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高年期[夏休み編]
お出かけ。のち告白。
しおりを挟むはい、清々しい朝を迎えました。
昨日は結局別室へと案内され「念のため私が出ていったのち、扉の鍵をお閉めください。和彦様が忍び込んでくる可能性がございますので念には念を・・・」と言われ夜の挨拶を済ませ軽やかに出ていった。・・・うん、久々に一人になれたし、言われた通り鍵をかけようかな。ああ言ってきたんだ、きっと扉の鍵は執事さんが持ってるだろうから安心できる。
そして夜はぐっすり眠ることができた。やっぱり一人の時間も大切だよね。
扉からノック音が聞こえ執事さんがお迎えにきたんだと気付き鍵を解除して朝の挨拶を済ませ朝食をとりに食卓へと向かった。
「おはよう薫風。夜はゆっくり休めたかい?」
「おはようございます。はい、お陰様でぐっすり眠ることができました。」
「うん・・・そっか・・・それは、良かったよ。」
なんか風間くんが疲れきってる気がするんだけど・・・?な、なにがあった?
チラッと執事さんを見たらニッコリ笑顔で返された。うん・・・この話題は出さない方が懸命ですね。
「薫風、今日は買い物へ行かないかい?」
「買い物?」
「薫風にピアスを贈ろうと思ってね。指輪とか身につけるアクセサリーでも良かったんだけど、ピアスの方がずっと着けてられると思ってね。」
「・・・え、いらないです。」
「じゃあ手錠にする?首輪もいいね~。」
「もっといらないです!」
「我が儘だね。」
「どこがっ!?」
変な押し問答の末、とりあえず買い物へ行こうということになった。
___________
「・・・本当にこれを買うのですか?」
「嫌?じゃあ・・・これは?」
「・・・こんなの付けれませんよ。」
只今、宝石店へと来ています。・・・あのね、確かに私は宝石は好きよ。でも何カラット?っていう程大きなダイヤモンドが付いてるピアスを平気で買おうとしてるから呆れて苦言を申してる最中です。
・・・あれやこれや風間くんが指名しては僕が却下してを繰り返し、ふと気になるピアスを見つけた。あれ?これって・・・
「何か良いもの見つけたかい?」
「え?あ、いや・・・なんでもないです。・・・次行きましょう」
「・・・」
あの至極色に灰色が混ざってる宝石の付いたピアス・・・あれ、確かエピローグのフォトグラフに風間くんがヒロインにプレゼントする姿が載っていたような・・・
もしかしてこの店で買い求めたのかな?・・・他のアクセサリーを横流しで見ながら思い耽る。
まぁロマンチックだよねぇ~自分の髪色と瞳の色が混ざってる色の宝石を好きな相手に渡すのってさぁ。ずっと側にいたいとかそーいう意味合いがあるんだよね。
でもピアスを贈るのは何か意味があったっけ?確かアクセサリーの中で一番身に付けやすいもので「離れていても自分の存在を感じてもらいたい」という意味合いがあるんだっけ。そしてもう1つ、「自分好みの恋人になって欲しい」という趣向が違う意味合いもあったね・・・まさに独占欲。
ネックレスは「首輪」、ブレスレットは「手錠」、指輪は「所有の証」、アンクレットは「足枷」、時計は「時の束縛」・・・ピアスはまさしく「独占」みたいだね・・・
まぁアクセサリーを想い人に渡す時点で好意を示してる意味合いが発生するわけで、その中で何を上げるかによって独占欲の強さが示しだされるね・・・ピアスが一番独占欲強いんだけどね。指輪もかな?
物色で終わり車へと戻る。・・・それから何店舗か回ったが何故か何も買わず、途中レストランに寄り帰る事になってしまった。・・・何がしたかったんだ?
風間家に帰宅し、手を引かれ風間くんの自室へと連れていかれた。・・・え、何?
「ねぇ薫風・・・あの返事を聞かせてくれない?」
「え・・・?」
「お試しでもいいから私と恋人にならないかって事。もちろん薫風の気があれば本当の恋人になってもいい。むしろ恋人になりたいな。」
「っ・・・」
あれ冗談じゃなかったのか!?うわぁ・・・マジか。
子鷹狩くんといい、風間くんといい、二階堂くんに克典に・・・な、何故こんな僕に告白してくるわけ!?しかも軽いお付き合いじゃなく婚約くらいの重い方。い、いや本来のお付き合いはそもそも結婚前提の意味を持ってるんだろうけど・・・なんだろう、僕のイメージではもっとこうラフな感じのお付き合いのイメージが強くてねぇ・・・
「何を迷ってるの?とりあえずお試しで・・・そうだな、1ヶ月という期間を設けようか。1ヶ月私と本気で付き合ってみて、1ヶ月経ってもまだ独りでいたい、私とは相性が合わないと思ったら別れてもいいよ。・・・どう?」
「・・・1ヶ月。その間、本気の付き合いとは?」
「1ヶ月愛し合うんだよ。まぁ今と変わらないって事。あ、流石に付き合ってる時は実家に帰っていいよ?でも学校が休みの日には私と付き合ってもらいたいな。学校でも空いてる時間とか、お昼とかも一緒にとりたいな。」
「・・・もし1ヶ月経っても気持ちが揺るがなかったら和彦さんは僕を諦めるんですか?」
「ん?・・・それはないかな。だって私はもう薫風以外に好きになる相手はいないからね。これは断言できる。・・・だから私に付き合ってくれないか?好機を私に与えてくれ。」
「・・・」
・・・どーする?こんな展開になるなんて思いもよらなったぞ!?
でも・・・そうか、1ヶ月か・・・
「1ヶ月・・・ですね。」
「そう・・・お付き合い期間は1ヶ月だよ。その間に私は全力で薫風を振り向かせて私の事を好きになってもらうよ。」
「・・・そのあとは?」
「薫風の気持ち次第だよ。延長してもいいし、無理だと思ったらそこでお付き合いは終わりにしてもいいし・・・私に寄り添ってくれるなら婚約して、薫風が卒業したら結婚したいな。」
「けっ結婚!?いや、同性同士で結婚できるんですか!?」
「できるよ。婚姻届も出せるし、結婚式もあげれるよ。」
・・・マジか。てか、その事を知ってるという事は式を挙げた人もいれば婚姻届も出した人がいるって事だよね。・・・はぁ、ここ、本当に乙女ゲームの中なのかよ・・・
「ふふ・・・どうする薫風?まぁ、私は付き合う付き合わない関係なく薫風に積極的に接するけどね。ただ、気持ちの問題?それに私と付き合っていると公言すれば薫風に手を出す人が減るよ?襲われたりする可能性が減ると思うよ?」
「!」
「私と付き合ってると公言すればたくさんの利点があるよ。・・・どうだい薫風?」
「・・・」
「わ、かり・・・ました。受け入れます。」
「!・・・ああ、薫風・・・」
「お付き合いお受けします。よ、よろしくお願いしま・・・うわぁー!!」
「ああ、やっと手に入れた!薫風、もう離さないよ!」
「ちょ、ちょっとっ!?」
あれぇー?なんか幸先悪い?・・・何故か嬉々として横抱きされてもう見慣れた廊下を足早に移動してるのですが・・・?ちょちょっと待って!?この先って・・・まさかっ!
「ちょっ!?和彦さん?何っ何処に向かってるんですかっ?」
「もちろん寝室だよ?愛を確かめるために一刻を争うんだ!」
「はっ、はぁぁ!?ちょっと待ってまだ夕方にもなってませんけど!?・・・っ、ひえっ!?」
バンッ!と思いっきり蹴り破り寝室の扉を開けたよこの人!そして中に入ってまた脚で扉閉めたし・・・荒いなぁ
てか早速もうあの選択に後悔してるんですけど・・・か、帰りたい。
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