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第一章 新しい生活の始まり

005-1

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 ミルクトーストとグラタンで使ったけど、それでもまだ残っているミルクをどうしたものかと、ラズロさんと考える。

「昨日のクリームでさ、スープ作れたりしねぇかな」

 スープ。
 野菜置き場を見ると、じゃがいもと、葉がふさふさしてきちゃっている人参と、芽が生え始めてしまっている玉ねぎが沢山あった。

「具がたっぷり入ったスープとかどうですか?
じゃがいもがまだまだ沢山ありますし、人参も葉がふさふさしちゃってるので使ってしまいたいですし、玉ねぎも発芽しようとしちゃってますし。腸詰も沢山ある事ですから、入れちゃいましょう」

 スープに具がたっぷり入ってたら、それで満足出来るんじゃないかな。

「美味そうだな、それにしよう。
あとはパンも大量に余ってるから、それを付けるか」

 在庫を見てくると言って、ラズロさんはパンを保存してある棚に向かった。
 直後、ぬあー!!! という何とも言えない叫びが聞こえた。どういう状況になると、そんな叫びが出るんだろう……?
 慌ててラズロさんの元に向かうと、棚の中のパンがむちゃくちゃになっていた。
 ネズミにやられたのだ。確かに、これはぬあーってなる!

「やられた……!」

 ネズミにあちこち齧られてしまったパンを、皆に出す訳にはいかないし。
 だからと言って買いに行くのも間に合わなさそうだし……。

「粉と水と塩で作れる、僕の村でよく食べていた簡単パンを焼きます。スープを先に作って、煮込んでる間に生地を作って焼けば、時間がかからないから直に焼けます」

 ラズロさんとじゃがいもやら人参やらをスープ用にカットしていく。人参の葉は、コッコ用にもらった。

「棚の下にこぼれたパン屑さ、コッコ、拾って食ってくれねぇかな。あれ掃除するの時間かかりそうでさ」

 確かに。

「コッコに頼んでみます」

 おう、とラズロさんは返事した。

 裏庭でミミズを突きまくっているコッコを捕まえて、パン棚の下に放つと、一心不乱にパン屑をついばみ始めた。

「ネズミ、何とかしねぇとなぁ」

「パン、捨てますか?」

 ラズロさんは首を横に振る。

「いや、置いとけ。それがなくなって他の食材を食われたらたまらんからな」

 なるほど。
 ラズロさん賢い。

「アシュリー、おまえ、今度猫でもテイムしてきてくれよ」

 猫?
 あぁ、ネズミ対策に?

「もし見かけたら、試してみます」

「頼むわ」

 猫かぁ。コッコがいるんだけど……大丈夫なのかな……。
 テイムされたもの同士が仲良くなるなら、いいんだけど。

「猫もいいなぁ、と思うんですが、僕、スライムをテイムしてみたいです」

「スライムぅ? 何でまた?」

「僕のいた村に、たまたまテイマーの能力を持った人が立ち寄った時、スライムにゴミを食べさせていたんですよ。あっという間に跡形もなく食べてしまって」

「あぁ、スライムは何でも食うからな」

 僕の言葉にラズロさんは頷いた。

「それはいいな。猫とスライムと牛をテイムだな」

 テイムの使い方を間違えている気もしなくもないけど、僕のような弱いテイマーには、丁度いいかも。

「今度のお休みに、僕、探しに行ってきます」

「どうやって?」

 え?

「城壁の外にしかスライムはいないぜ? アシュリーは誓約書にサインしているから、外には出れねぇし」

 あーーっ! そうだった!!
 僕が先日サインした誓約書には、許可なく城壁の外に出てはいけない、と書かれていた。

「クリフやノエルに聞いてみろ」

「うぅ……そうします……」

 また、二人に迷惑をかけちゃう……。
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