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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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「ミズル草とダンジョンの関係に気付いたのはアシュリーだって聞いたよ! ミズル草が群生したあ」
「パラーリジ」

 ノエルさんの声がして、レンレンさんがぱたりとその場に倒れた。
 ……ぴくぴくしてるけど、大丈夫なのかな……。

 ノエルさんとクリフさんがやって来て言った。

「寝かせた方が良かったんじゃないか?」

「それでも良かったね」

「おかえりなさい、ノエルさん、クリフさん」

 足元のレンレンさんのことも気になるけど、先に挨拶をしておく。

「ただいまー」

 二人とも笑顔を見せてくれた。
 ……心なし、疲れがにじんでるけど。

「戻った」

「これを運んだら食堂に行こうと思うんだけど、二人はまだ見て回る?」

 これ、と言って倒れているレンレンさんを指差す。うつ伏せにはなってないから、呼吸は大丈夫そう。

「今日はこの後にギルドも行くからな、早くはないな」

「僕達も報告をしなくちゃいけないし、丁度良いかもね」

 クリフさんがレンレンさんを持ち上げて、脇に抱える。クリフさんは騎士であんな重い剣を振り回しているぐらいだから、小柄なレンレンさんを抱えて歩くぐらい、なんて事ないのかな。凄いなぁ……。

 またね、と言って二人がいなくなって、僕たちはギルドで買い物をしてから城に戻る事にした。



 広場の花売りの屋台でジャッロたちにあげる花を買って帰る。
 ダンジョンに入ってジャッロたちに花をあげると、花の周りをぐるぐる飛んでいた。喜んでくれてるみたいで、僕としても嬉しい。

 少し蜂蜜をもらってから食堂に戻ると、ナインさんがいた。

「アシュリー、おかえり」

「戻りました、ナインさん、蜂蜜入りのミルク飲みますか?」

 勢いよく頭を縦に振るナインさんに、ラズロさんが笑う。
 僕の腕の中の金ダライを覗き込んでナインさんが言った。

「蜜、取った巣、どうする?」

「巣? フルールが食べてます」

「巣、溶かすと蝋燭に出来る」

「へぇー!」

 村だと大人達が持って行ってしまうから、巣を使って何かをした事がなかった。

「やってみたいです」

「簡単。明日教える」

 頷いて、厨房に入る。
 蝋燭作りはした事ないから、ちょっと楽しみ。

 ノエルさんとクリフさんが食堂にやって来た。

「ノエルさん、蜂蜜入りミルク飲みますか?」

「ありがとう、いただきます」

「クリフはコーヒーで良いな?」とラズロさんが尋ねると、クリフさんが頷いた。

 腰掛けてミルクを飲む。

「早速だけど、レンレンがいつもミズル草を採取しに行ってた場所に、ダンジョンが出来ていたんだ」

「これまではなかったらしいから、一定の魔力がそこに滞留したんだろう」

「レンレンが大興奮しちゃって」

 それであの状態になったのかな?

「後日、アシュリーに閉じてもらう必要があるね」

 ダンジョンそのものは問題がなくても、モンスターが住み着いてしまうと問題になる。

「モンスターは魔力を好むからね、ミズル草の匂いに誘われてやって来て、ダンジョンに住み着くんじゃないかな」

 ミズル草の匂い……。

「ダンジョンを閉じたとしてもその地は魔力が滞留しやすい土地だと言う事は変わらないからね、また出来てしまうだろうけど、被害が発生する前に気付けるのは大きいね」

「ダンジョンメーカーが作ったダンジョンの近くには生えないんですね」

「そうだね。魔力が滞留する場所に作ればミズル草も繁殖するんだろうけど、ダンジョンメーカーの持つ魔力で以ってダンジョンを作るから、扱いが違うんだろうね」

 なるほど。

「ミズル草とダンジョンの関係性について、国内の村や街に知らせる事になったよ。
ダンジョンはこれまで閉じる事が出来なかったからね、同じ場所にまたダンジョンが出来る事についても伝えて、注意喚起出来るのはとても重要な事だね」

 モンスターに住みつかれる前に何とか出来るって事だもんね。

「問題は、出来てしまったダンジョンを、ダンジョンメーカーしか閉じられないって事だけど、その地に滞留した魔力を集めてダンジョンの生成を防ぐ手立てはティールがなんとかすると思う」

 ……ティール様、頑張って。
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