2 / 8
第壱譚
0001:少女が生きている⁉︎
しおりを挟む
ーートルネード王国軍演習場から少し離れた道にて。ーー
「……はあはあ、……もう少しよ。(息切れエリン)」
「…………医者に見せても、無駄だぞ。(ジト目少女)」
「ーーーーっ⁉︎(バッと背負っている少女の方を向く)」
「あの男も言っていたではないか。(ジト目)」
「い、意識が戻ったの⁉︎(びっくり仰天エリン)」
ーー少女はエリンからヒョイっと飛び降りた‼︎ーー
「……さっきは身代わりになってくれてかたじけない。」
「い、いえ……。(なんだか古い言い回しね……。)」
「そなたの志し、しかと受け取った。このご恩は、末代にかけて返すと誓うぞ。(キリッと)」
「は、はあ……。(ぽかーん)」
「私の名はナギだ。そなたの名はなんと言う?」
「えっと、……エリンよ!」
「エリンか。……良い名前だ。エリン殿、せっかくここまで運んでくれて有り難いのだが、私には、やらねばならぬことがある。ここでお別れだ。(暗い表情)」
「ま、待って! ……傷は大丈夫なの? あと、もうすぐ日が暮れるから、今から動き出すのは危険だわ! ……ここから少し歩いたところに私の実家があるから、今夜はそこで休んでいかない?」
「しかし、……いいのか?(上目遣いのナギ)」
「全然オッケーよ! 家が貧乏だから、すんごいおもてなしは、できないけどね!(ウインク)」
「……ありがとう、エリン殿。(うるうる)」
「さあ、行きましょう!(ナギの左手を取って)」
「ああ。(エリンの右手を力強く握り返すナギ)」
ーー二人は、エリンの実家へと向かった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、エリン家の小さい応接間。ーー
「ナギちゃん、しっかり食べてね!(エリンママ)」
「……かたじけない。かたじけないぞ。(うるうる)」
ーーナギは目の前にある『お肉が入っていなくて、ジャガイモがゴロゴロとしたシチュー』を黙々と食べている。ーー
「ごめんね。お金が無くて、お肉が買えないんだ。(ナギの向かいに座ってモグモグ食べているエリン)」
「案ずるな。……とても美味しいぞ。こんなにも美味しいご飯を食べたのは、生まれてこのかた、初めてだ。(涙を流しながらシチューを食べるナギ)」
「ナギちゃん、おかわり沢山あるから食べてね!」
「御母堂様、ありがとうございます。(うるうる)」
「ナギちゃんは礼儀正しくて良い子ね!」
「ママ、私もおかわり!(皿を母親に手渡すエリン)」
ーー応接間は、あたたかい笑顔で溢れた‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、エリンの小さな小部屋。ーー
「ナギっち、痛くない?(ナギの患部を触るエリン)」
「くっ…………だ、大丈夫だ。(我慢するナギ)」
「いや、絶対痛いでしょ! よくここまで耐えたわね。(ナギの患部を手早く消毒し薬草を塗布後包帯を巻くエリン)」
「なんのこれしき……。(痛みに顔を歪めるナギ)」
「……よしっ、一応、応急手当ては終わったわ! だけど、治るのに時間がかかると思うから、しばらくここで身体を休めないといけないわね。(救急箱の蓋を閉めるエリン)」
「ーーーーっ‼︎ ……エリン殿に迷惑かけてばかりで申し訳ないのだ。(しょんぼりするナギ)」
「いいの、いいの! 丁度私もお仕事辞めちゃって暇だから、ゆっくりしましょう!(ウインク)」
「……エリン殿、ありがとうなのだ。(うるうる)」
「気にしないで! それよりも、どうして軍の演習場にいたの? それに班長の見立てでは、ナギっちも被爆しているはずなのに、身体自体は回復している。何故なのかしら?」
「それは、……長くなるのだが、いいか?」
「全然構わないわ!(ウインク)」
「相わかった。……実は、……私は、とある組織から命を狙われているのだ。(暗い表情のナギ)」
「ええええええ⁉︎(ナギっちが⁉︎)」
「ヤツらから逃れる為に、私と育ての親であるトモカズは、住む場所を転々として暮らしていた。そして一昨日頃、あのカルスト台地に着いたから、一カ月程、あそこで隠れることに決めたのだ。……トモカズはすぐさま軍に入隊して軍事演習に加わり、私は、トモカズの近くで身を潜めていた。」
「それで、今日の演習で……。」
「トモカズが、あの爆弾が落ちた付近にいた為、トモカズは被爆して死んだ。……私も、被爆して死ぬはずだった。」
「ナギっち……。(うるうる)」
「でも、やっぱり死ねなかった。……私の身体は、普通の人とは違っておかしいのかもしれない。(しょんぼりナギ)」
「……おかしくなんてないわ! 奇跡なんだから!」
「エリン殿……。(うるうるナギ)」
「少なからず、私は、どのような理由であれ、ナギっちが生きてくれて、とても嬉しかったわ!」
「……エリン殿。(うるうるナギ)」
「……同僚が皆、あの爆弾でバタバタ亡くなっていったの。軍部上層部は、被害の報告を出しても何もしない。腕の立つ班長もお手上げ状態。……ほんと、先の見えない毎日だった。……でも、今、目の前に生存者がいる! これほど喜ばしいことは無いわ!(不意に涙が溢れるエリン)」
「…………。(うるうるナギ)」
「ここで会ったのも何かの縁よ。これからもよろしくね!」
「……何から何まで、かたじけない。(号泣ナギ)」
「えへへ! ……明日、何かしたいことはない?」
「……トモカズをきちんと埋葬してやりたい。一緒に来てくれないか?(不安げナギ)」
「お安い御用よ!(ウインクするエリン)」
「……それと、私の身体が、何かしらの研究に役立つかもしれん。あの男のところに、もう一度連れて行ってほしい。」
「わかった。ナギっち、ありがとね。(微笑みエリン)」
「私も、自分の身体について知りたいからな。(照)」
「……よーし、明日も忙しくなりそうだから、今日はもう、お風呂に入って早く寝ましょう‼︎」
「…………お風呂?(きょとん)」
「……まさか、お風呂に入ったことないの⁉︎(びっくり)」
「左様。身体を清めるのは、いつも冷たい川や湖だったからな。……屋根のある家に入るのも、今日が初めてだ。」
「…………‼︎(私がナギっちを守ってあげなくちゃ!)」
「やはり、私は世間知らずなのだろうか?(不安げ)」
「大丈夫よ、ナギっち! 私に任せて!」
「あ、ああ、かたじけないぞ。(困り眉ナギ)」
ーーエリンはナギの人生に想いを馳せるのであった‼︎ーー
「……はあはあ、……もう少しよ。(息切れエリン)」
「…………医者に見せても、無駄だぞ。(ジト目少女)」
「ーーーーっ⁉︎(バッと背負っている少女の方を向く)」
「あの男も言っていたではないか。(ジト目)」
「い、意識が戻ったの⁉︎(びっくり仰天エリン)」
ーー少女はエリンからヒョイっと飛び降りた‼︎ーー
「……さっきは身代わりになってくれてかたじけない。」
「い、いえ……。(なんだか古い言い回しね……。)」
「そなたの志し、しかと受け取った。このご恩は、末代にかけて返すと誓うぞ。(キリッと)」
「は、はあ……。(ぽかーん)」
「私の名はナギだ。そなたの名はなんと言う?」
「えっと、……エリンよ!」
「エリンか。……良い名前だ。エリン殿、せっかくここまで運んでくれて有り難いのだが、私には、やらねばならぬことがある。ここでお別れだ。(暗い表情)」
「ま、待って! ……傷は大丈夫なの? あと、もうすぐ日が暮れるから、今から動き出すのは危険だわ! ……ここから少し歩いたところに私の実家があるから、今夜はそこで休んでいかない?」
「しかし、……いいのか?(上目遣いのナギ)」
「全然オッケーよ! 家が貧乏だから、すんごいおもてなしは、できないけどね!(ウインク)」
「……ありがとう、エリン殿。(うるうる)」
「さあ、行きましょう!(ナギの左手を取って)」
「ああ。(エリンの右手を力強く握り返すナギ)」
ーー二人は、エリンの実家へと向かった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、エリン家の小さい応接間。ーー
「ナギちゃん、しっかり食べてね!(エリンママ)」
「……かたじけない。かたじけないぞ。(うるうる)」
ーーナギは目の前にある『お肉が入っていなくて、ジャガイモがゴロゴロとしたシチュー』を黙々と食べている。ーー
「ごめんね。お金が無くて、お肉が買えないんだ。(ナギの向かいに座ってモグモグ食べているエリン)」
「案ずるな。……とても美味しいぞ。こんなにも美味しいご飯を食べたのは、生まれてこのかた、初めてだ。(涙を流しながらシチューを食べるナギ)」
「ナギちゃん、おかわり沢山あるから食べてね!」
「御母堂様、ありがとうございます。(うるうる)」
「ナギちゃんは礼儀正しくて良い子ね!」
「ママ、私もおかわり!(皿を母親に手渡すエリン)」
ーー応接間は、あたたかい笑顔で溢れた‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、エリンの小さな小部屋。ーー
「ナギっち、痛くない?(ナギの患部を触るエリン)」
「くっ…………だ、大丈夫だ。(我慢するナギ)」
「いや、絶対痛いでしょ! よくここまで耐えたわね。(ナギの患部を手早く消毒し薬草を塗布後包帯を巻くエリン)」
「なんのこれしき……。(痛みに顔を歪めるナギ)」
「……よしっ、一応、応急手当ては終わったわ! だけど、治るのに時間がかかると思うから、しばらくここで身体を休めないといけないわね。(救急箱の蓋を閉めるエリン)」
「ーーーーっ‼︎ ……エリン殿に迷惑かけてばかりで申し訳ないのだ。(しょんぼりするナギ)」
「いいの、いいの! 丁度私もお仕事辞めちゃって暇だから、ゆっくりしましょう!(ウインク)」
「……エリン殿、ありがとうなのだ。(うるうる)」
「気にしないで! それよりも、どうして軍の演習場にいたの? それに班長の見立てでは、ナギっちも被爆しているはずなのに、身体自体は回復している。何故なのかしら?」
「それは、……長くなるのだが、いいか?」
「全然構わないわ!(ウインク)」
「相わかった。……実は、……私は、とある組織から命を狙われているのだ。(暗い表情のナギ)」
「ええええええ⁉︎(ナギっちが⁉︎)」
「ヤツらから逃れる為に、私と育ての親であるトモカズは、住む場所を転々として暮らしていた。そして一昨日頃、あのカルスト台地に着いたから、一カ月程、あそこで隠れることに決めたのだ。……トモカズはすぐさま軍に入隊して軍事演習に加わり、私は、トモカズの近くで身を潜めていた。」
「それで、今日の演習で……。」
「トモカズが、あの爆弾が落ちた付近にいた為、トモカズは被爆して死んだ。……私も、被爆して死ぬはずだった。」
「ナギっち……。(うるうる)」
「でも、やっぱり死ねなかった。……私の身体は、普通の人とは違っておかしいのかもしれない。(しょんぼりナギ)」
「……おかしくなんてないわ! 奇跡なんだから!」
「エリン殿……。(うるうるナギ)」
「少なからず、私は、どのような理由であれ、ナギっちが生きてくれて、とても嬉しかったわ!」
「……エリン殿。(うるうるナギ)」
「……同僚が皆、あの爆弾でバタバタ亡くなっていったの。軍部上層部は、被害の報告を出しても何もしない。腕の立つ班長もお手上げ状態。……ほんと、先の見えない毎日だった。……でも、今、目の前に生存者がいる! これほど喜ばしいことは無いわ!(不意に涙が溢れるエリン)」
「…………。(うるうるナギ)」
「ここで会ったのも何かの縁よ。これからもよろしくね!」
「……何から何まで、かたじけない。(号泣ナギ)」
「えへへ! ……明日、何かしたいことはない?」
「……トモカズをきちんと埋葬してやりたい。一緒に来てくれないか?(不安げナギ)」
「お安い御用よ!(ウインクするエリン)」
「……それと、私の身体が、何かしらの研究に役立つかもしれん。あの男のところに、もう一度連れて行ってほしい。」
「わかった。ナギっち、ありがとね。(微笑みエリン)」
「私も、自分の身体について知りたいからな。(照)」
「……よーし、明日も忙しくなりそうだから、今日はもう、お風呂に入って早く寝ましょう‼︎」
「…………お風呂?(きょとん)」
「……まさか、お風呂に入ったことないの⁉︎(びっくり)」
「左様。身体を清めるのは、いつも冷たい川や湖だったからな。……屋根のある家に入るのも、今日が初めてだ。」
「…………‼︎(私がナギっちを守ってあげなくちゃ!)」
「やはり、私は世間知らずなのだろうか?(不安げ)」
「大丈夫よ、ナギっち! 私に任せて!」
「あ、ああ、かたじけないぞ。(困り眉ナギ)」
ーーエリンはナギの人生に想いを馳せるのであった‼︎ーー
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ヤンデレ幼馴染が帰ってきたので大人しく溺愛されます
下菊みこと
恋愛
私はブーゼ・ターフェルルンデ。侯爵令嬢。公爵令息で幼馴染、婚約者のベゼッセンハイト・ザンクトゥアーリウムにうっとおしいほど溺愛されています。ここ数年はハイトが留学に行ってくれていたのでやっと離れられて落ち着いていたのですが、とうとうハイトが帰ってきてしまいました。まあ、仕方がないので大人しく溺愛されておきます。
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる