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アナタ目線

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待ち合わせ場所に着いたが君はいない。
おかしい。
絶対いるはずだ。
近くを探すがどこにもいない。
かれこれ2時間は待った。
電話も繋がらない。
焦りだしどうしようと思っていたら電話がなった。
君からだ。
急いで出ると君の声ではなく警察からだった。
君は死んだと言う。
おかしい。
そんなはずは無い。
急いで行くと警察は身元確認をお願いしますと言われ見せられた。
君だ。
何故そこにいる?
肌を触ると冷たい。
何故起きない?
「いつまで寝てる。起きて帰るぞ。」
そう言いながらゆさぶるもなかなか起きない。
いつもなら起きるのにおかしい。
見かねた警察が「奥さんが亡くなられた時に手にしていた物です。」
と物を渡された。
見ると青色のシャツだ。
君がくれたシャツ。
何故これを手にしながら寝たんだ?
よっぽど寂しかったのか?
可愛いやつだ。
「ほら、いい加減に起きろ。帰るぞ。渡す物があるんだ。」と強くゆさぶる。
なかなか起きないからだんだんとイライラしていき「いい加減にしろ!!何度言わせれば分かるんだ!!早く帰るぞ!!」そう言うと警察は可哀想な目でみながら「奥さんは死んだんですよ。心臓だって動いてないでしょ。目を覚ましてください。」と君の足元を見せてきた。
見ると君の足から太ももにかけてぐちゃぐちゃに砕けていた。
「……え?……な、んだこれは?」
そう呟く。
「18階の高さから落ちたんです。そりゃあぐちゃぐちゃになりますよ。ただ顔が無事だったのは奇跡ですよ。」
そう言われだんだんと頭が冷えていき状況がわかっていく。
「…ほんとに…死んだのか…?何故だ?何故死んだ?今日はデートだったろ?ネックレスも買ったんだ…君に似合うと思って…それなのになんで……」
だんだん目がぼやけていき涙がぼろぼろと流れていく。
「…ぐずっ…なんで……ひっぐ……」
みっともなく鼻水まで流し君を見る。

どうやって家に帰ったかわからない。
フラフラと君の部屋に入る。
ベッドに倒れ込むと君の香りがする。
「いい匂いだ……」
会いたい、会いたい、会いたい、会いたい。
どうしたら会えるだろうか。
ずっと考えるうち1週間がたった。
仕事にも行かずずっと君の部屋にこもりっきり。
そうしてるうちふと思った。
「そうか、会いに行けばいいんだ。」
そう言うと君のクローゼットをあける。
あれがあるはずだとさがしていたら探している物が見つかった。
それは黄色いカーディガンだ。
付き合って2年目にプレゼントしたものだった。
大事に奥にしまってあった。
匂いを嗅ぐと君の匂いがいっぱいに香ってくる。
カーディガンとネックレスを抱きしめながらベランダへと向かう。
ベランダに出ると生暖かい風がふいてくる。
「今から君に会いに行くね。」
そう言いながら飛び降りたのだった。


会えるかも分からないのにね。
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