まっくらとうげんきょう

たあこ

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おもいで、くらやみ、そして、はじめまして

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 律架と生きていたかったけれど、律架だけでも生きていてくれたら海に行けるかもしれない。僕は連れて行ってあげられないけれど。やっぱり僕も、行きたかったけれど。
 それなのにあの日、律架は、もう嫌だって。そう言って泣いて、駅で電車に飛びこんだ。駅ということは、止まろうとしている電車だったはずだ。即死ではなくて、きっとじわじわ、少しずつ、痛くて……僕は本当に死んだことを後悔した。生きていたら、律架をここまで追いこんだやつらを、ここに送ってやったのに。
 僕は、律架に生きてほしかった。生きて、海に行って、あの可愛い笑顔で「幸せ!」って言って。だから、大好きだって言いたいのも抱きしめたいのも我慢した。はじめましてって言って、知らない人として律架を帰すつもりだった。
 コハクと名乗ったら、思い出してしまうかもしれない。少しいじってハクと名乗るのは気が引ける、僕はおにぎりは持っていない。だから、琥珀の漢字の一部、白でシロと名乗ることにした。黒い闇の世界とは正反対の名前だ。
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