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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

043-2

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 ダンジョンを閉じる日は、思ったより早くにやって来た。場所は王都から徒歩で半日ほどの場所にあるというダンジョンで、最近モンスターが住み着いてしまい、洞窟で取れていた研磨石が取れなくなって困る、と届け出があった所らしい。

 ダンジョンの閉じ方はクロウリーさんの記憶を持つナインさんに教えてもらった。
 作る時と同じように、消えるように念じる、というものだった。ただ、閉じる層に自分がいるのは駄目みたいなので、一つ上の層から念じるんだって。
 ちなみにクロウリーさんは作る専門だったみたいで、閉じたことはなかったみたい。

 騎士団の人が御者として付いて来てくれることになった。これからも騎士の人が距離に応じて人数は増えたり減ったりするみたい。
 御者をしてくれる騎士様に挨拶して、馬車に乗り込む。ちゃんと乗り込む為の階段も付いてて、僕たちが乗り込んだらその階段は折り畳まれた。すごい。よく考えられてるんだなぁ。

 幌馬車の中は思った以上に大きかった。
 クリフさんとノエルさんが二人は並んで横になれそう。

「少しずつ必要なものを用意していくつもりでいるから、遠慮なく欲しいものを言ってね」

 僕の頭を撫でながらノエルさんが言った。

「え、では、研究道具を」
「駄目」

 ティール様の言葉をノエルさんが遮る。

「目的を忘れてるんだったら、次からは同行しなくて良いよ」

 突き放すように言われた言葉に、ティール様は首を大きく横に振る。

「ちょっとした出来心です。是非同行させて下さい」

 命令されてティール様は来てくれたのかと思っていたんだけど、違ったみたい。
 ダンジョンに興味があるのかな?

 僕の視線に気付いたのか、ティール様が苦笑いを浮かべながら言った。

「本来は同行者はノエルとクリフだけだったのを、無理を言って連れて来てもらったのです」

「そうなんですか?」

「はい。こんな事でもなければ、私のような非力な魔術師はダンジョンの奥になんて入れません。
向かうところ敵なしなこの二人がいれば何処でも大丈夫でしょうからね」

 ノエルさんは呆れた顔をして言った。

「どうせ、魔術に必要な素材探しが本当の理由だよ」

 うんうん、とクリフさんが頷く。

「素材ですか?」

「騎士団や魔法師団が遠征した際に倒した魔物なんかは、近隣の村や街に置いていくんだよ。荷物になるし、魔物による損害なんかも受けていたりするから、その補填にしてもらう為に。
だけど今回のはそういうものではないから、素材は好きにして良いと殿下から許可をもらっているんだ」

 なるほど。
 だから今朝、会った時からティール様の機嫌が良いんだね。

「そろそろ出発しますが、よろしいですか?」

 御者をしてくれる騎士様が声をかけてきた。

「出してくれ」

 鞭の音がして、馬車がゆっくりと進み出した。
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