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第二章 マレビト
028-4
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『アマーリアーナからダンジョン発生の仕組みは教えられてるな?』
頷く。
『本来はその地に滞留した魔力により生成されるものだが、それを無視して生成出来るのが、ダンジョンメーカーと言うスキルだ。スキル保持者の体内にある魔力を使用して生成を行う』
だから、魔力の少ない僕が作っても大したものは作れないって言ってたんだね。
『おまえと違って、ナインの前世であるクロウリーは膨大な魔力を保持していた。実際奴が作ったダンジョンの階層は自然発生するものの比ではない』
ノエルさんが頷く。
クリフさんとノエルさんはクロウリーさんの作ったダンジョンに入った事があるから、知ってるんだね。
『その点おまえは魔力が絶望的に乏しい。安心しろ』
「えっと……ありがとう?」
褒められては、いない……よね?
クリフさんに頭を撫でられてしまった。
『自然発生したダンジョンと、作られたダンジョンの決定的な違いは、魔力濃度の違いであり、それにより生み出される水晶の違いだ』
魔力濃度? 水晶?
ナインさんからパフィになって、いくらか分かりやすくなったと思ったのに、逆に専門的になってしまった気もする。でも、僕以外の人は分かってるみたいだから、理解出来なくても内容を覚えておいて、後でちゃんと理解しよう。
『魔素が集まって濃度が上がると、魔力になる。魔力が形を変えたものが、魔石だ』
魔石。初めて聞く。
『魔石の利用方法、使用方法は今は関係ないからな、必要になったらそこの魔法使いにでも教えてもらえ』
顔を上げるとノエルさんが頷いて微笑んでくれた。
『魔石は魔力を含んでさえいれば、魔石と呼ばれる。だが、不純物が混じっていた場合は、魔力水晶にはならん』
それがさっき言っていた水晶の事?
『クロウリーは膨大な魔力を持ち得ていたが、魔法のスキルは保持していなかった。それが何を意味するか。
魔力が汚れない、と言う事だ』
??
魔力が汚れる??
「……ティールは、あぁ見えて天才魔術師でね。数年前に彼が発表した研究結果があるんだよ」
突然ティール様の話をしだしたノエルさん。僕には突然に思えたけど、つながりのある話なんだろうな。
「魔力は汚れるらしい」
その、汚れる、というものがよく分からない。
「大気中のエーテルが、魔法を使う事で、体内の魔力と混じる、って事なんだ」
「混じると、何か悪い事が起きるんですか?」
僕も、魔法師のノエルさんも、みんな、魔法を普通に使ってるのに、本当は使っちゃいけないものだったらどうしよう……?
「何もないよ。だけど、僕から魔石は生まれても、魔力水晶は作れないって事なんだ。たぶんアシュリーも……」
『アシュリーの魔法はエーテルを使用していない』
ノエルさんの言葉を遮ってパフィが言った。
『アシュリーは己の中の魔力のみを使用して魔法を行使する。魔法使いと言うよりは、我ら魔女に近い』
「何故そんな事が可能なんですか?」
ノエルさんが質問する。マグロは口を盛大に開けて欠伸をした。
『さぁな。可能性として考えられるのは、テイマーのスキルだ。テイマーは精霊に嫌われるからな』
えっ、そうなの?!
ノエルさんが僕に向き直って、「アマーリアーナ様は、その魔力水晶を求めてらっしゃるんですか?」と言った。
そうだ、アマーリアーナ様の言ってたお願い。
『そうだ。魔力水晶は私達魔女にとって、稀少だ。
アマーリアーナは己の為と言うより、ヴィヴィアンナの為に欲しているのだろうがな』
ノエルさんがぽつりと、予言の魔女、と呟いた。
『ヴィヴィアンナは予言の力を持つ。ただそれには凄まじい魔力を必要とする。その魔力を補う為にアマーリアーナが魔力水晶を欲し、アシュリーに目を付けた。
アマーリアーナは秩序を重んじる。その為なら多少の無理は強引に通す』
「……パフィ、何か、悪い事が起きるの?」
マグロのしっぽがゆら、ゆら、とものすごくゆっくり揺れた。
『おまえは時折、異常に勘が良くなるな』
何かを予知しているヴィヴィアンナ様が、その力を使おうとしてるけど魔力が足りなくて。予言をしてもらいたいアマーリアーナ様は秩序を重んじる魔女。
その為に僕をパフィから引き離してでも、ダンジョンを作らせて、魔力水晶を作らせたい。
『起こさない為だ。だからこそ私も協力している』
「パフィが人助けをするなんて珍しいね」
『暇だからな』
うん、そうだよね……ちょっとだけ、感動した気持ちを返して。
頷く。
『本来はその地に滞留した魔力により生成されるものだが、それを無視して生成出来るのが、ダンジョンメーカーと言うスキルだ。スキル保持者の体内にある魔力を使用して生成を行う』
だから、魔力の少ない僕が作っても大したものは作れないって言ってたんだね。
『おまえと違って、ナインの前世であるクロウリーは膨大な魔力を保持していた。実際奴が作ったダンジョンの階層は自然発生するものの比ではない』
ノエルさんが頷く。
クリフさんとノエルさんはクロウリーさんの作ったダンジョンに入った事があるから、知ってるんだね。
『その点おまえは魔力が絶望的に乏しい。安心しろ』
「えっと……ありがとう?」
褒められては、いない……よね?
クリフさんに頭を撫でられてしまった。
『自然発生したダンジョンと、作られたダンジョンの決定的な違いは、魔力濃度の違いであり、それにより生み出される水晶の違いだ』
魔力濃度? 水晶?
ナインさんからパフィになって、いくらか分かりやすくなったと思ったのに、逆に専門的になってしまった気もする。でも、僕以外の人は分かってるみたいだから、理解出来なくても内容を覚えておいて、後でちゃんと理解しよう。
『魔素が集まって濃度が上がると、魔力になる。魔力が形を変えたものが、魔石だ』
魔石。初めて聞く。
『魔石の利用方法、使用方法は今は関係ないからな、必要になったらそこの魔法使いにでも教えてもらえ』
顔を上げるとノエルさんが頷いて微笑んでくれた。
『魔石は魔力を含んでさえいれば、魔石と呼ばれる。だが、不純物が混じっていた場合は、魔力水晶にはならん』
それがさっき言っていた水晶の事?
『クロウリーは膨大な魔力を持ち得ていたが、魔法のスキルは保持していなかった。それが何を意味するか。
魔力が汚れない、と言う事だ』
??
魔力が汚れる??
「……ティールは、あぁ見えて天才魔術師でね。数年前に彼が発表した研究結果があるんだよ」
突然ティール様の話をしだしたノエルさん。僕には突然に思えたけど、つながりのある話なんだろうな。
「魔力は汚れるらしい」
その、汚れる、というものがよく分からない。
「大気中のエーテルが、魔法を使う事で、体内の魔力と混じる、って事なんだ」
「混じると、何か悪い事が起きるんですか?」
僕も、魔法師のノエルさんも、みんな、魔法を普通に使ってるのに、本当は使っちゃいけないものだったらどうしよう……?
「何もないよ。だけど、僕から魔石は生まれても、魔力水晶は作れないって事なんだ。たぶんアシュリーも……」
『アシュリーの魔法はエーテルを使用していない』
ノエルさんの言葉を遮ってパフィが言った。
『アシュリーは己の中の魔力のみを使用して魔法を行使する。魔法使いと言うよりは、我ら魔女に近い』
「何故そんな事が可能なんですか?」
ノエルさんが質問する。マグロは口を盛大に開けて欠伸をした。
『さぁな。可能性として考えられるのは、テイマーのスキルだ。テイマーは精霊に嫌われるからな』
えっ、そうなの?!
ノエルさんが僕に向き直って、「アマーリアーナ様は、その魔力水晶を求めてらっしゃるんですか?」と言った。
そうだ、アマーリアーナ様の言ってたお願い。
『そうだ。魔力水晶は私達魔女にとって、稀少だ。
アマーリアーナは己の為と言うより、ヴィヴィアンナの為に欲しているのだろうがな』
ノエルさんがぽつりと、予言の魔女、と呟いた。
『ヴィヴィアンナは予言の力を持つ。ただそれには凄まじい魔力を必要とする。その魔力を補う為にアマーリアーナが魔力水晶を欲し、アシュリーに目を付けた。
アマーリアーナは秩序を重んじる。その為なら多少の無理は強引に通す』
「……パフィ、何か、悪い事が起きるの?」
マグロのしっぽがゆら、ゆら、とものすごくゆっくり揺れた。
『おまえは時折、異常に勘が良くなるな』
何かを予知しているヴィヴィアンナ様が、その力を使おうとしてるけど魔力が足りなくて。予言をしてもらいたいアマーリアーナ様は秩序を重んじる魔女。
その為に僕をパフィから引き離してでも、ダンジョンを作らせて、魔力水晶を作らせたい。
『起こさない為だ。だからこそ私も協力している』
「パフィが人助けをするなんて珍しいね」
『暇だからな』
うん、そうだよね……ちょっとだけ、感動した気持ちを返して。
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