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高年期[二学期・後編]

リセット・・・その答えは、

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『リセットし、新たな恋を目指しますか?・・・yes/no』




夢、だよね?風間くんにガンガン攻められた挙げ句ブラックアウトしたんだよね?・・・辺りは真っ暗です。目を開けてるのか閉じてるのかわからない、ただ機械的音声が耳、いや頭の中に、脳に直接響いてる感じがする。



とにかく、今なんて言った?「リセット」?ハッピーエンドって風間くんに僕の気持ちを伝えた事が終点って事?




・・・確かに、ゲームでの流れは1年かけて攻略対象者の好感度を上げて、3年生が卒業する時に、お目当ての対象者に告白される。・・・って流れだよね?




今は・・・まだ中間地点。運動会すらやってませんよ?中間テストが終わった所なんですけど?・・・途中でHE(ハッピーエンドの略)するとかおかしくないか?バグ?バグですか?てか、やっぱこの世界はゲームの世界なん?




『リセットしますか・・・yes/no』





うわっ!なんかまた聞こえた。急かされてる感じがする。



・・・

・・・

・・・・・・・・・




「・・・質問です。もしリセットしたら記憶はどうなりますか?」

『リセットしますか・・・yes/no』

「・・・」





質問しても無理か・・・とにかく聞いて、てか自分の声が出てないから思ってるんだろうが・・・うーん・・・どうすれば・・・





もーヤケだ!







「ほ、保留で!!」

「っ!?・・・薫風、どうしたんだい?」

「っ!あ、和彦さん・・・」





保留で!って心の中で叫んだ途端、口から言葉が出ていたらしく大声をだしてしまい僕を抱き締めてた風間くんを起こしてしまったらしく声をかけられた。・・・あ、あれ?





「どうした?悪夢でも見たか?動機が激しいぞ・・・大丈夫か?」

「あ、は、はい・・・すみません、記憶にはないんですが・・・何か嫌な夢を見たみたいです・・・」

「そうか。・・・なんだか気持ち体が冷えてるようだ。しっかりと毛布の中に入って。」

「は、い・・・」




記憶にはないなんて嘘です。だって未だに頭の中でピコーン・・・ピコーン・・・と呼び出し音が鳴り響いてるんだから。




これ・・・どーしたらいい?




風間くんも攻略対象者だ。もちろん前世の兄達もだ。・・・リセットしてしまったら皆記憶が無くなってしまうのではないか?



ヒロインである陽南さんは?リセットしたらどうなる?それに親衛隊の人たちは?




か、家族は多分大丈夫だと思うが・・・もしかしたら万純くんや紫音さん達の記憶とかはどうなる?




・・・そして、リセットしたら僕は・・・? 





もしかして新学期からやり直し?あ、血の気が引いた気がする。



「・・・薫風、ほんとうに大丈夫か?・・・無理、させてしまったか?」

「!だ、大丈夫ですっ。」

「どこか具合悪いようなら医者を呼ぶが」

「い、医者!?そんなの必要ありません!・・・あっで、では・・・抱き締めてもらってもいいですか?」

「!ああ、いいよ。なにが不安なのかわからないが、抱き締める事で落ち着くならずっと離さないよ。」

「いや、睡眠取ったら離れてくださいね?」

「ん~?・・・ふふ、薫風、もっと甘えて良いんだよ。薫風なら私は喜んで全て受け入れるよ。」

「っ!」




甘い!めちゃ砂糖吐きそうになった!うわぁ恥ずっ!




・・・ああ、そうだよね。



リセット?やり直し?・・・いやいや!僕生きてる!新たな人生!ゲームの世界だろうが僕は今生きてるし今の人生満更でもありません!




腹部に置かれてる風間くんの腕に手を重ね瞳を閉じる・・・







『リセットしますか・・・yes/no』

「ノーで!」

『・・・承認しました。新たな選択です。

1.記憶を残し、対象者の記憶をリセットする。
2.今までの記憶を対象者共にリセットし新たな恋をする。
3.このまま記憶を残し風間和彦と一緒に人生を歩む。

選択を選んでください。』

「・・・は?」




なに新たな選択って?さらにリセットするって言ったのに似たような事言われてるんですが!


こんなのゲームの中には無かっ・・・?あ、れ?




そーいえば僕、エンディング等はインターネットで検索してカンニングしただけで自分でエンディングまでゲーム進めてない・・・?




「ほ、保留で!」

『選択してください。』

「・・・保留で。」

『選択してください。』




あーこれループだ。考える隙を与えてくれない。これはもう無視するしかないな。




_______




寝たのか寝てないのかわからない状況で目を覚ます。・・・すると背中に人肌を感じホッと心を撫で下ろす。




取り敢えずこの後どうしようか。・・・まずこれは陽南さんに相談すべきだな。




「おはよう薫風。起きたかい?」

「っ!お、おはようございます。ですが朝からそんな色気だして耳元で囁かないでくれませんかっ!?」



モソッと身動ぎしたら耳元で囁かれた。あ~この低音ボイスは寝惚けてる僕にとって毒だわぁ・・・一気に目が覚めて顔が赤くなってる気がする。後ろからクスクスと笑い声も聞こえる。・・・ぐぅ、なんだか本当の恋人になったようで恥ずかしい・・・なにこの甘々な雰囲気。・・・ってか今何時?




「そろそろ起こそうと思ってたんだ。もうすぐお昼の時間だよ。」

「そんなに寝てたんですか。・・・すみません、起こしてもらって良かったんですよ?」

「途中目が覚めて悪夢を見たってきいてから心配でね・・・ぐっすり眠ってたようだったから起こせなかったんだ。」

「・・・和彦さん、ほんと僕に甘いですよね。」

「今は特に甘やかしたいかな。もう我慢する必要ないからな。」

「!い、いや節度を保ってください!?」

「学校ではそうしよう。だが今は我が家だ。・・・なぁ?薫風。」

「えっ!?あ、はい・・・いや、あの、何を・・・」

「ふふ・・・」




え、あのこの流れは・・・?い、いやもう無理ですよ?昨日あんだけヤりましたよね!?何僕のバスローブ脱がしにかかってるのかな?え、いや、無理・・・





あ・・・僕、今すぐリセットしたい気持ちになったわ。これは、体、持たないわ。・・・夢美姉さん、ほんと尊敬します。是非、絶倫様の手懐け方を教えて下さい。





・・・




お風呂に入らせてもらい遅いお昼ご飯をもらった。・・・はい僕は今、風間くんの膝の上。その理由は御察しください。



早く陽南さんに相談したかったんだが・・・うん、動けない。どーしよ?未だに警報ともいえるピコーンって音が鳴り響いてるんですが。頭の中で。ちょっと、いやかなり鬱陶しい。




執事さんがすっごいジト目で風間くん睨んでるんですが本人は素知らぬ顔で流してる・・・執事さん、凄く風間くんに遠慮しなくなったね~。






・・・で、家には帰れずその日はずっと風間家にお世話になって、次の日、つまり学校が始まった日に一緒に登校しました。・・・車から降りたらすかさず後ろを取られぎゅう~っと抱き締められた。・・・はぁ、もう学校だから離れて欲しい。




「じゃあね薫風。・・・はぁ~離れたくないなぁ~・・・」

「・・・昨日までずっと一緒にいたでしょう。もう学校ですから!は、離れてくださいっ!」

「恥じらう薫風は本当に可愛いな。」

「ちょ、ちょっと・・・っ!」





「なに門前でイチャついてる・・・」

「あ!銀徹さん、助けてっ!」

「風間・・・薫風に何をした?」

「いや何も。・・・薫風、例え元兄でも俺以外の奴に助けを求めるのは妬けてしまうな・・・」

「ひえぇ!ぎ、銀徹お兄っ・・・!」

「風間、いい加減にしろ」





丁度銀徹さんが通りすぎてくれて助かった~。声が一トーン落ちたのは僕の切羽詰まってすがり付いたからだ。心臓鷲掴みされた気分になるから嫌。でも声が好きです。あ、本体も好きですよ兄として。



そして銀徹さんに助けられ、愚図った風間くんを銀徹さんに任せ、やっと教室へとたどり着いた。






・・・そこには、険しい顔した陽南さんが教室に入ってきた僕を睨み付けてきた。




え、何・・・?



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