2 / 9
2 覗き穴が上達した
しおりを挟む
レベルアップにより、特殊技能だけが上昇する訳じゃない。
忍び歩きや弓、隠形や罠などの、毎日駆使している職技能や基礎体力、基礎筋力も上昇した。
筋肉の付き方は敏捷性重視、狩人に比べると、持続性がやや劣り、筋力がやや強い。
狩人の職技能は上昇しないので、獲物の解体や革剥ぎ、薬草や果実の採取技術などは、気合いと根性で必死に頑張り、人一倍勉強して克服した。
ーーーーー
「ファイ、頑張ってるわね」
教会の書庫で草木図鑑を書き写していたら、リリナが声を掛けて来た。
リリナは薬師の天職を得た女の子で、最近教会の書庫で良く会う。
天職の宣託前、教会の学問所では喋ったことがほとんど無かった。
村一番の勉強家で秀才、しかも陽気な美人さんだ。
「森の事を勉強するのが俺の商売だからね、書き写して持ち歩いてるんだ」
「ふーん、字も絵も綺麗で羨ましいわ」
盗賊には偽造技能の一つとして模写が職技能としてある。
「狩人は手先が器用だからね」
「あっ、それペペロ草ね。今度実習で使うんだけど高いのよねー」
ペペロ草は特徴がはっきりしている草だ。
森の奥の限られた場所で群生している。
「どの位必要なんだい」
「そーね、十本くらいかしら」
「それなら、明日の狩のついでに取って来てあげるよ」
「えっ、本当。ありがとう、ファイ」
翌日の夕方、一束を持ち帰り、ただであげたら喜んで抱き付いて来た。
「助かったわー、見習い時期の薬師って貧乏人なの」
ーーーーー
努力は必ず報われる、これが僕の最近のポリシーになっている。
経験値が貯まってレベルアップした。
特殊技能の穴の持続時間がまた倍になり、二十セア(秒)に伸びた。
発動可能回数も四回となり、指先からの穴の深さも六十ナイ(センチ)になった。
ミロの姿が余裕で拝める様になった。
ミロは、風呂から部屋に戻って来ると、バスタオルをハラリと落した後、手足にクリームを塗ってから着替える。
ベットに腰掛け、片膝立ててクリームを塗っているミロの姿なんかは、鼻血と涙が出る程うれしくて、跪いて拝みたいくらいだった。
クリームは、ミロが家の仕事を手伝った御駄賃を貯めて買ったのだろう。
でも、残り少なそうなのが凄く心配だったので、新しいのを買ってあげた。
「うわー、お兄ちゃんありがとう」
「何時も世話になってるしな、それに俺は今金有るし」
「でもなんで私がこれ使ってるの知ってたの」
「えー、そのー、ウー。そうだ、そうだ、カミラに聞いたんだ」
「ふーん、まあ良いわ。貰っておく」
能力はすべてミロの鑑賞に使いたかったのだが、技能の把握も必要だと考え、自分の部屋の中で穴の技能を確認してみた。
今まで必ず壁に穴を開けていたのだが、壁以外の場所にも穴を開けられることが解った。
目の前の何も無い空間に壁をイメージして指をプチッと突っ込むと、そこに穴を開ける事が可能だった。
穴の中に指を突っ込んでみると、目の前で自分の指が消え、六十ナイ先で自分の指が宙に浮いている。
なんか不思議な光景だった。
お告げの時の初期情報らしきものがあって、穴の向う側からはこちらが見えなことは知っていたが、反対側からは指も通らないようだった。
こちら側からの、一方通行の穴と言う事らしい。
こちら側からならば、指以外の物、穴の太さ以下のペンの様な物ならば、通過可能だった。
通過させている最中に穴が消えた場合、単に穴が無い状態に戻るだけで、通過している物が破壊される様な事は無かった。
穴の深さは意識する事により調整可能だった。
穴を開ける事が可能な指は、人差し指から小指までで、足の指では穴が開かなかった。
ーーーーー
「凄いじゃないかファイ、銀貨四百枚なんて、お前たちの年代じゃ一番なんじゃないか」
納品してあった毛皮や肉の月の支払いが昨日あった。
気が付いたら先月は銀貨四百枚稼いでいた。
普通の職人さんの月の稼ぎですら銀貨二百枚、まだ見習い状態の僕と同年代の連中ならば、銀貨五十枚が良いところだ。
でもレベルアップの為に頑張っていたら、何となくそれだけの稼ぎになっていただけで、正直あまり興味がない。
第一、狩の道具と筆記用具以外、あまりお金を使う機会が無いのだ。
家にお金を入れると言ったのだけれど、父さんから自分で使えと言われてしまった。
母さんからは、僕が狩から持ち帰る、肉や茸や果実や芋だけでもう十分だと言われてしまった。
リリナとはまだ教会の書庫で良く会う。
薬草を時々持ち帰ってあげるので、替りに手作りの傷薬なんかを貰っている。
「四分の一の大きさに書き写すなんて、それ何なの。私の倍以上早いし」
「この大きさの方が持ち運びし易いんだよ」
僕は今、薬草図鑑を模写している。
リリナも同じ本を模写していたので、書き写す速さがはっきりしてしまう。
リリナは、文字部分は早いのだが、絵が苦手のようだ。
難しい絵は時々手伝ってあげている。
「くー、ファイの絵と私の絵って何でこんなに違うのかしら」
リリナは全体の形を見比べて絵を描こうとしている。
僕は全体を二十等分して、それぞれの部分の形を記号として暗記し、正確に書き写している。
「リリナ、甘い物でも食べに行かないか」
「んー?私お金無いわよ」
「昨日、月の支払いが有ったから、俺が奢るよ」
「へー、ファイって一杯稼いでいるってみんな噂してるんだけど、内緒にするから幾らなのか教えて」
「銀貨四百枚」
「えー!びっくり。それなら奢って、奢って、奢って」
教会を出たら、カミラとばったり会ってしまった。
カミラは何か僕を睨んでいる。
「カミラ、ファイって大金持ちなの、甘い物奢ってくれるんですって」
「良かったわね」
「カミラも一緒にどうだ」
「勿論よ」
険悪な雰囲気にもならず、二人は楽しそうに御喋りしながら付いて来る。
僕の一人相撲で、二人の僕に対する気持ちはこんな物なのだろう。
近道を通ろうと思い、住宅地の裏路地を抜けようとしたら、三人の男達に行く手を塞がれた。
逃げようとしたら、背後も三人の男達で囲まれていた。
「おう、ファイ。女二人連れなんて良い御身分だな。てめー金回りが良いだってな、少し俺達に寄付してくれよ」
「お嬢ちゃん達は置いていけよ。これから為になる事教えてやるからよー。けっ、けっ、けっ」
「初めてだろうから、懇切丁寧に教えてやるぜ。ひっ、ひっ、ひっ」
「ファイにも男教えてやろうぜ」
「んー、じゃ、身包み剥ぐか」
僕の職業を譲ってやりたい連中なのだが、この連中の職業は農夫と牛飼いだ。
それが面白くなくて毎日遊び回り、村の鼻摘まみ者になっている。
ボス格のデリルは、二十歳を超えていた筈だ。
カミラもリリナも僕の背中に掴って震えている。
「カミラ、リリナ。危ないから俺から離れろ」
「うん」
「ひっ、ひっ、ひっ、こいつやる気だぜ。女の前で恰好つけやがって。思い知らせてやるぜ」
デリルが近付いて来た。
背丈は僕よりも頭一つ高い、身体付きも僕より二回り大きい。
射程に入った、僕はポケットの中へ突っ込んだ右手でデリルの腿の前に穴を作り、ポケットに隠し持った長針を突き刺した。
「うっ」
デリルが腿を押えた。
僕は一瞬でデリルの背後に回り、喉元にナイフを押し当てた。
僕はこの方法で二度、森の中で命を拾っている。
一度目の相手はゴブリンだった。
二度目の相手はオークだった。
オークの首を掻き切った時の、血の噴き出すぞくぞくした感覚が蘇って来て、目の前が白くなる。
「ぎゃー、助けてくれー」
デリルの叫び声で我に返った。
腕の力を抜くと、転がる様にデリル達が逃げて行った。
デリルは失禁しているようだった。
この背後を取る技は、盗賊の技能だ。
盗賊の血が騒いで、危なく人を殺してしまうところだった。
「きゃー、ファイ、恰好良い」
「わー、ファイ、素敵」
二人が飛び付いて来た。
二人には、僕が人を殺しそうになったことが、ばれていないようだ。
まだ心臓がどきどきしている。
「さあ、甘い物食べに行こう」
忍び歩きや弓、隠形や罠などの、毎日駆使している職技能や基礎体力、基礎筋力も上昇した。
筋肉の付き方は敏捷性重視、狩人に比べると、持続性がやや劣り、筋力がやや強い。
狩人の職技能は上昇しないので、獲物の解体や革剥ぎ、薬草や果実の採取技術などは、気合いと根性で必死に頑張り、人一倍勉強して克服した。
ーーーーー
「ファイ、頑張ってるわね」
教会の書庫で草木図鑑を書き写していたら、リリナが声を掛けて来た。
リリナは薬師の天職を得た女の子で、最近教会の書庫で良く会う。
天職の宣託前、教会の学問所では喋ったことがほとんど無かった。
村一番の勉強家で秀才、しかも陽気な美人さんだ。
「森の事を勉強するのが俺の商売だからね、書き写して持ち歩いてるんだ」
「ふーん、字も絵も綺麗で羨ましいわ」
盗賊には偽造技能の一つとして模写が職技能としてある。
「狩人は手先が器用だからね」
「あっ、それペペロ草ね。今度実習で使うんだけど高いのよねー」
ペペロ草は特徴がはっきりしている草だ。
森の奥の限られた場所で群生している。
「どの位必要なんだい」
「そーね、十本くらいかしら」
「それなら、明日の狩のついでに取って来てあげるよ」
「えっ、本当。ありがとう、ファイ」
翌日の夕方、一束を持ち帰り、ただであげたら喜んで抱き付いて来た。
「助かったわー、見習い時期の薬師って貧乏人なの」
ーーーーー
努力は必ず報われる、これが僕の最近のポリシーになっている。
経験値が貯まってレベルアップした。
特殊技能の穴の持続時間がまた倍になり、二十セア(秒)に伸びた。
発動可能回数も四回となり、指先からの穴の深さも六十ナイ(センチ)になった。
ミロの姿が余裕で拝める様になった。
ミロは、風呂から部屋に戻って来ると、バスタオルをハラリと落した後、手足にクリームを塗ってから着替える。
ベットに腰掛け、片膝立ててクリームを塗っているミロの姿なんかは、鼻血と涙が出る程うれしくて、跪いて拝みたいくらいだった。
クリームは、ミロが家の仕事を手伝った御駄賃を貯めて買ったのだろう。
でも、残り少なそうなのが凄く心配だったので、新しいのを買ってあげた。
「うわー、お兄ちゃんありがとう」
「何時も世話になってるしな、それに俺は今金有るし」
「でもなんで私がこれ使ってるの知ってたの」
「えー、そのー、ウー。そうだ、そうだ、カミラに聞いたんだ」
「ふーん、まあ良いわ。貰っておく」
能力はすべてミロの鑑賞に使いたかったのだが、技能の把握も必要だと考え、自分の部屋の中で穴の技能を確認してみた。
今まで必ず壁に穴を開けていたのだが、壁以外の場所にも穴を開けられることが解った。
目の前の何も無い空間に壁をイメージして指をプチッと突っ込むと、そこに穴を開ける事が可能だった。
穴の中に指を突っ込んでみると、目の前で自分の指が消え、六十ナイ先で自分の指が宙に浮いている。
なんか不思議な光景だった。
お告げの時の初期情報らしきものがあって、穴の向う側からはこちらが見えなことは知っていたが、反対側からは指も通らないようだった。
こちら側からの、一方通行の穴と言う事らしい。
こちら側からならば、指以外の物、穴の太さ以下のペンの様な物ならば、通過可能だった。
通過させている最中に穴が消えた場合、単に穴が無い状態に戻るだけで、通過している物が破壊される様な事は無かった。
穴の深さは意識する事により調整可能だった。
穴を開ける事が可能な指は、人差し指から小指までで、足の指では穴が開かなかった。
ーーーーー
「凄いじゃないかファイ、銀貨四百枚なんて、お前たちの年代じゃ一番なんじゃないか」
納品してあった毛皮や肉の月の支払いが昨日あった。
気が付いたら先月は銀貨四百枚稼いでいた。
普通の職人さんの月の稼ぎですら銀貨二百枚、まだ見習い状態の僕と同年代の連中ならば、銀貨五十枚が良いところだ。
でもレベルアップの為に頑張っていたら、何となくそれだけの稼ぎになっていただけで、正直あまり興味がない。
第一、狩の道具と筆記用具以外、あまりお金を使う機会が無いのだ。
家にお金を入れると言ったのだけれど、父さんから自分で使えと言われてしまった。
母さんからは、僕が狩から持ち帰る、肉や茸や果実や芋だけでもう十分だと言われてしまった。
リリナとはまだ教会の書庫で良く会う。
薬草を時々持ち帰ってあげるので、替りに手作りの傷薬なんかを貰っている。
「四分の一の大きさに書き写すなんて、それ何なの。私の倍以上早いし」
「この大きさの方が持ち運びし易いんだよ」
僕は今、薬草図鑑を模写している。
リリナも同じ本を模写していたので、書き写す速さがはっきりしてしまう。
リリナは、文字部分は早いのだが、絵が苦手のようだ。
難しい絵は時々手伝ってあげている。
「くー、ファイの絵と私の絵って何でこんなに違うのかしら」
リリナは全体の形を見比べて絵を描こうとしている。
僕は全体を二十等分して、それぞれの部分の形を記号として暗記し、正確に書き写している。
「リリナ、甘い物でも食べに行かないか」
「んー?私お金無いわよ」
「昨日、月の支払いが有ったから、俺が奢るよ」
「へー、ファイって一杯稼いでいるってみんな噂してるんだけど、内緒にするから幾らなのか教えて」
「銀貨四百枚」
「えー!びっくり。それなら奢って、奢って、奢って」
教会を出たら、カミラとばったり会ってしまった。
カミラは何か僕を睨んでいる。
「カミラ、ファイって大金持ちなの、甘い物奢ってくれるんですって」
「良かったわね」
「カミラも一緒にどうだ」
「勿論よ」
険悪な雰囲気にもならず、二人は楽しそうに御喋りしながら付いて来る。
僕の一人相撲で、二人の僕に対する気持ちはこんな物なのだろう。
近道を通ろうと思い、住宅地の裏路地を抜けようとしたら、三人の男達に行く手を塞がれた。
逃げようとしたら、背後も三人の男達で囲まれていた。
「おう、ファイ。女二人連れなんて良い御身分だな。てめー金回りが良いだってな、少し俺達に寄付してくれよ」
「お嬢ちゃん達は置いていけよ。これから為になる事教えてやるからよー。けっ、けっ、けっ」
「初めてだろうから、懇切丁寧に教えてやるぜ。ひっ、ひっ、ひっ」
「ファイにも男教えてやろうぜ」
「んー、じゃ、身包み剥ぐか」
僕の職業を譲ってやりたい連中なのだが、この連中の職業は農夫と牛飼いだ。
それが面白くなくて毎日遊び回り、村の鼻摘まみ者になっている。
ボス格のデリルは、二十歳を超えていた筈だ。
カミラもリリナも僕の背中に掴って震えている。
「カミラ、リリナ。危ないから俺から離れろ」
「うん」
「ひっ、ひっ、ひっ、こいつやる気だぜ。女の前で恰好つけやがって。思い知らせてやるぜ」
デリルが近付いて来た。
背丈は僕よりも頭一つ高い、身体付きも僕より二回り大きい。
射程に入った、僕はポケットの中へ突っ込んだ右手でデリルの腿の前に穴を作り、ポケットに隠し持った長針を突き刺した。
「うっ」
デリルが腿を押えた。
僕は一瞬でデリルの背後に回り、喉元にナイフを押し当てた。
僕はこの方法で二度、森の中で命を拾っている。
一度目の相手はゴブリンだった。
二度目の相手はオークだった。
オークの首を掻き切った時の、血の噴き出すぞくぞくした感覚が蘇って来て、目の前が白くなる。
「ぎゃー、助けてくれー」
デリルの叫び声で我に返った。
腕の力を抜くと、転がる様にデリル達が逃げて行った。
デリルは失禁しているようだった。
この背後を取る技は、盗賊の技能だ。
盗賊の血が騒いで、危なく人を殺してしまうところだった。
「きゃー、ファイ、恰好良い」
「わー、ファイ、素敵」
二人が飛び付いて来た。
二人には、僕が人を殺しそうになったことが、ばれていないようだ。
まだ心臓がどきどきしている。
「さあ、甘い物食べに行こう」
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる