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北の帝国と非有の皇子
非有の皇子×隊商準備
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北の帝国に行くと決まれば先ずは準備だ。
お祖父様に帝都迄の地図を書いてもらい、糞女神の教会の位置などわかる範囲で教えてもらった。
後は、ツクヨミの領域の記憶の森を抜けた後どうするかだ。
40人以上の世帯というか一団というか。どう旅人に埋没させるか。
旅をする貴族ならば護衛などで40人程度の小隊が組まれることもあるみたいだが、どこそこの誰それと調べられても危うい。旅芸人の一座などもこの面子では厳しいであろう。そこで考えたのが隊商だ。丁度俺の商業ギルドカードもグレードが上がって店を出せる様になってる。そして俺のこのカードを見せれば、護衛など従業員は、そのまま何かあれば俺の責任という事で、国や街に取り調べもなくスルッと入れるそうだ。なんというザルな警備か。
旅の商人を装い、あとは護衛として配置する。そうなると、交通手段に馬車が必要になる。魔道具的なエンジン搭載の汽車や車の様なものなどは開発されていない様だ。
商品はアンダーザローズの街と黒妖精の穴蔵から仕入れられるし、魔物の素材や、俺が溜め込んだ鉱物等も豊富だ。なんなら道行く場所で軽食を売るキッチンカーとして、それ用の馬車を用意しても良いかもしれない。
(宝石類は原石でも良いけど、宝石のカット図形を書いて、ノーリさんやイーヴァルさんに宝石をカットしてもらってアクセサリーを作ってもらうという手もある)
『作ってもらう前に商業ギルドで登録しておいた方が良いと思いますよ』
(それもあったね)
宝石のカットは、前に博物館で何々朝貴族の暮らしとジュエリーの歴史みたいな催し物を見に行き、計算された図形が面白かったから何個か覚えている。割とこの手の特別展は、建国何年の何々とか趣向を変えてよくやっているからね。中世の劇や映画なども参考になった。貴族の男女が着る衣装や宝石などだ。衣装なども写しとなってしまうが…とも思ったが、手縫いだったら数ヶ月かかってしまうな…宝石のカットだけ注文しよう。
後は馬車と…馬車を牽引する馬と護衛役が乗る馬が必要だ。街と街の間を転移でショートカットしても良いけど、糞女神に察知されるのも癪だし。
そうと決まれば宝石カットの図形を書いて黒妖精の穴蔵に持っていこう。
(馬車もあると良いんだけど…)
『馬車は受注発注ですから、中古店などを見て回った方がいいですね』
(なるほど。中古店か…)
平屋に引きこもってひたすら記憶のある限り宝石カットの図形を書いていく。
何かに使えるかなと思い、ドレスのデザイン画なども下手くそながらにもちまちまと書いた。
何枚か記憶の中のドレスのデザイン画が溜まった頃、ひょっこりと夕食ですよと母様が現れ、下手くそなドレスのデザイン画を見て素敵ねと言ってくれた。
西洋の古いドレスの概念は、この世界でも通じるのかと思っていたら、ちょっとお借りして良いかしら?と持って行ってしまった。
(女性達に見せるのかな?)
その後黒妖精の穴蔵へ行き、宝石のカットや宝石を嵌め込んだアクセサリー一式をイーヴァルさんとノーリさんに注文したり、中古馬車を探したりと過ごした。中古馬車にスプリングを仕込む為、家具職人のドゥリンさんにもお願いしたら面白がって内装と共に作ってくれた。
馬はとても高く、力強い重種のシャイアー種などを勧められたが、断念し悩んでいたらツクヨミが、記憶の森のはぐれ馬を探しに行きますか?と提案してくれて、お祖父様達とツクヨミの案内で探しに行って捕まえたりした。
殆ど魔獣化している馬で、グラニと呼ばれる賢い種類の灰色の馬だった。馬に乗る者や御者などを筆頭に、お馬さんとお話し合いの末、従魔契約をし、黒妖精の穴蔵の商業ギルドでで従魔証明を作った。
馬たちは、出番までアンダーザローズの広い草原で自由にしてもらっている。彼らを使役している人たちが、聖水をあげたり、果物をあげたりして可愛がったりしていた。
更に数日後、いつぞや母様が持って行った俺の下手くそなデザイン画より数段洗練されたドレスが、色違いなどで何点仕上がって目の前に出された時は驚いた。
「凄い…」
「ふふっ。ナユタがいた世界のデザインは目新しいものばかりでとても良いと思ったのです。これは絶対上流階級の方達に注目されますわ」
俺より商人が向いて居るのではなかろうか?と思いつつ、この日数でどう仕上げたのかと思ったら、縫製のスキルを持った方が3人いたらしい。そういえば、母様たちや俺が着ている服も知らないうちに当初より増えていたな…買っていたと思ったら作っていたのだ。
「此方を服飾ギルドに提出してデザインを登録しましょう」
と母様が言い、早速黒妖精の穴蔵へ行き、俺が服飾ギルドの登録をし、デザインの登録を済ませた。母様達でも良かったんだけど、母様たちを登録する時、情報がどう出るかわからなかったからね。
衝撃吸収のスプリングを仕込んだ3台の改造馬車に、中で調理ができる様に改造した荷馬車1台、商品を積む荷馬車2台、計6台の馬車の隊商に護衛が20人。馬は、もしもの時の裸馬を合わせて35頭の大所帯だ。
ここで既に馬具などを含め、数十億の金が飛んでいっているが、俺のなけなしの商魂に火をつけ、絶対取り返すというギャンブラー…というかパチンカスに多い戯言を胸に秘め、俺たちの北の帝国潜入への準備は着々と進むのだった。
お祖父様に帝都迄の地図を書いてもらい、糞女神の教会の位置などわかる範囲で教えてもらった。
後は、ツクヨミの領域の記憶の森を抜けた後どうするかだ。
40人以上の世帯というか一団というか。どう旅人に埋没させるか。
旅をする貴族ならば護衛などで40人程度の小隊が組まれることもあるみたいだが、どこそこの誰それと調べられても危うい。旅芸人の一座などもこの面子では厳しいであろう。そこで考えたのが隊商だ。丁度俺の商業ギルドカードもグレードが上がって店を出せる様になってる。そして俺のこのカードを見せれば、護衛など従業員は、そのまま何かあれば俺の責任という事で、国や街に取り調べもなくスルッと入れるそうだ。なんというザルな警備か。
旅の商人を装い、あとは護衛として配置する。そうなると、交通手段に馬車が必要になる。魔道具的なエンジン搭載の汽車や車の様なものなどは開発されていない様だ。
商品はアンダーザローズの街と黒妖精の穴蔵から仕入れられるし、魔物の素材や、俺が溜め込んだ鉱物等も豊富だ。なんなら道行く場所で軽食を売るキッチンカーとして、それ用の馬車を用意しても良いかもしれない。
(宝石類は原石でも良いけど、宝石のカット図形を書いて、ノーリさんやイーヴァルさんに宝石をカットしてもらってアクセサリーを作ってもらうという手もある)
『作ってもらう前に商業ギルドで登録しておいた方が良いと思いますよ』
(それもあったね)
宝石のカットは、前に博物館で何々朝貴族の暮らしとジュエリーの歴史みたいな催し物を見に行き、計算された図形が面白かったから何個か覚えている。割とこの手の特別展は、建国何年の何々とか趣向を変えてよくやっているからね。中世の劇や映画なども参考になった。貴族の男女が着る衣装や宝石などだ。衣装なども写しとなってしまうが…とも思ったが、手縫いだったら数ヶ月かかってしまうな…宝石のカットだけ注文しよう。
後は馬車と…馬車を牽引する馬と護衛役が乗る馬が必要だ。街と街の間を転移でショートカットしても良いけど、糞女神に察知されるのも癪だし。
そうと決まれば宝石カットの図形を書いて黒妖精の穴蔵に持っていこう。
(馬車もあると良いんだけど…)
『馬車は受注発注ですから、中古店などを見て回った方がいいですね』
(なるほど。中古店か…)
平屋に引きこもってひたすら記憶のある限り宝石カットの図形を書いていく。
何かに使えるかなと思い、ドレスのデザイン画なども下手くそながらにもちまちまと書いた。
何枚か記憶の中のドレスのデザイン画が溜まった頃、ひょっこりと夕食ですよと母様が現れ、下手くそなドレスのデザイン画を見て素敵ねと言ってくれた。
西洋の古いドレスの概念は、この世界でも通じるのかと思っていたら、ちょっとお借りして良いかしら?と持って行ってしまった。
(女性達に見せるのかな?)
その後黒妖精の穴蔵へ行き、宝石のカットや宝石を嵌め込んだアクセサリー一式をイーヴァルさんとノーリさんに注文したり、中古馬車を探したりと過ごした。中古馬車にスプリングを仕込む為、家具職人のドゥリンさんにもお願いしたら面白がって内装と共に作ってくれた。
馬はとても高く、力強い重種のシャイアー種などを勧められたが、断念し悩んでいたらツクヨミが、記憶の森のはぐれ馬を探しに行きますか?と提案してくれて、お祖父様達とツクヨミの案内で探しに行って捕まえたりした。
殆ど魔獣化している馬で、グラニと呼ばれる賢い種類の灰色の馬だった。馬に乗る者や御者などを筆頭に、お馬さんとお話し合いの末、従魔契約をし、黒妖精の穴蔵の商業ギルドでで従魔証明を作った。
馬たちは、出番までアンダーザローズの広い草原で自由にしてもらっている。彼らを使役している人たちが、聖水をあげたり、果物をあげたりして可愛がったりしていた。
更に数日後、いつぞや母様が持って行った俺の下手くそなデザイン画より数段洗練されたドレスが、色違いなどで何点仕上がって目の前に出された時は驚いた。
「凄い…」
「ふふっ。ナユタがいた世界のデザインは目新しいものばかりでとても良いと思ったのです。これは絶対上流階級の方達に注目されますわ」
俺より商人が向いて居るのではなかろうか?と思いつつ、この日数でどう仕上げたのかと思ったら、縫製のスキルを持った方が3人いたらしい。そういえば、母様たちや俺が着ている服も知らないうちに当初より増えていたな…買っていたと思ったら作っていたのだ。
「此方を服飾ギルドに提出してデザインを登録しましょう」
と母様が言い、早速黒妖精の穴蔵へ行き、俺が服飾ギルドの登録をし、デザインの登録を済ませた。母様達でも良かったんだけど、母様たちを登録する時、情報がどう出るかわからなかったからね。
衝撃吸収のスプリングを仕込んだ3台の改造馬車に、中で調理ができる様に改造した荷馬車1台、商品を積む荷馬車2台、計6台の馬車の隊商に護衛が20人。馬は、もしもの時の裸馬を合わせて35頭の大所帯だ。
ここで既に馬具などを含め、数十億の金が飛んでいっているが、俺のなけなしの商魂に火をつけ、絶対取り返すというギャンブラー…というかパチンカスに多い戯言を胸に秘め、俺たちの北の帝国潜入への準備は着々と進むのだった。
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