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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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 スープにとろみをつけるコツが分かってきた。
 思っていた通り、粉はいっぺんに入れず、少しずつスープに混ぜ込んでいく。
 あと、本当に少しで良いみたいで、多めに入るとプディングより固まるってことも分かった。かちかちではないのに、しっかりしてて、皿の上に出して揺らしても崩れない。
 これはこれで別のものが作れそうだって話にラズロさんとなって、今日の夜、宵鍋に行ってザックさんに相談に乗ってもらう事にしている。

「そう言えばまた、ダンジョン閉じに行くんだって?」

「冬になると行くのも大変だから、今のうちに行ける所に行く、ってノエルさんが言ってました」

「出来るのがアシュリーだけとは言え、こんないたいけな子供を酷使し過ぎだろうよ」

 レンレンさんがよく行く場所のダンジョンにはもう行って、閉じてきた。
 ミズル草はそのままにしておいたから、ポーション作りに使えるってティール様が言ってた。
 その時、ティール様には一週間ぶりに会ったんだけど、あまりにげっそりしててびっくりした。

「なんか買ってもらえよ国に、って言いたいんだが、この国、まだ赤字だもんなぁ。その赤字を補填するのにもアシュリーが一役買ってるときた」

 まったく、不甲斐ねぇなぁ、と言ってラズロさんは息を吐く。

「もし、ワガママを言っても良いなら、端肉が欲しいです」

「あれか! 良いな! 今年も大量に買おう! ナインに手伝ってもらえばオレも煮込めるからな!」

 ナインさんとラズロさん、ティール様の三人で、魔力がなくても魔術符を使う方法を編み出そうとしてるのは話に聞いていたけど。
 きっと凄いことだと思うんだけど、そのきっかけが薪を使わずに料理する為、って言うのが、ナインさん達らしいって言うか。

「今回はさ、胡椒とかもたっぷりあるから、より一層美味く作れそうな気がするよなぁ」

 ダンジョン蜂の蜜、胡椒なんかはギルドにも卸してる。胡椒は外から買い付けるしか出来なかったから高値だったけど、今は手に入れやすい値段になったみたいで、感謝されてるって聞いた。

「あー、熟れてないリンゴ、売ってるかな、後で見てくるわ」

 去年、出した料理を思い出したみたいだ。
 リンゴはイモと違って溶けにくいから、煮込みに向いてると思う。

「あ、キノコも見てくるわ。また作るだろ? キノコのペースト」

「はい、お願いします」

 豚の端肉で作ったペーストと、キノコで作ったペーストは便利で使い勝手が良いから、今年も作りたい。

「あ、ラズロさん」

「ん?」

「もし手に入るなら、レンネットが欲しいです」

「レンネット?」

「はい、冬の間は時間があるので、チーズを作ろうかと思うんです」

 村にいた時は、他の人を手伝ってたけど、メルがいるんだし、自分で作ってみたくなった。

「アシュリーさんてば、チーズまでお作りになられちゃうの?」

「村では手伝っていたので、作り方は知ってたんですけど、一人では作ったことなかったので、やってみたくって」

「良いね良いねー、アシュリーさんが色んな事に関心を持つの、オニーサンとしては応援したいね。
レンネットな、探してくるわ」

「手に入らなかったら、良いですから、気にしないで下さいね」

「オニーサンのコネを舐めんなよ、絶対見つけてくるわ」
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