194 / 271
第三章 ダンジョンメーカーのお仕事
046-6
しおりを挟む
「ミズル草とダンジョンの関係に気付いたのはアシュリーだって聞いたよ! ミズル草が群生したあ」
「パラーリジ」
ノエルさんの声がして、レンレンさんがぱたりとその場に倒れた。
……ぴくぴくしてるけど、大丈夫なのかな……。
ノエルさんとクリフさんがやって来て言った。
「寝かせた方が良かったんじゃないか?」
「それでも良かったね」
「おかえりなさい、ノエルさん、クリフさん」
足元のレンレンさんのことも気になるけど、先に挨拶をしておく。
「ただいまー」
二人とも笑顔を見せてくれた。
……心なし、疲れがにじんでるけど。
「戻った」
「これを運んだら食堂に行こうと思うんだけど、二人はまだ見て回る?」
これ、と言って倒れているレンレンさんを指差す。うつ伏せにはなってないから、呼吸は大丈夫そう。
「今日はこの後にギルドも行くからな、早くはないな」
「僕達も報告をしなくちゃいけないし、丁度良いかもね」
クリフさんがレンレンさんを持ち上げて、脇に抱える。クリフさんは騎士であんな重い剣を振り回しているぐらいだから、小柄なレンレンさんを抱えて歩くぐらい、なんて事ないのかな。凄いなぁ……。
またね、と言って二人がいなくなって、僕たちはギルドで買い物をしてから城に戻る事にした。
広場の花売りの屋台でジャッロたちにあげる花を買って帰る。
ダンジョンに入ってジャッロたちに花をあげると、花の周りをぐるぐる飛んでいた。喜んでくれてるみたいで、僕としても嬉しい。
少し蜂蜜をもらってから食堂に戻ると、ナインさんがいた。
「アシュリー、おかえり」
「戻りました、ナインさん、蜂蜜入りのミルク飲みますか?」
勢いよく頭を縦に振るナインさんに、ラズロさんが笑う。
僕の腕の中の金ダライを覗き込んでナインさんが言った。
「蜜、取った巣、どうする?」
「巣? フルールが食べてます」
「巣、溶かすと蝋燭に出来る」
「へぇー!」
村だと大人達が持って行ってしまうから、巣を使って何かをした事がなかった。
「やってみたいです」
「簡単。明日教える」
頷いて、厨房に入る。
蝋燭作りはした事ないから、ちょっと楽しみ。
ノエルさんとクリフさんが食堂にやって来た。
「ノエルさん、蜂蜜入りミルク飲みますか?」
「ありがとう、いただきます」
「クリフはコーヒーで良いな?」とラズロさんが尋ねると、クリフさんが頷いた。
腰掛けてミルクを飲む。
「早速だけど、レンレンがいつもミズル草を採取しに行ってた場所に、ダンジョンが出来ていたんだ」
「これまではなかったらしいから、一定の魔力がそこに滞留したんだろう」
「レンレンが大興奮しちゃって」
それであの状態になったのかな?
「後日、アシュリーに閉じてもらう必要があるね」
ダンジョンそのものは問題がなくても、モンスターが住み着いてしまうと問題になる。
「モンスターは魔力を好むからね、ミズル草の匂いに誘われてやって来て、ダンジョンに住み着くんじゃないかな」
ミズル草の匂い……。
「ダンジョンを閉じたとしてもその地は魔力が滞留しやすい土地だと言う事は変わらないからね、また出来てしまうだろうけど、被害が発生する前に気付けるのは大きいね」
「ダンジョンメーカーが作ったダンジョンの近くには生えないんですね」
「そうだね。魔力が滞留する場所に作ればミズル草も繁殖するんだろうけど、ダンジョンメーカーの持つ魔力で以ってダンジョンを作るから、扱いが違うんだろうね」
なるほど。
「ミズル草とダンジョンの関係性について、国内の村や街に知らせる事になったよ。
ダンジョンはこれまで閉じる事が出来なかったからね、同じ場所にまたダンジョンが出来る事についても伝えて、注意喚起出来るのはとても重要な事だね」
モンスターに住みつかれる前に何とか出来るって事だもんね。
「問題は、出来てしまったダンジョンを、ダンジョンメーカーしか閉じられないって事だけど、その地に滞留した魔力を集めてダンジョンの生成を防ぐ手立てはティールがなんとかすると思う」
……ティール様、頑張って。
「パラーリジ」
ノエルさんの声がして、レンレンさんがぱたりとその場に倒れた。
……ぴくぴくしてるけど、大丈夫なのかな……。
ノエルさんとクリフさんがやって来て言った。
「寝かせた方が良かったんじゃないか?」
「それでも良かったね」
「おかえりなさい、ノエルさん、クリフさん」
足元のレンレンさんのことも気になるけど、先に挨拶をしておく。
「ただいまー」
二人とも笑顔を見せてくれた。
……心なし、疲れがにじんでるけど。
「戻った」
「これを運んだら食堂に行こうと思うんだけど、二人はまだ見て回る?」
これ、と言って倒れているレンレンさんを指差す。うつ伏せにはなってないから、呼吸は大丈夫そう。
「今日はこの後にギルドも行くからな、早くはないな」
「僕達も報告をしなくちゃいけないし、丁度良いかもね」
クリフさんがレンレンさんを持ち上げて、脇に抱える。クリフさんは騎士であんな重い剣を振り回しているぐらいだから、小柄なレンレンさんを抱えて歩くぐらい、なんて事ないのかな。凄いなぁ……。
またね、と言って二人がいなくなって、僕たちはギルドで買い物をしてから城に戻る事にした。
広場の花売りの屋台でジャッロたちにあげる花を買って帰る。
ダンジョンに入ってジャッロたちに花をあげると、花の周りをぐるぐる飛んでいた。喜んでくれてるみたいで、僕としても嬉しい。
少し蜂蜜をもらってから食堂に戻ると、ナインさんがいた。
「アシュリー、おかえり」
「戻りました、ナインさん、蜂蜜入りのミルク飲みますか?」
勢いよく頭を縦に振るナインさんに、ラズロさんが笑う。
僕の腕の中の金ダライを覗き込んでナインさんが言った。
「蜜、取った巣、どうする?」
「巣? フルールが食べてます」
「巣、溶かすと蝋燭に出来る」
「へぇー!」
村だと大人達が持って行ってしまうから、巣を使って何かをした事がなかった。
「やってみたいです」
「簡単。明日教える」
頷いて、厨房に入る。
蝋燭作りはした事ないから、ちょっと楽しみ。
ノエルさんとクリフさんが食堂にやって来た。
「ノエルさん、蜂蜜入りミルク飲みますか?」
「ありがとう、いただきます」
「クリフはコーヒーで良いな?」とラズロさんが尋ねると、クリフさんが頷いた。
腰掛けてミルクを飲む。
「早速だけど、レンレンがいつもミズル草を採取しに行ってた場所に、ダンジョンが出来ていたんだ」
「これまではなかったらしいから、一定の魔力がそこに滞留したんだろう」
「レンレンが大興奮しちゃって」
それであの状態になったのかな?
「後日、アシュリーに閉じてもらう必要があるね」
ダンジョンそのものは問題がなくても、モンスターが住み着いてしまうと問題になる。
「モンスターは魔力を好むからね、ミズル草の匂いに誘われてやって来て、ダンジョンに住み着くんじゃないかな」
ミズル草の匂い……。
「ダンジョンを閉じたとしてもその地は魔力が滞留しやすい土地だと言う事は変わらないからね、また出来てしまうだろうけど、被害が発生する前に気付けるのは大きいね」
「ダンジョンメーカーが作ったダンジョンの近くには生えないんですね」
「そうだね。魔力が滞留する場所に作ればミズル草も繁殖するんだろうけど、ダンジョンメーカーの持つ魔力で以ってダンジョンを作るから、扱いが違うんだろうね」
なるほど。
「ミズル草とダンジョンの関係性について、国内の村や街に知らせる事になったよ。
ダンジョンはこれまで閉じる事が出来なかったからね、同じ場所にまたダンジョンが出来る事についても伝えて、注意喚起出来るのはとても重要な事だね」
モンスターに住みつかれる前に何とか出来るって事だもんね。
「問題は、出来てしまったダンジョンを、ダンジョンメーカーしか閉じられないって事だけど、その地に滞留した魔力を集めてダンジョンの生成を防ぐ手立てはティールがなんとかすると思う」
……ティール様、頑張って。
2
お気に入りに追加
350
あなたにおすすめの小説
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる