾って保護してくれた人で、僕の担当医のようなものである。
彼が言うには、この島のバース性は独自の進化を遂げていて、ダンスで互いを誘惑するらしい。
しかも検査を重ねるうちに僕のバースは徐々にオメガを示し始めた。
自分のバース性を受け入れられずにいる僕にも、とうとう発情期がやってくる。
こんなとき触れてほしいのは先生だ。だけど、先生は僕のフェロモンの影響を受けない。
このままつらい片思いがずっと続くんだと思っていた。
先生が、僕の前から突然姿を消すまでは。
※他サイトにも掲載しております。
※表紙は生成AIをベースにして、髪型、ポーズ、服装等、多少手を加えたものを使用しております。
過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました
ムーン
BL
ブラック企業に勤めていた俺はある日突然死んでしまった。女神様に転生させてもらえたところまでは良かったのだが、その内容が問題だった。
女神はサキュバスもののエロ本を買っていた俺の好みを曲解し、男版のサキュバス……インキュバスに転生させた。しかも女神様の心付けで男にモテるように、 いわゆる総受け体質にされてしまった。
そのせいでモンスターに性的な意味で襲われるようになったけれど、ヤンデレ気味の弟やドSな勇者様、術や道具を使って落とそうとしてくる精霊使いにいきなり求婚してきた優しいオーガ……彼らに前世では経験できなかった愛情と快楽を与えられ、俺は過酷な世界で生きることを決めた。
人間の女性を襲えないから男から精液をもらうしかないと言い訳して、淫乱になっていくのは俺の流されやすい性格ではなくインキュバスの身体のせいだと言い訳して、抱かれる悦びに溺れていく。
────
──────
※暴力・流血・凌辱表現注意
※攻めが複数居る。主人公が嫌がっても痛がっても犯されることがある。などが苦手な方は避けてください。
※なんでもいいよ! 酷い目に遭う子が好きだよ! という趣味がないなら避けてください。
※別投稿の作品と同世界の物語ですが、キャラ・ストーリー共にほぼリンクしないので気にしないでください自己満足です。
寝込みを襲われて、快楽堕ち♡
すももゆず
BL
R18短編です。
とある夜に目を覚ましたら、寝込みを襲われていた。
2022.10.2 追記
完結の予定でしたが、続きができたので公開しました。たくさん読んでいただいてありがとうございます。
更新頻度は遅めですが、もう少し続けられそうなので連載中のままにさせていただきます。
※pixiv、ムーンライトノベルズ(1話のみ)でも公開中。
大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。
みるくくらうん
BL
R18溺愛BL作品★
田舎の孤児院から、伯母の元で奴隷として過ごし、ひょんなことから地方特待生として王都の学校に進学することになったフィン・ステラ。
劣悪とも言える環境から王都に来たフィンは、住む家を探すよりも先に、憧れだったミスティルティン魔法図書館で教科書を手に入れようと行動を取る。
そこで出会ったハイエルフと何故か恋人になる展開になったが、実はそのハイエルフはミスティルティン魔法図書館を統括する大貴族の長にして王族特務・大魔法師であるリヒト・シュヴァリエだった。
リヒトの寵愛をひたすら受け愛を育む、溺愛系BL。
-------------------
性描写★付けてます。
殴り書き小説ですが、楽しんでいただければと思います。
2021/07/25
シリーズ二作目配信開始しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる