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3章
決意
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桐生さんとお別れして、私は奏の部屋へ来た。
山積みの仕事と山根さんのことで疲弊しているから邪魔かな、とも思った。
だけど奏を一人にしたくない気持ちが勝った。
奏もそっと手をつないでくれたから、無言でも怖くなかった。
お風呂に入って、後ろから抱きしめてくれる奏に甘える。
乳房に大きな手が伸びてきた。
「ふ……、あッ」
快楽に溺れさせようと蠢く指に溶けていく。キスをしたくて振り返る。奏と意思が通じ合っていたみたいで、すぐに唇が重なり合う。
「ん、ンん……」
舌を絡ませ合っていたけれど、奏はすでに次の行動に移っていた。胸の先端の突起を弄んでいた手が、するりと私の下腹部へ滑り込む。
「お湯の中でもわかるぐらい濡れてる」
涼しげな声が意地悪にささやいた。
「イジワル……」
拗ねたように告げると、ご機嫌を取ろうと耳朶を甘噛みしてくる。
最後の理性を振り絞って寝室へ移動した。
初めて奏と結ばれた日、彼はお酒で記憶がないのは嫌だと言っていた。
その理由の一部に山根さんとのできごとがあるのだろう。
もちろん、奏の優しさとか、誠実さとかも関係しているけれど。
そういうのも全部含めて、奏と一緒にいたいと思う。
「好きだよ、奏」
「実梨……」
どこか呆然としたように私の名を呼ぶ、愛しい人。
安心してほしくてぎゅっと抱きしめた。
あの日、奏が私を助けてくれた。今度は私の番。
救うなんておこがましいけれど、奏の心が少しでも軽くなってほしい。
山根さんとの過去に囚われているのは悔しい気もした。
「実梨がいてくれて良かった」
暗闇の中、奏の両目が少し潤んでいるように見えた。
きつく絡む指。心でも身体でも、私たちはつながっている。そう信じることができる。
私の全身を愛撫する手と、キスの雨を降らせる唇に嬌声が止まらない。
息もできないくらい喘いでいるのに、奏は私を貪ることを止めない。
「も……う、無理ィ」
「ごめん。今日は手加減できない」
ガツガツ食い荒らされるみたいな感覚に、どこか興奮している私もいた。
奏にこんな一面もあったなんて。
たまにはこんな風に求められるのも悪くないと感じていた。
❁❁❁❁❁❁❁❁
翌朝、奏はスマホを見るとため息をついた。二次会に参加していたはずの山根さんから奏へ、責めるようなメッセージが何通も来ていたそうだ。
ここまで来ると、山根さんに対して薄ら寒いものを感じてしまう。
一体何があって、ここまで奏を恨んでいるのだろう。
「昨日の二次会の様子を原田さんに聞いてみる。それから、どうしても必要なら……山根さんと会って話してみる」
奏の決意を、私は彼の手を握ってうなずくことで応援した。
山積みの仕事と山根さんのことで疲弊しているから邪魔かな、とも思った。
だけど奏を一人にしたくない気持ちが勝った。
奏もそっと手をつないでくれたから、無言でも怖くなかった。
お風呂に入って、後ろから抱きしめてくれる奏に甘える。
乳房に大きな手が伸びてきた。
「ふ……、あッ」
快楽に溺れさせようと蠢く指に溶けていく。キスをしたくて振り返る。奏と意思が通じ合っていたみたいで、すぐに唇が重なり合う。
「ん、ンん……」
舌を絡ませ合っていたけれど、奏はすでに次の行動に移っていた。胸の先端の突起を弄んでいた手が、するりと私の下腹部へ滑り込む。
「お湯の中でもわかるぐらい濡れてる」
涼しげな声が意地悪にささやいた。
「イジワル……」
拗ねたように告げると、ご機嫌を取ろうと耳朶を甘噛みしてくる。
最後の理性を振り絞って寝室へ移動した。
初めて奏と結ばれた日、彼はお酒で記憶がないのは嫌だと言っていた。
その理由の一部に山根さんとのできごとがあるのだろう。
もちろん、奏の優しさとか、誠実さとかも関係しているけれど。
そういうのも全部含めて、奏と一緒にいたいと思う。
「好きだよ、奏」
「実梨……」
どこか呆然としたように私の名を呼ぶ、愛しい人。
安心してほしくてぎゅっと抱きしめた。
あの日、奏が私を助けてくれた。今度は私の番。
救うなんておこがましいけれど、奏の心が少しでも軽くなってほしい。
山根さんとの過去に囚われているのは悔しい気もした。
「実梨がいてくれて良かった」
暗闇の中、奏の両目が少し潤んでいるように見えた。
きつく絡む指。心でも身体でも、私たちはつながっている。そう信じることができる。
私の全身を愛撫する手と、キスの雨を降らせる唇に嬌声が止まらない。
息もできないくらい喘いでいるのに、奏は私を貪ることを止めない。
「も……う、無理ィ」
「ごめん。今日は手加減できない」
ガツガツ食い荒らされるみたいな感覚に、どこか興奮している私もいた。
奏にこんな一面もあったなんて。
たまにはこんな風に求められるのも悪くないと感じていた。
❁❁❁❁❁❁❁❁
翌朝、奏はスマホを見るとため息をついた。二次会に参加していたはずの山根さんから奏へ、責めるようなメッセージが何通も来ていたそうだ。
ここまで来ると、山根さんに対して薄ら寒いものを感じてしまう。
一体何があって、ここまで奏を恨んでいるのだろう。
「昨日の二次会の様子を原田さんに聞いてみる。それから、どうしても必要なら……山根さんと会って話してみる」
奏の決意を、私は彼の手を握ってうなずくことで応援した。
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