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第5章 これは……恋、ですか?
2.恋愛のトラウマ
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なんとなく落ち着かないままいつも通りを過ごし、ベッドに入る。
「チー」
布団の中で佑司は、額をコツンとつけて鼻を触れさせた。
「……昔、なにがあった?」
「……!」
ゆっくり、ゆっくりと佑司の手が、話を促すように背中を撫でる。
「あやまるか開き直るかどっちかだろうって思ってたけど。
……あれ、は異常だった」
気づいて、たんだ。
「話したくないなら話さなくていい、から」
ちゅっと私に口付けを落とし、佑司は小さくふふっと笑った。
「……私、は」
真っ白な雪原にひとりで放り出されたみたいに、寒くて淋しくて手が勝手に佑司を探す。
ようやくその胸に触れて、きゅっとパジャマを掴んだ。
「駿と付き合っていたとき、駿をたくさん傷つけたから。
私が鈍くて、恋愛なんかわかんなくて、だからいっぱい、駿を傷つけた。
きっとそんなこと言いたくなかったのに、駿に別れようって言わせた。
こんな私に人を好きになる資格なんかないのに、佑司と付き合って。
今度は佑司を……傷つけた」
ぎゅーっと佑司の手が、私を力強く抱きしめる。
「チーは人のことばっかり思って、自分が傷ついてたのに気づいてなかったんだな」
「私が……傷ついてた?」
だって私が駿を――佑司を傷つけた。
「確かにチーは、その、駿を傷つけたかもしれないけど。
でもチーは優しいから、人を傷つけたら同じくらい自分の傷つく」
「そんなこと……」
「あるよ」
「ふがっ」
なぜかいきなり、鼻を摘まれた。
「だってチー、車の中でずっとつらそうだった。
心が痛い、そんな顔してた。
いまだってそう」
ひりひりと痛む鼻を手で押さえる。
「ここがいっぱい傷ついてたのにチーは知らないままだったからきっと、うまく治んなかったんだろうな」
トントン、佑司の長い指が、心臓の上を軽く叩いた。
「俺を傷つけたらチーも傷つくんだったらおあいこだ。
それに俺はこれくらいじゃ傷つかないから気にしなくていい」
額に触れる、彼の唇がくすぐったい。
「それよりさ」
少しだけ起き上がった、彼の顔が近づいてくる。
「……好きって言って。
ぐふっ」
反射的に出た拳はよけきれなかったみたいで、佑司はお腹を押さえて悶えている。
「な、なんでそうなるんじゃー!」
せっかくいい雰囲気だったのに。
台無し。
……いや、これは台無しにしたのは私か?
「えー、だって、俺を傷つけるのが嫌、とかもう、俺が好きってことで決定だろ」
そういや、車の中でもそんなこと言っていたな。
「いえ、別に……」
ん?
んん?
もしかしてこれは、そうってことでいいのか?
「別になに?」
悩んでいるうちに、佑司がのしかかってくる。
じっと私を、石炭のような瞳が見つめていた。
「その……」
これは恋でいいんだろうか。
いまだって私の中で、明確な答えは出ない。
「……わかんない、です」
曖昧に笑ってみせる。
けれど佑司は、許してくれなかった。
「じゃあ、身体に訊いてみる」
「……!」
拒否する間もなく、唇が重なる。
はねのけようとした手は、ベッドに縫い止められた。
すぐに少しだけ開いていた唇の隙間からぬるりと佑司が侵入してくる。
こんな――こんな、甘く痺れるようなキス、知らない。
バタバタと暴れさせていた足からは次第に、力が抜けていった。
「やっぱり、好きってことでいいんだと思うけど」
ぼーっと佑司の顔を見上げる。
彼はするりと私の頬を撫で、眩しそうに目を細めて笑った。
「もっと身体に訊こうか」
ちゅっと佑司の唇が耳に触れ、ぞわりと背筋が波立つ。
でもそれは、決して嫌なものじゃなくて。
「その、あの、ええっと、あの、その」
「ん?」
私の首筋に口付けを落としながら、佑司の手がパジャマのボタンを外しはじめる。
「あの、えっと、その」
第二ボタンにかかったところで、ようやく彼の手を掴んだ。
「なに?」
私の首筋から佑司の顔が不満げに離れる。
「明日も仕事ですし、早く寝た方がいいかと」
「関係ない」
すぐに元の体勢に戻り、パジャマを脱がしにかかるので、必死に抵抗した。
「なんで抵抗する!?」
「それは、そのー。
……あれですよ」
「あれってなにか!?
生理か!?」
「あー、そうなんですよ。
今朝からはじまって」
よしっ、これで誤魔化されてくれ!
「嘘つき!
先週、終わったばかりだろ!」
「……はい?」
いやいやいや、なんで知っている?
ゴミとかわからないように出していたし。
生理用品だって目につかないところに隠していたし。
生理痛はつらかったけど、なんでもないフリしていたし。
「知らないと思ってんのか?
チーの顔色とか見たらすぐわかる。
でも弱み見せるのが嫌なのかなって口出ししないようにしてただけ」
そういえば。
つらい日はやたらと、俺がしたい気分なだけだからって、家事をやらせてくれなかった。
それで情緒不安定なもんだからいつも以上に当たっても、はいはいそうですかーって軽く流されて。
あれって気を遣ってくれていたんだろうか。
「俺はつらいって頼ってくれないのが淋しかったけどな」
「うっ」
それは……悪かったと、思う。
「なんでチーはさせてくれないんだよー。
俺はチーともっと深く愛し合いたいのにー」
なんでこの人は枕を抱いて、こんな恥ずかしい台詞を簡単に言うのだろう。
なんかちょっとだけ、羨ましい。
「ええっとですね……。
……佑司に、がっかりされるのが怖いからです」
「なんで俺ががっかりするの?
こんなに愛してるチーと愛し合って、がっかりすることなんてないだろ」
なんだろう、この自信は。
よくわからない。
「あのですね。
私あんまり、気持ちいいとか思ったことがなくてですね。
それで最後の方、相手もため息ついてましたし。
だからきっと、佑司をがっかりさせると思うので。
それで、佑司に嫌われたくないから……」
こんな告白をするのは恥ずかしくて、だんだん顔が熱を持っていく。
最後の方は完全に、尻すぼみになって消えていった。
「チー、可愛い!」
枕を放り投げた佑司に抱きつかれる。
そのまま顔中に口付けを落とされた。
「ちょ、佑司!」
「んー?
ほんとはいますぐ、めちゃくちゃチーを抱きたいけど我慢する。
だって朝になっても止まるか自信ないもん」
「……はい?」
いや、ちょっと待って。
それはいくらなんでも私の体力が持たない。
「週末までのお楽しみー。
さ、今日はもう寝るぞ。
なんだかんだしてたら遅くなったからな」
枕を拾ってきて置き直し、いつものように私を抱きしめてもそもそと布団へ潜っていく。
「おやすみ、チー。
よい夢を」
「おやすみなさい」
今日はもう寝る気なのか、佑司はすぐに目を閉じた。
「……そうだ、わざわざ俺にあんなこと聞かせてきた奴に、お仕置きしないとな……」
ぽそっと呟いた佑司の声は酷く冷たくて、あの彼女たちの無事を祈ってしまった。
あ、そういえば駿に返信していないや……。
「チー」
布団の中で佑司は、額をコツンとつけて鼻を触れさせた。
「……昔、なにがあった?」
「……!」
ゆっくり、ゆっくりと佑司の手が、話を促すように背中を撫でる。
「あやまるか開き直るかどっちかだろうって思ってたけど。
……あれ、は異常だった」
気づいて、たんだ。
「話したくないなら話さなくていい、から」
ちゅっと私に口付けを落とし、佑司は小さくふふっと笑った。
「……私、は」
真っ白な雪原にひとりで放り出されたみたいに、寒くて淋しくて手が勝手に佑司を探す。
ようやくその胸に触れて、きゅっとパジャマを掴んだ。
「駿と付き合っていたとき、駿をたくさん傷つけたから。
私が鈍くて、恋愛なんかわかんなくて、だからいっぱい、駿を傷つけた。
きっとそんなこと言いたくなかったのに、駿に別れようって言わせた。
こんな私に人を好きになる資格なんかないのに、佑司と付き合って。
今度は佑司を……傷つけた」
ぎゅーっと佑司の手が、私を力強く抱きしめる。
「チーは人のことばっかり思って、自分が傷ついてたのに気づいてなかったんだな」
「私が……傷ついてた?」
だって私が駿を――佑司を傷つけた。
「確かにチーは、その、駿を傷つけたかもしれないけど。
でもチーは優しいから、人を傷つけたら同じくらい自分の傷つく」
「そんなこと……」
「あるよ」
「ふがっ」
なぜかいきなり、鼻を摘まれた。
「だってチー、車の中でずっとつらそうだった。
心が痛い、そんな顔してた。
いまだってそう」
ひりひりと痛む鼻を手で押さえる。
「ここがいっぱい傷ついてたのにチーは知らないままだったからきっと、うまく治んなかったんだろうな」
トントン、佑司の長い指が、心臓の上を軽く叩いた。
「俺を傷つけたらチーも傷つくんだったらおあいこだ。
それに俺はこれくらいじゃ傷つかないから気にしなくていい」
額に触れる、彼の唇がくすぐったい。
「それよりさ」
少しだけ起き上がった、彼の顔が近づいてくる。
「……好きって言って。
ぐふっ」
反射的に出た拳はよけきれなかったみたいで、佑司はお腹を押さえて悶えている。
「な、なんでそうなるんじゃー!」
せっかくいい雰囲気だったのに。
台無し。
……いや、これは台無しにしたのは私か?
「えー、だって、俺を傷つけるのが嫌、とかもう、俺が好きってことで決定だろ」
そういや、車の中でもそんなこと言っていたな。
「いえ、別に……」
ん?
んん?
もしかしてこれは、そうってことでいいのか?
「別になに?」
悩んでいるうちに、佑司がのしかかってくる。
じっと私を、石炭のような瞳が見つめていた。
「その……」
これは恋でいいんだろうか。
いまだって私の中で、明確な答えは出ない。
「……わかんない、です」
曖昧に笑ってみせる。
けれど佑司は、許してくれなかった。
「じゃあ、身体に訊いてみる」
「……!」
拒否する間もなく、唇が重なる。
はねのけようとした手は、ベッドに縫い止められた。
すぐに少しだけ開いていた唇の隙間からぬるりと佑司が侵入してくる。
こんな――こんな、甘く痺れるようなキス、知らない。
バタバタと暴れさせていた足からは次第に、力が抜けていった。
「やっぱり、好きってことでいいんだと思うけど」
ぼーっと佑司の顔を見上げる。
彼はするりと私の頬を撫で、眩しそうに目を細めて笑った。
「もっと身体に訊こうか」
ちゅっと佑司の唇が耳に触れ、ぞわりと背筋が波立つ。
でもそれは、決して嫌なものじゃなくて。
「その、あの、ええっと、あの、その」
「ん?」
私の首筋に口付けを落としながら、佑司の手がパジャマのボタンを外しはじめる。
「あの、えっと、その」
第二ボタンにかかったところで、ようやく彼の手を掴んだ。
「なに?」
私の首筋から佑司の顔が不満げに離れる。
「明日も仕事ですし、早く寝た方がいいかと」
「関係ない」
すぐに元の体勢に戻り、パジャマを脱がしにかかるので、必死に抵抗した。
「なんで抵抗する!?」
「それは、そのー。
……あれですよ」
「あれってなにか!?
生理か!?」
「あー、そうなんですよ。
今朝からはじまって」
よしっ、これで誤魔化されてくれ!
「嘘つき!
先週、終わったばかりだろ!」
「……はい?」
いやいやいや、なんで知っている?
ゴミとかわからないように出していたし。
生理用品だって目につかないところに隠していたし。
生理痛はつらかったけど、なんでもないフリしていたし。
「知らないと思ってんのか?
チーの顔色とか見たらすぐわかる。
でも弱み見せるのが嫌なのかなって口出ししないようにしてただけ」
そういえば。
つらい日はやたらと、俺がしたい気分なだけだからって、家事をやらせてくれなかった。
それで情緒不安定なもんだからいつも以上に当たっても、はいはいそうですかーって軽く流されて。
あれって気を遣ってくれていたんだろうか。
「俺はつらいって頼ってくれないのが淋しかったけどな」
「うっ」
それは……悪かったと、思う。
「なんでチーはさせてくれないんだよー。
俺はチーともっと深く愛し合いたいのにー」
なんでこの人は枕を抱いて、こんな恥ずかしい台詞を簡単に言うのだろう。
なんかちょっとだけ、羨ましい。
「ええっとですね……。
……佑司に、がっかりされるのが怖いからです」
「なんで俺ががっかりするの?
こんなに愛してるチーと愛し合って、がっかりすることなんてないだろ」
なんだろう、この自信は。
よくわからない。
「あのですね。
私あんまり、気持ちいいとか思ったことがなくてですね。
それで最後の方、相手もため息ついてましたし。
だからきっと、佑司をがっかりさせると思うので。
それで、佑司に嫌われたくないから……」
こんな告白をするのは恥ずかしくて、だんだん顔が熱を持っていく。
最後の方は完全に、尻すぼみになって消えていった。
「チー、可愛い!」
枕を放り投げた佑司に抱きつかれる。
そのまま顔中に口付けを落とされた。
「ちょ、佑司!」
「んー?
ほんとはいますぐ、めちゃくちゃチーを抱きたいけど我慢する。
だって朝になっても止まるか自信ないもん」
「……はい?」
いや、ちょっと待って。
それはいくらなんでも私の体力が持たない。
「週末までのお楽しみー。
さ、今日はもう寝るぞ。
なんだかんだしてたら遅くなったからな」
枕を拾ってきて置き直し、いつものように私を抱きしめてもそもそと布団へ潜っていく。
「おやすみ、チー。
よい夢を」
「おやすみなさい」
今日はもう寝る気なのか、佑司はすぐに目を閉じた。
「……そうだ、わざわざ俺にあんなこと聞かせてきた奴に、お仕置きしないとな……」
ぽそっと呟いた佑司の声は酷く冷たくて、あの彼女たちの無事を祈ってしまった。
あ、そういえば駿に返信していないや……。
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