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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

047-3

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 ラズロさんは頭をガリガリかいてから、仕方ねえなぁ、と呟いて氷室に行った。
 オイルを手に戻ってくると、蜜蝋の中にオイルを入れていく。

「蝋燭作りはまた今度な」

「これは何になるんですか?」

 オイルが入った蜜蝋を、ラズロさんはぐるぐるとかき混ぜていく。

「つや出しだな。木で出来たもんは使ってると割れてくるだろう。それを防ぐのにオイルを擦り込んだりもするけどな」

「へぇーっ、ラズロさん、物知りですね」

「もっと褒めてくれて良いぞ。って言うのは冗談としてだ。さっき教わってきたんだよ。蝋燭も良いが、オイルを混ぜてつや出しにするのも良いぞ、ってな。
ついでに分けて欲しいとよ」

 出来たぞ、と言われてつや出しの入った器と布の切れ端を渡される。

「これを食堂のテーブルや椅子の表面に塗るんだ。床には塗るなよ。滑るからな」

 僕とナインさんは器と布を持ってテーブルの前に立つ。布につや出しを付けてテーブルを拭くと、表面がつやつやになった。

「すごい、キレイになった」

 僕とナインさんは見合って笑顔になる。

「塗りすぎるとボコボコになるみたいだから、ほどほどになー」

「はーい!」

 二人で木で出来ているものをあちこち拭いて回っていたら、あっという間につや出しはなくなってしまった。
 もっと塗りたかった。

「また作ろうぜ。
ほら、この前ザックに教わった奴をご褒美に食わしてやるから」

 カウンターにナインさんと並んで腰掛けると、黄色くてふるんとしたものが入った器と、スプーンを渡された。

「え、今作ったんですか?!」

 まさか、とラズロさんは笑う。

「昨日の夜だよ。さ、食え」

 スプーンですくって口に入れると、柔らかい甘さが口いっぱいにした。

「美味しい! ラズロさん、これ、なんですか?!」

「おっ、二人とも良い反応してくれるねぇ」と言ってにやりと笑うとラズロさんも自分用にと出してきたものを口にする。

「うん、初めてにしては美味く出来たな。
プディング、って言うらしいぞ。前にとった蜂蜜を少しもらって入れてある」

 プディング。

「ザックの故郷ではな、なんでもプディングにするんだってよ」

「へーーっ」

 具を入れるってことかな?

「また卵が余ったって言われたら、これでも作って休憩に来た奴にでも食わしてやろうぜ」

「毎日食べたい」

 ナインさんがラズロさんに訴える。
 毎日食べたくなる気持ち、ちょっと分かる。これ、すごく美味しい。ふるんとして、口の中ですぅっと溶けた。

「毎日食ったら飽きるだろ。たまに食うから美味いんだよ、こういうのは」

 そう言ってラズロさんはナインさんの頭を撫でた。

「まだ残ってるから、食って良いぞ」

 僕とナインさんは顔を見合わせて、喜んだ。

 卵と、ミルクと、蜂蜜の甘さで、疲れがなくなるみたいだった。

「ラズロさん、殿下にも食べてもらいたいです」

 トキア様もいつもいつも大変そうだし、食べたら少しは疲れが取れるんじゃないかな。

「じゃあ、もう一回作って、出来たのを持ってくか。アシュリー手伝ってくれ」

「はーい!」

 ナインさんも手を上げた。
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