彼の親に振り回されました

しがと

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あなたは私のライバルです(3)

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 体育祭当日。東高校の体育祭では、優勝が2通りの方法で決まる。まず、各学年でポイントを競い、学年優勝が決まる。また、3学年の1組から5組までが組み毎の合計ポイントを競い合い一番高い組が全体優勝となる。

「よっしゃ、学年優勝も全体優勝も勝ち取るぞ! 1年2組出陣だ!」
「「「おー!」」」

 2組で1番熱い水泳部の男子エースが声掛けをして、杏夏のクラスは体育祭に臨んだ。

「いけー、杏夏! 抜かせー!」
「お、藤野、いいぞ! パンを食え!」
「おーっと、ここで1年2組が他クラスを圧倒しました!」
「先生こっち! お題は、数学の先生だから来て!」
「2年生は熾烈な争いを繰り広げています」
「3年生は受験勉強で忙しいので大目にみてください」
「お、ここで、2年1組がリレーで圧勝しました! これは2年生どの組が優勝するか分かりません!」

 借り人競争、リレー、パン食い競争、サッカー、バスケ、など様々な競技を終え、体育祭は結果発表の時間となった。

「みなさん、お疲れさまでした。それでは、各学年の優勝クラス、そして全体優勝の組を発表いたします。まず、1年生。学年優勝は、2組!」
「「「よっしゃー!」」」

 その後の、おめでとうございます、が聞こえなくなるほど2組は喜びを分かち合った。

「そして、最後です。全体優勝は、2組!」
「「「「「よっしゃー!!!」」」」

 1年2組、2年2組、3年2組は飛び上がって優勝を喜んだ。

「というわけで、無事目標達成! 学年優勝も全体優勝も頂きました!」
「「おめでとう!」」
「ありがとう」

 体育祭後、誠一、彩花、浩と合流した杏夏は嬉しそうに報告した。

「もう、2組圧勝だったもんね」
「本当に。すごすぎて2位狙いだったしな」
「無事2位になれて、購買無料券ゲットできたしね!」
「なっ!」

 彩花と浩が1組は2位になれたことを喜んでいる横で、誠一は一言も話さなかった。

「津末? どうした?」
「あ、寺東さ、ん。僕、もう、むり。つかれた」
「お疲れ。パン食い競争、すごい頑張ってたもんね」
「え、見てたの?」
「うん。津末、何に出るのかなって、楽しみにしていたから」
「それは、どんな失態をさらすのかな、ってこと?」
「違うよ。津末の姿を見たかったの」
「……」
「……」
「……」
「あれ? 今私、恥ずかしいこと言った?」
「言ったね」
「あの、ライバルだから! ライバルだから気になるの!」
「分かってるよ」

 杏夏と誠一の間にほんの少し甘い空気が流れていた。
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