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初めまして(2)
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桜が舞う季節、県立東高校では入学式が執り行われていた。
「最後になりますが、本日は私たち新入生のためにこのような素晴らしい入学式を催していただき誠にありがとうございました」
首席入学者は、最後に日付と名前を述べて答辞を終えた。
入学式の後新入生は各自教室に戻り、担任から翌日以降の流れを聴き、午前中で解散となった。
「杏夏! 一緒に帰ろう!」
廊下から2組の教室の中に向かってある女子が声をかけた。
「彩花!」
杏夏と呼ばれた女子が自分を呼んだ女子に向かって振り返った。
「いいよ。中角は?」
「浩は久しぶりに幼なじみと会ったから、その人と帰るって」
「そう、幼なじみね。確か幼稚園と小学校が一緒だったって言ってたね」
「そう、その人。新入生の代表挨拶してた人らしいよ」
「え?」
「津末誠一君」
「……」
「あ、杏夏? どうしたの?」
「その人紹介してくれない?」
杏夏は、幼なじみで親友の彩花に、彼女の恋人である浩の幼なじみの誠一を紹介してほしいと突然頼んできた。
「いいけど、どうして急に? あ、もしかしてかっこよくて惚れた、とか?」
「彩花って本当に恋バナ好きね。違うよ。代表挨拶してたってことは、成績が良い、ってこと。私の高校でのライバルになるかもしれないから、先にどういう人か知っておきたいの」
「そっか。中学では常に1位! 校内敵なし、だったもんね」
中学時代の杏夏を思い出したのか彩花は、「優秀すぎて先生も困ってたもんね。教えることがない、って」と呟きながら彼女を誠一に会わせるために浩に連絡を取り始めた。
一方、その頃、久しぶりに幼なじみと再会した浩は、中学時代のことを誠一に話していた。
「それで、彼女がすごい可愛いの。他の男に取られたくないから勉強頑張って同じ高校に入ったんだ」
「そう」
「そう! 今度お前に紹介したい!」
「別にしなくていいよ。もう知ってるし」
「え、なんで?」
「だって、分かりやすいから。ずっと1人の女の子の方見てたでしょ」
「あ、ばれてた? だって、可愛いんだもん。ずっと眺めてられる」
彩花とどういう経緯で交際することになったのか、という話題になった時、浩のスマホが着信を知らせた。
「あ、彩花! ごめん、誠一ちょっと電話出る!」
「ん」
「あ、もしもし彩花? どうしたの? え、誠一? なんで?」
誠一は、恋して格好良くなったと幼なじみを見つめていた。すると、浩が突然誠一を振り返った。
「ねえ、俺の彼女の親友が、お前に会いたいって! 今から会ってもいい?」
突然そう言われて誠一は一瞬思考が止まったが、どうせ顔、もしくは金目当てだと思い断ろうとした。しかし、電話を通して「どういう勉強しているのかめっちゃ気になる」という声が聞こえたため、「いいよ」と返事した。
数分後、杏夏と彩花が誠一と浩の元へ走ってきた。
「おー、彩花、寺東! こっち、こっち」
「浩、ありがとう」
「中角、さんきゅ」
「おう! 誠一、紹介するよ。彼女は俺の彼女、仁志彩花」
「はじめまして、仁志です」
「こちらは、彼女の幼なじみ、俺とは中学から一緒の、寺東杏夏」
「はじめまして。寺東です」
「そして、こいつは俺の幼なじみ兼親友の、津末誠一」
「はじめまして、津末です。どうぞよろしく」
「最後になりますが、本日は私たち新入生のためにこのような素晴らしい入学式を催していただき誠にありがとうございました」
首席入学者は、最後に日付と名前を述べて答辞を終えた。
入学式の後新入生は各自教室に戻り、担任から翌日以降の流れを聴き、午前中で解散となった。
「杏夏! 一緒に帰ろう!」
廊下から2組の教室の中に向かってある女子が声をかけた。
「彩花!」
杏夏と呼ばれた女子が自分を呼んだ女子に向かって振り返った。
「いいよ。中角は?」
「浩は久しぶりに幼なじみと会ったから、その人と帰るって」
「そう、幼なじみね。確か幼稚園と小学校が一緒だったって言ってたね」
「そう、その人。新入生の代表挨拶してた人らしいよ」
「え?」
「津末誠一君」
「……」
「あ、杏夏? どうしたの?」
「その人紹介してくれない?」
杏夏は、幼なじみで親友の彩花に、彼女の恋人である浩の幼なじみの誠一を紹介してほしいと突然頼んできた。
「いいけど、どうして急に? あ、もしかしてかっこよくて惚れた、とか?」
「彩花って本当に恋バナ好きね。違うよ。代表挨拶してたってことは、成績が良い、ってこと。私の高校でのライバルになるかもしれないから、先にどういう人か知っておきたいの」
「そっか。中学では常に1位! 校内敵なし、だったもんね」
中学時代の杏夏を思い出したのか彩花は、「優秀すぎて先生も困ってたもんね。教えることがない、って」と呟きながら彼女を誠一に会わせるために浩に連絡を取り始めた。
一方、その頃、久しぶりに幼なじみと再会した浩は、中学時代のことを誠一に話していた。
「それで、彼女がすごい可愛いの。他の男に取られたくないから勉強頑張って同じ高校に入ったんだ」
「そう」
「そう! 今度お前に紹介したい!」
「別にしなくていいよ。もう知ってるし」
「え、なんで?」
「だって、分かりやすいから。ずっと1人の女の子の方見てたでしょ」
「あ、ばれてた? だって、可愛いんだもん。ずっと眺めてられる」
彩花とどういう経緯で交際することになったのか、という話題になった時、浩のスマホが着信を知らせた。
「あ、彩花! ごめん、誠一ちょっと電話出る!」
「ん」
「あ、もしもし彩花? どうしたの? え、誠一? なんで?」
誠一は、恋して格好良くなったと幼なじみを見つめていた。すると、浩が突然誠一を振り返った。
「ねえ、俺の彼女の親友が、お前に会いたいって! 今から会ってもいい?」
突然そう言われて誠一は一瞬思考が止まったが、どうせ顔、もしくは金目当てだと思い断ろうとした。しかし、電話を通して「どういう勉強しているのかめっちゃ気になる」という声が聞こえたため、「いいよ」と返事した。
数分後、杏夏と彩花が誠一と浩の元へ走ってきた。
「おー、彩花、寺東! こっち、こっち」
「浩、ありがとう」
「中角、さんきゅ」
「おう! 誠一、紹介するよ。彼女は俺の彼女、仁志彩花」
「はじめまして、仁志です」
「こちらは、彼女の幼なじみ、俺とは中学から一緒の、寺東杏夏」
「はじめまして。寺東です」
「そして、こいつは俺の幼なじみ兼親友の、津末誠一」
「はじめまして、津末です。どうぞよろしく」
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