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3章
変わったきっかけ
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「ねぇ、奏……」
深く優しく愛された身体は、とろけて気だるい余韻にひたっていた。
奏の厚い胸板に頬を預けながら、甘えた声で彼の名を呼ぶ。
桐生さんから奏のいろんな話を聞いて、私も自分の好きなこと、趣味なんかを話したい気持ちになった。
そしてちょっとずるいけれど、その前に奏が変わった理由を知りたいと思った。
「大学生の頃に何があったか聞いても良い?」
「……何を聞いても、俺のことを嫌いにならないでいてくれるか?」
そんなに大変な過去なのだろか。
少しためらったけれど、私は深くうなずいた。
こんなに優しい奏だから、犯罪とか、そんな類のことはないと思う。
「俺は、昔から口下手で、思ったことを言語化することが他の人少し時間がかかるんだ。それでどんどん話せなくなっていった」
暗闇の中で、吸い込まれそうな深い色をした双眸が私を見つめる。
大きな手のひらが私の頬を優しく撫でた。
「ゲームやマンガは一人でも十分楽しい世界だったから、そちらにのめり込んでいた。それで、そのうち同じ作品を好きな人のSNSなんかを見るようになって、他人のコスプレを見るのにもハマった。俺も見た目を整えればできるんじゃないかと思ったこともあったんだけど」
「できるよ! 奏、すごくカッコイイし、スタイルも良いし」
偽りのない気持ちだった。もし奏が凛空のコスプレをしてくれたら、私は出血多量で天に召される自信がある。
「ありがとう」
クスリと小さく笑った奏が色っぽくてドキドキした。
「いろんなコスプレイヤーさんの写真を見たけれど、一人すごく気になった子ができた。単純に好みだったんだ。彼女に話しかける機会がほしくて、嘉人さんからカメラを教えてもらったりしたけど、なかなか勇気が出なくて……。だけど、その子が俺の大好きなキャラクターのコスプレ写真を上げてくれて、どうしても直接会って話したくなったんだ」
意味有りげに投げかけられた視線。奏から目が離せなくなる。
「イベントで初めてイザベラコスのノゾミさんと会って、話して、写真を撮らせてもらって、すごく嬉しかった。目の前で動くノゾミさんを見たら、もっとノゾミさんを知りたくなった」
「ちょ、ちょっと待って、奏」
私の頭は混乱していた。
ノゾミと言う名前で私はコスプレや呟きをしている。そんなに珍しい名前じゃないから、同じ名前の違う人かもしれない。
だけど確かめずにはいられなかった。
「もしかしてだけど、それって私のこと?」
「……ストーカーみたいでごめん」
優しく抱き寄せられた。
深く優しく愛された身体は、とろけて気だるい余韻にひたっていた。
奏の厚い胸板に頬を預けながら、甘えた声で彼の名を呼ぶ。
桐生さんから奏のいろんな話を聞いて、私も自分の好きなこと、趣味なんかを話したい気持ちになった。
そしてちょっとずるいけれど、その前に奏が変わった理由を知りたいと思った。
「大学生の頃に何があったか聞いても良い?」
「……何を聞いても、俺のことを嫌いにならないでいてくれるか?」
そんなに大変な過去なのだろか。
少しためらったけれど、私は深くうなずいた。
こんなに優しい奏だから、犯罪とか、そんな類のことはないと思う。
「俺は、昔から口下手で、思ったことを言語化することが他の人少し時間がかかるんだ。それでどんどん話せなくなっていった」
暗闇の中で、吸い込まれそうな深い色をした双眸が私を見つめる。
大きな手のひらが私の頬を優しく撫でた。
「ゲームやマンガは一人でも十分楽しい世界だったから、そちらにのめり込んでいた。それで、そのうち同じ作品を好きな人のSNSなんかを見るようになって、他人のコスプレを見るのにもハマった。俺も見た目を整えればできるんじゃないかと思ったこともあったんだけど」
「できるよ! 奏、すごくカッコイイし、スタイルも良いし」
偽りのない気持ちだった。もし奏が凛空のコスプレをしてくれたら、私は出血多量で天に召される自信がある。
「ありがとう」
クスリと小さく笑った奏が色っぽくてドキドキした。
「いろんなコスプレイヤーさんの写真を見たけれど、一人すごく気になった子ができた。単純に好みだったんだ。彼女に話しかける機会がほしくて、嘉人さんからカメラを教えてもらったりしたけど、なかなか勇気が出なくて……。だけど、その子が俺の大好きなキャラクターのコスプレ写真を上げてくれて、どうしても直接会って話したくなったんだ」
意味有りげに投げかけられた視線。奏から目が離せなくなる。
「イベントで初めてイザベラコスのノゾミさんと会って、話して、写真を撮らせてもらって、すごく嬉しかった。目の前で動くノゾミさんを見たら、もっとノゾミさんを知りたくなった」
「ちょ、ちょっと待って、奏」
私の頭は混乱していた。
ノゾミと言う名前で私はコスプレや呟きをしている。そんなに珍しい名前じゃないから、同じ名前の違う人かもしれない。
だけど確かめずにはいられなかった。
「もしかしてだけど、それって私のこと?」
「……ストーカーみたいでごめん」
優しく抱き寄せられた。
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(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
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