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高年期[二学期・前編]

閑話休題…恋人として②

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薫風が目を覚まし、まず身体の調子を聞く。・・・この様子だと昨夜の甘い一時は記憶に残ってないようだね。



昨日の出来事を掻い摘んで話すとうつ伏せの体勢で頭を抱え始めた。・・・うん、面白い。薫風の付けた印を見せると顔が真っ赤になった。ふふ、可愛い。薫風は好奇心で付けただろうが私にとっては嬉しかったんだけどね。薫風の所有物になったようで。・・・まぁ私はその倍以上は薫風に付けてるんだけどね。



それから動けない薫風に制服を着せ横抱きし学校へと行く。



はぁ~充実した休日を取れたな。また書類整理がんばろうか。




___________




はぁ



かなりキツイ。これ、毎年恒例のイベントでやってるのに、この苦情の量・・・校長も大変だな。


ああ~五十嵐もしんどそうだ。すまないね。





まったく・・・内容が似たようなものばかりでうんざりする。「こんな危ない行事は廃止すべき」、「もっと内容を考えて安全にやるべき」、「怪我をして万が一、傷が残ってしまったらどーするのだ」などなど。・・・これは行事であって内容は子供達が考えて行ってるものなんだがなぁ・・・それは教師たちの監視不届きだったのかもしれないが何でも禁止してしまうと行事の楽しみがなくなってしまうし・・・




難しいものだ。




理事の集会でも話題に上がっていた。親は好き勝手文句を言う、子は子で不満がでてくる、仲裁に入る先生方が大変だと。・・・そうは言っても他の理事長たちは口だけ愚痴って解決案を言わない。ただの井戸端会議のようなものだ。




・・・うんざりする。




この中で私が一番若く、話のネタになる。これはいつもの事だがら、ただ作り笑顔を浮かべ話に相槌をうつ。




「君の管理してる学校は有名校だからね。大変だろう。」

「管理・・・ええ、そうですね。行事がある度に校長先生が頭を悩ませてますね。」

「ははは!そうだろうそうだろう。ご貴族様の相手は大変だなぁ~。」





管理。




まるで猛獣を管理しているような言い方だな。まぁ貴族学校は数少ないからな。だからと言って言い方が・・・ちょっと対抗してやろうか。





「そちらの学校も・・・役員の奥様方が問題を起こしたとか・・・」

「な、何を・・・!」

「爵位のある先生は大変ですね。生徒に留まらず保護者にもおモテになられる。・・・先生には厳しく注意をしても四六時中監視できるわけありませんからねぇ・・・」

「うっ・・・わ、私はまだそんな情報は」

「ではお名前をお教えしましょうか?2年5組のーーー」

「わ、わかった!すまんかた。もうそれ以上は!」

「・・・そうですか。まぁ、どこぞの令嬢のように世間話をしたいのであれば私に関係ない所でお願いしますね。」

「ぐっ・・・」





はー・・・少しは気晴らしになったか?





___________





「失礼します。・・・って、どうしたの銀徹お兄!?顔色が・・・」

「ああ、よく来たな薫風。いや、すまん寝不足だ。風間は先に昼食を取るといい。」






ああ、もう昼か。・・・薫風。ああ凄く久々に会った感じだな。



薫風も勉強や行事で忙しいだろうに、わざわざ弁当を作ってくれてるのが、凄く恋しい、愛おしい気持ちでいっぱいになる。我ながら現金だな、疲れが一気に吹っ飛びそうだ。




それから思いっきり抱き着き、食べさせてもらえるよう我が儘を言った。労うように溜め息を付きながらも食べさせてくれた。・・・うん美味い。薫風の手料理は何でも美味しい。



本当は口移しが良かったけど時間がないって事で却下され妥協されあーんしてもらった。・・・それから膝の上に乗せ薫風を堪能した。ここが学校でなければ、仕事が残ってなければ、この場で薫風を押し倒し色々とできたんだがな・・・仕方ない。




丁度五十嵐も仮眠から帰ってきたので薫風と別れる・・・ああ、離れがたいな。




「・・・仮眠、とるか?」

「いや、薫風を補充できたから大丈夫だ。今日はできる所まで終わらせたい。」

「・・・わかった。だが休憩は俺が取れと言ったら取れよ。」

「ああ、わかった。」





うん、秘書は優秀だ。よく私をみているよ。ちゃんとスケジュールも整えてくれるしな。




・・・だが薫風に抱きつくのは苛ついたぞ?薫風も顔を緩めて抱き締め返すんじゃないよ!も~私も薫風を抱き締めてやる!あ、薫風を押し潰してしまった。「ぐえっ!」と苦しそうな小さな悲鳴が聞こえた。・・・ふふふ、そんな声も可愛らしい。




・・・休日は薫風は学生らしく友人と勉強をするらしい。仕方ない。と言ってもまだ仕事が残っているから結局は会えない。




「和彦様・・・大丈夫ですか?」

「大丈夫だ足利。もう少ししたら休む。・・・ああ、湯を張っておいてくれ。」

「・・・畏まりました。」




すまないね足利。行事が終わるまで仕事は終わりそうにない。無理してでも今やらないと薫風との時間がなくなってしまうからね・・・今だけ頑張らないとね。



__________






薫風が3年が仕掛けた罠に嵌まってしまった。・・・木工用ボンドの池。2年に背中を押され池にボチャン。全身の半分をボンドに浸りべちゃべちゃになっていた。




急いで薫風の元へいく。・・・すると前から裸足で走ってる薫風を見つけ声をかける。


そしてすぐに横抱きにして運動部の更衣室に設置されているシャワー室へと入り薫風にシャワーをかける。自分は上半身だけ脱ぎ薫風の髪を洗う。・・・まったく、薫風の艶やかな髪にこんな物を付けて、傷んでしまうじゃないか!











そう、か・・・親はこんな気持ちで学校に苦情を・・・?





薫風に予備の私服を渡す。・・・ん?何故サイズがピッタリなんだって?そりゃあ・・・ね?いつも薫風の身体を隅々まで堪能してるからね。服のサイズ、指のサイズ、靴のサイズ、全てわかるよ。



・・・ああ、何故すぐ服が用意できたかって?・・・それはね、いつ汚しても替えを用意できるよう理事長室に予備の服を置いてるからだよ。・・・いつ何時、何があるかわからないしね。しかもそれは私限定で薫風を汚した時に限るが、ね?




薫風がイベントに戻る際に抱き締めキスをする。軽く啄むようにチュチュッと薫風の唇の柔らかさを楽しむように・・・うん、柔らかい。





少しだけ薫風を補充できた所で理事長室へと戻る。そしてまた溜め息が止まない程の書類とにらめっこをしながら整理していく・・・もう少しの辛抱だ。



親の心境を少し理解できたところで・・・少しクレームの見直しをしなくてはな。保護者が安心できるよう対応して、後に校長と先生方と要会議だな。




 次の休みは薫風とまたゆっくり過ごしたいな・・・この学校はかなり行事がギュウギュウに詰められているからな。少しでも仕事を早く終わらせ薫風との時間を増やしたいな・・・


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