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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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 ノエルさんとクリフさんが揃って食堂にやって来た。
 二人とも忙しいから、一緒になるのは珍しい。

 カウンターに二人は腰掛ける。
 コーヒーで良いかと確認すると二人とも頷いたので、朝に挽いておいたコーヒーの粉を容器にセットする。

「パシュパフィッツェ様から、不要なダンジョンを閉じるよう言い付かったから、その相談に来たんだよ」

 揃って食堂に来た理由を教えてくれた。

 確かにパフィに二人に付いて来てもらえとは言われていたけど、忙しくないのかな?

「クリフさんもノエルさんも、忙しいんじゃないですか?」

「不要なダンジョンを閉じると、ダンジョンから出てくるモンスターを減らせる。これも立派な仕事だ」

 クリフさんの言葉にノエルさんが頷く。

「魔力の滞留で出来たダンジョンはそんなに大きくないから良いんだけどね、クロウリーが作ったダンジョンだけは深くて、魔力が尽きない所為でモンスターの成長を促進してしまっていて、困っていたんだ。
閉じる事もダンジョンメーカーが出来ると聞いて、本当に嬉しいよ」

 そうだ。二人はクロウリーさんが作ったって言う危険なダンジョンの帰りに、僕のいた村に寄って知り合ったんだもんね。

「因果を感じるよね。クロウリーのダンジョンを封じた帰りにクロウリーと同じスキルを持つアシュリーに出会ったんだから」

 そう言われると、そんな風に思える。

「そうそう、ティールも一緒に行く事になったから」

「でも、ナインさんがいますよね?」

 一緒に暮らしてるって聞いたんだけど……。

「僕達がダンジョンを閉じに行ってる間は、ナインはラズロの元にいる事になったんだ。
アシュリーがいないと色々と不便になるから、ラズロは。その辺りをナインに助けてもらうみたいだよ」

 なるほど。
 魔術師のナインさんが作る術符をナインさんと一緒に使えば、ラズロさんが料理を作るのも大変じゃないのかな?

「最初は近場のダンジョンから閉じていこうと思っているし、移動は馬を使うから、安心して良い」

 馬。

「アシュリーは僕かクリフと一緒に乗る事になるね」

 ノエルさんの言葉にほっとする。
 馬には乗った事がないから。

「あの、フルールも付いて来ると思うんですけど、大丈夫なんでしょうか?」

 フルール専用の場所とか、たまり過ぎてしまわないのかな。

「それはティールがなんとかするから大丈夫だ」

 あ、そうか。あの術符はティール様が作ったんだものね。

「それなら良かったです。皆が捨てられなくなると困ると思うから」

 ただねぇ、とノエルさんは言って、ため息を吐く。

「ティールに乗馬の訓練をさせているんだけど、なかなか上手くいかなくて……」

「運動の才能はないからな、ティールは」

「馬車じゃ駄目なんですよね?」

 僕はノエルさんやクリフさんに乗せてもらうとしても、フルールだっているし、邪魔にならないのかなって思ってしまう。

「馬車か。そうだね、そっちの方が現実的かも知れない。長距離を見越して馬で移動すれば早くて良いかと思ったんだけど、幌のある馬車なら天候が悪くてもアシュリーが濡れないし、馬車の中で休む事も出来るね。荷物が置けるし、良いかも知れないね」

「御者の手配をすれば出来なくはないな」

 うんうん、と二人は頷き合っている。
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