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第壱譚

0005:パトリック殿下の手紙とチンピラ

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 ーーここは、エリン家の小さな応接間。ーー


「みなさん、いつもエリンがお世話になっています~。」


 ーーエリンママは全員にお茶を出した‼︎ーー


「いえいえ親御さん、お気遣いなく。(真面目サネユキ)」

「どうぞ、ごゆっくり~。(ニコニコエリンママ)」


 ーーエリンママ、退出する‼︎ーー


「……改めまして、私はパトリックの従兄弟のサネユキだ。ということは、パトラッシュとも従兄弟同士で合っているかな?」

「ああ。はじめまして兄貴パトリックの双子の弟、パトラッシュだ。よろしく。(ジト目パトラッシュ)」

「よろしくなのだ! ……そして貴殿達リムルとリアムは、アデル皇国のエドワード・ロック偉大なる魔法使いの弟さんで間違いないですか?」

「……よく知っているな。(ジト目リムル)」

「流石だ! 俺達は双子の兄弟! 色々な事情で身分を隠し、トルネード王国軍で働いていた!(ニコニコリアム)」

「そうですね。……実はトルネード王国側にはお二人リムルとリアムの素性はバレています。おそらく此度の魔物は、お二人を狙ってのことでしょう。(神妙サネユキ)」

「「ーーーーっ‼︎」」

「……。(あれれ、ここにいる人達全員有名人なの⁉︎)」

「それと君は……。(エリンを見るサネユキ)」

「俺の婚約者だ。(ジト目殿下)」

「ーーーーっ‼︎ 奇遇だな! パトリックもやっと婚約者をゲットしたばかりなんだ!(喜ぶサネユキ)」

「えっと、……エリンです。よろしくお願いします。」

「よろしく、よろしく! うちのジョナサンと歳が近いと思うから、仲良くしてやってくれ!」

「は、はい……。(奥様は少年なの⁉︎)」

「妻ではなくて、部下って言ってるじゃないですか‼︎」

「妻は少々、恥ずかしがり屋だからな! ジョナサンだ! みんなよろしく!(華麗に流すサネユキ)」

「……どうも、平団員のジョナサンです。よろしくお願いします。(不服そうなモブ顔)」

「よ、よろしくです。(衆道って現実に存在するのね‼︎)」

「じゃあ本題に入るぞ! パトラッシュ君、……君の兄パトリックから伝言を預かっているんだ。」


 ーーサネユキは血に染まった手紙を取り出した‼︎ーー


「……。(何故血みどろなんだ⁉︎ 驚愕パトラッシュ)」

「見た目はこれだが、パトリック直筆だ!」


 ーーパトラッシュはサネユキから手紙を受け取った‼︎ーー


『多分僕の弟(?)パトラッシュへ

 やあ! お久しぶり‼︎ お兄ちゃんだよ!

 僕は今、クーデター組織の棟梁なんだ!

 最近やっと、前言ってた運命の人マリア様を捕獲したよ!

 結婚式はもう少し先だけど、呼ぶから来てね!

 あと、今から食糧難になるから、蓄えておいてね! 

 今度遊びに行くからよろしく!

 毎日運命の人を監視しているパトリックより』


「……。(怖えええ‼︎ クーデターって、ここトルネード王国を乗っ取るのか⁉︎ あと、食糧難ってなんだよ⁉︎ 今でも食糧難なのに、もっと足らなくなるのか⁉︎ ……関わりたくない。出来れば遊びに来てほしくない。ずっとのままでいいから、干渉したくない。 青褪めた大汗パトラッシュ)」

「うん? どうした? (きょとんサネユキ)」

「いや、クーデターが捕獲して結婚式に食糧難が遊びに来るらしい。(しどろもどろパトラッシュ)」

「なんか混ざってるな!(ニコニコサネユキ)」

「あのブラック魔王様のことなので、大まかなことしか書いてないんじゃないですか?(お茶をすするモブ)」

「(手紙の中身を覗いて)確かに大事なことが抜け落ちているな! ……要約すると、パトリックのでは、ここトルネード王国で大きな食糧難が流行るから、貯蔵できる穀物や、ジャガイモなどの芋類を育てておいてほしいらしいぞ。」

「あの、私の家、ジャガイモ農家です。(不安げエリン)」

「左様か‼︎ それなら話は早いな!(微笑むサネユキ)」

「で、ですが……。」


 ーと、そこへ青ざめたエリンママが入ってきた‼︎ーー


「エリン、の人達が来たわ! みなさんを連れて、地下に隠れて‼︎」

「ーーーーっ‼︎ わかった! みなさん、こちらへ‼︎」


 ーーエリンは床板を外して、全員を地下へ促した‼︎ーー


「奥さん、困りますよう。払うもの払ってくれないとー。(応接間にドカドカと入って来たチンピラ職員)」

「先日お話ししたようには封を開けておりません。持って帰ってくださいな。(鬼顔のエリンママ)」

「いいえー、たとえ封を開けていなかったとしても、敷地内に置いている時点で料金は発生してるんでね。一年間分の農薬代はきっちり払って貰いますよー。それに、土地代も未納らしいじゃないですかー? 地主さんも奧さんが払ってくれなくて相当困っているんですよー。ねっ? 地主さん?」

「そうじゃ! さっさと土地代払わんかい!(何故かチンピラ職員の横にいる地主爺さん)」

「……以前も言いましたが、この土地は亡き夫のものです。貴方地主のものではありませんわ!(声を荒げるエリンママ)」

「うるさい、黙れ! 土地の権利書(名義はエリンの父親)はワシが持っとるんじゃ! しのごの言わずに払えや、このあまが!(口の悪い地主爺さん)」

「……奥さん、お金が無いんでしょー? 私、良いお店知ってるんで、紹介しますよー。奥さん、お綺麗だからきっと太客つきますからねー。身体売って借金返しましょうやー。(ゲスなチンピラ職員)」

「お断りですわ!(激おこエリンママ)」

「チッ、埒があかねーな。無理矢理連れて行くか。」


 ーーチンピラ職員はエリンママに覆い被さった‼︎ーー


「や、やめてください‼︎(慌てるエリンママ)」

「はい奥さんー、一緒に遊郭に行きましょうねー。」

「…………あの、すまぬがちょっといいか?」


 ーーと、そこへサネユキがから入ってきた‼︎ーー


「ーーーーっ⁉︎ な、なんだ、お前は⁉︎」

「貴殿達の要求する金額はいくらかな?」

「見ず知らずの人間に話すわけがないだろう‼︎」

「それは困るな。……全額出そうと思っていたのに。」

「な、何⁉︎(コイツは一体何者だ⁉︎)」

「だが、金額を提示されないならば致し方ない。とりあえず農薬代はこれで頼む。(職員に札束を渡すサネユキ)」

「こ、これは⁉︎(十年分の金額だ‼︎)」

「とりあえず、奥様は返してもらうぞ。(チンピラに肘打ちしてエリンママを救出するサネユキ)」

「くっ……⁉︎(痛すぎて気絶するチンピラ職員)」

「あとは地主さんだったか? 安心してくれ。直ぐにここ敷地内から出て行くから。(エリンママを俵担ぎするサネユキ)」

「ーーーーっ⁉︎ ど、どうゆうことだ⁉︎」

「そのままの通りだ。……それと言っておくが、に書かれたもの。ということは、魔法紙に書かれた名義人以外が使用すると……まあ、やってみた方がいいな。なんでもない。」

「……。(逆に気になるわ‼︎)」

「……ちょっと引っ越しの準備があるから、お二方、敷地内から出て行ってくれ。」


 ーーサネユキ、を用いて二人を吹き飛ばした‼︎ーー


「(敷地外に飛んで行った二人を見て)よし、準備は整った。みんな、出てきてくれ。」


 ーー地下室に隠れてた全員がのそのそと出てきた‼︎ーー


「……なにがどうなったの?(困惑エリンママ)」

「みんな、……今からこの敷地内を私の私有地へ全部移す。よいか?(確認を取るサネユキ)」

「「「「「ラジャー‼︎」」」」」

「土地を移すの⁉︎(パニックエリンママ)」

「じゃあ、……結構揺れるから、どこかに掴んでいてくれ。(みんなの体勢を確認してから、瞳孔ピカッとサネユキ)」


 ウゴゴゴゴゴゴオオー(地響きの音)


 ーーサネユキは謎のを使いまくるのであった‼︎ーー
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