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第一章 新しい生活の始まり

002-3

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 翌日からコッコも食材採りを手伝ってくれて、二人の殺気も控えめになったのもあり、そこそこの食材が手に入った。

「獣を食料として認識する日が来るとは。と言うかこれまでどれだけ勿体ない事をしていたのかと思い知らされた」

 感慨深げにクリフさんが言った。

「本当だよねー。
でも、アシュリーがいないと駄目な気もするけど」

「まぁな」

 普通の人の魔法だと、もっと強いから料理には使えなさそうだもんね。

 コッコがキノコを採ってきて、クリフさんも探しに行ったけど、見つけて来たのが全部毒キノコで、その事を伝えたら物凄いがっかりされた。
 ごめんなさい、クリフさん……。

 でもこれ、笑い茸で、死ぬまで笑うって言われてるし、これは身体が痒くなって死んじゃうキノコだし、こっちは食べると凄まじい下痢になって三日三晩苦しむんです。
 ノエルさんが持ってきたキノコは泣き茸って言って、ひたすら泣いちゃうという、人前で泣きたくない男子には蒼白もののキノコ。美味しいんだけどね。
 その事を説明すると、クリフさんとノエルさんの顔が真っ青になった。

「キノコはコッコとアシュリーに任せる。獣なら任せろ」

 ノエルさんもうんうんと頷く。

「ありがとうございます、クリフさん」

 獣は素早いから僕には仕留められないので、クリフさんとノエルさんにお任せしたい。

 コッコが見つけてきてくれたキノコとノグをみじん切りにし、塩、日が経ってきたミルクをフライパンに入れ、火魔法で炒める。炒め終わったら、カップに移しておく。
 風魔法でミンチにしたチネクの肉をフライパンで炒めて、その上にキノコソースをかけて出来上がり。

 二人とも、今日も一言も発する事なく、僕の作ったご飯を平らげていく。
 目の端が光ったような気がするのはきっと気の所為。
 僕も二人が食べ終わった後、チネクの肉を食べる。
 うん、こってりしたキノコソースが美味しい。

「お世辞抜きでアシュリーは、絶対に良い料理人になるよ!」

 ノエルさんが目をキラキラさせて言った。
 今までも褒めてくれてたけど、今日のは特にお気に召したみたいだ。

「ありがとうございます。励みになります、そう言っていただけると」

 謙虚だなぁ、と言うと、ノエルさんは僕の頭を撫でた。

「王都まではあと2日もあれば着くだろう」

 クリフさんが言った。

「もう少し進むと視界が開けるから、王都の城壁が見えると思う」

 僕が住んでいた村とは比べものにならないぐらい大きい街なんだろうなぁ。
 本当なら踏みしめられた道で行くんだけど、僕の足が遅いのと、二人が食材確保の為に森の中を進んだのもあって、思いの外早く王都に着きそう。

 こんな訳の分からないスキルを手に入れなけらば、一生足を踏み入れる事なんてなかっただろう、王都。

 僕の胸は、期待で大きく膨らんでいた。
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