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第伍譚
0046:二人の悪役令嬢
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ーーここは、『レオの館』応接間。ーー
ーー室内には、家主のレオに、大巫女ミクル、パトリック殿下、マリア嬢、ノア、そして、殿下御一行を屋敷の中まで案内した、とある女性リオナが椅子に着座していた。ーー
ーー室内の中心に設置された丸いテーブルには、あたたかいお茶が入ったティーカップが、人数分置かれている。ーー
「いやー、お師匠様、お久しぶりですね! わざわざ御足労ありがとうございます‼︎(霊力の師匠である大巫女の来訪に緊張気味な魔法マニアレオ)」
「ああ、久しぶり。師匠として再会できて、いろんな意味で嬉しいぞ。……ところで、レオ、……なかなか豪勢なお屋敷に住んでるんだな。(ジト目大巫女)」
「えへへ、いろいろあって、この土地を所有することになりました……。(顔面が汗まみれなレオ)」
「……前にも言ったかもしれないが、贅沢すぎると霊力は必然と失うものである。……慎みを忘れるなよ。(これ以上増築するんじゃないぞ。 ジト目大巫女)」
「……えへへ!(状況によりますね。 テヘペロレオ)」
「まあいい。ツレの三人を紹介しよう。現在トルネードで指名手配されているパトリック・サイフォン殿下と、いろいろあってトルネードから国外追放されたマリア・ラーズベルト公爵令嬢、最後にチャラ男ノア・フィックスド辺境伯だ。」
「どうも、パトリックです。よろしく。(にっこり殿下)」
「お初にお目にかかります、ラーズベルト公爵の一人娘マリア・ラーズベルトでございます。(礼をするマリア嬢)」
「ノア・フィックスドです。よろしくお願いします。(俺ってそんなにチャラ男なのかな? うるうるノア)」
「ランドットのレオ・ナユタです。パトリック殿下、マリア嬢、ノアさん、どうぞよろしくお願いします。(三人に礼をするレオ)」
「よし、挨拶はこれくらいでいいだろう。それでレオ、……ベルとリリアナ嬢は、今、この屋敷にいるのか?」
「はい、……ただ、今から二人は、ミュージカルの観劇に出掛ける予定ですので、大事なお話はまたの機会にした方がいいと思います。」
「ああ、挨拶だけ出来ればそれでいい。……今から二人を呼べるかね?(ジト目大巫女)」
「お安い御用です、お師匠様‼︎(ものすっごい速さで退出するレオ)」
「……。(相変わらずでよかった。 内心弟子のことを心配していた大巫女)」
「ミクル姉さん、ここ、なんかすごいですね。(殿下)」
「ほお、パトリックはわかるかね。」
「……なんとなくですが、ここは、霊力を増幅しやすいようにできているような気がします。」
「粗方正解だ。……正確には、霊力と魔法なんだがな。」
「なるほど……。アデルの土地自体の特性なのか、力がみなぎってきます。(珍しく真面目な殿下)」
「「…………。(ほえーなマリア嬢とノア)」」
「パトリック、……おそらく、この先、歴史書の筋書き通りに進むならば、アデルとトルネードは、いずれ衝突する。……丁度いい機会だ。アデルの風土や文化をよく見ておくといい。」
「はい。……二国間の衝突を止めることが、世界の平和に繋がりますからね。(大真面目殿下)」
「……この世の平和はバランスにかかっている。たとえデコボコであったとしても、釣り合いが取れていればなんとかなるものだ。」
「ギリギリのラインを見つけろってことですよね?」
「そういうことだ。(部外者の我は何もできないからな。 歯痒い気持ちな大巫女)」
コンコンコン! ガチャっ‼︎
「お師匠様、ベルとリリアナ嬢の準備ができました‼︎」
「よし、お通ししてくれ。(三人と見合う大巫女)」
「「「……。(心の中で『ラジャー!』と叫ぶ三人)」」」
◇ ◇ ◇
ーー応接間にベル殿下とリリアナ嬢が入ってきた‼︎ーー
「パトリック殿下、マリア嬢、ノアさん、……ご紹介します。……この、目つきの悪い男が、ランドット王国の第一王子ベル・ナユタ殿下で、隣のご令嬢が、ランドットのリリアナ・ヘレン公爵令嬢です。(一息で言い切ったレオ)」
「ベル殿下、リリアナ嬢、……はじめまして、パトリックです。どうぞ、よろしく。(にっこりしながら観察してるパトリック殿下)」
「ベルと呼んでくれ、パトリック殿。(左手を前に突き出して)よろしく……。(目つきの悪いベル殿下)」
「はいー、よろしくですうー。(にこにこしながらベル殿下の手を握るパトリック殿下)」
「あ、あの、リリアナ・ヘレンと申します。……どうぞお見知りおきを‼︎(深く礼をしつつ、マリア嬢のお腹付近へ左手を突き出すリリアナ嬢)」
「……わふ。(よろしくですわ。 柴犬フードをかぶり、お腹のポケットから巫女寮で貰ってきたあん餅を出し、リリアナ嬢の左手に持たせて、両手でお餅ごとブンブン握手するマリア嬢)」
「ーーーーっ⁉︎(なななんと、初対面で握手をしてくださるお方がいるだなんて⁉︎ そそそれに、この感触は、ニホンにしかない私の大好きなお餅では⁉︎ 感謝感激雨あられですわ‼︎ 今まで、顔が怖いというだけで、避けられてきた為、マーキュリー殿下以外の同年代の同性とは握手をしたことがなかったが、マリア嬢にブンブン握手をされ、嬉しすぎてプチパニック状態になってるリリアナ嬢)」
「……わふわふ。(パトリック様には、内緒ですからね。 お菓子を隠し持ってることをパトリック殿下に知られていないと思っているマリア嬢)」
「……(小声で)わかりましたわ、マリア様。……リリアナ・ヘレン、親友の為に、秘密を隠し通すことをお誓い致します‼︎(会って数分で、何故かマリア嬢の犬語を理解し、おまけに、マリア嬢を親友として認識したリリアナ嬢)」
「……。(マリア様、僕、マリア様がお菓子を隠してるの知ってるんだけどなー。でも、面白そうだからいいや。……それよりも、リリアナ・ヘレン。……彼女は、僕にとって、一番の脅威かもしれない。マリア様の犬語を理解して尚且つ、親友認定だと⁉︎ ふざけるなよ。マリア様の親友兼恋人兼夫は、僕だけなんだ‼︎ マリア様の親友の座は絶対に渡さないぞ‼︎ さりげなくリリアナ嬢の心を読み取って闘争心を燃やしまくるパトリック殿下)」
「……。(うん。隣にいるパトリック殿下がとんでもなく物騒な雰囲気をかもし出していてつらい。それにプラスして、ランドットのベル殿下が、俺に『どういうことだ、ノア?』って、アイコンタクトしてきて、もっとつらたん。……なんで王族の人たちって、こんなにアクが濃すぎるんだろう? もっと穏便な関係を努力してくれないかなー。ちなみに、ベル殿下とは、幼少期に数回会ったことがあるから、良い人ってことは、知ってるけれどもねー。 遠い目をしながら現実逃避しているノア)」
「……。(幼少期に数回だけ会ったことのあるノアが、指名手配中の第二王子側についてるだなんて、なんだか意外だな。フィックスド辺境伯領は、アデルとの国境沿いにある。アデルとバチバチしてそうなイメージだったから、てっきり、トルネードの中枢側との関係を取ると予想していたのにな。……それよりも、パトリック殿下がどうやら、私のリアの心を読んでいるらしい。……許せない。……リアの心を読んでいいのは、私だけだ‼︎ リリアナ嬢のことになると、大抵おかしくなるベル殿下)」
「……。(あん? ベル殿下さんよー、これを言っちゃおしまいですけどね、リリアナ嬢が、先に僕のマリア様に手を出してきたんですよ。そちらの躾が、なってないんじゃないですか? 文句があるなら、リリアナ嬢をちゃんと躾けてからにしてくれません? じゃんじゃんベル殿下に想念を送って、挑発するパトリック殿下)」
「……。(……それは、申し訳ないと思っている。しかし、しかしだな、リアにマーキュリー以外の同性の友達ができたのは、これが初めてなのだ‼︎ こんなにも、喜びに満ち溢れてるリアにノーは言えない‼︎ パトリック殿下、諦めてくれ‼︎ 複雑な心境のベル殿下)」
「……。(僕、慈善事業なんか、するつもりないんで。……リリアナ嬢には、絶対に負けないぞ‼︎ 怒り狂ってるパトリック殿下)」
「……。(……はあ。……霊力さえなければ、殿下達の想念バトルを聞かなくて済むのにな。……っていうか、俺、今、霊力モード切ってるのに、なんで聞こえるんだろう? 殿下達の板挟みにあって、ため息を吐きまくってるノア)」
「……わふもふ。(リリアナ様、私、巫女寮からたくさんのお菓子をいただいてますので、二人だけのときに一緒に食べましょう。 地味に同性の友達ができて嬉しいマリア嬢)」
「ーーーーっ⁉︎ ありがとうございます、マリア様‼︎ ……そう言えば、私、今からとあるミュージカルを観劇しに行く予定なのですが、マリア様もいかがですか? もちろん、ミクル様と、パトリック殿下とノア様もご一緒に‼︎(マリア様ともっとお近づきになって、いろいろなお話がしてみたいですわ‼︎ ドストライクゾーンなマリア嬢と親友になれて有頂天になってるリリアナ嬢)」
「……わふわふう‼︎(それは、とても面白そうですわね‼︎ パトリック殿下が、オッケーを出してくだされば、行けると思います‼︎ なかなか乗り気なマリア嬢)」
「「ーーーーっ⁉︎(困惑パトリック殿下とベル殿下)」」
「おー、いいね、いいね! マリア嬢達の分のチケット、僕が取っておきますよ‼︎(全然空気が読めてないレオ)」
「……。(ベル殿下。 ベル殿下を見るパトリック殿下)」
「……。(パトリック殿下……。 返すベル殿下)」
「……。(今回ばかりは、仕方がない。……ベル殿下、共闘しましょう。マリア様とリリアナ嬢との仲を引き剥がすのです‼︎ なかなか心の狭いパトリック殿下)」
「……。(そうだな。上手い具合に二人を引き剥がして、お互いの益のため、最前を尽くすぞ‼︎ パトリック殿下に追従する心の狭いベル殿下)」
「……。(よくよく考えると、この二人、すっごく似てるんだよなー。 殿下達のアツい想念に圧倒されるノア)」
「……。(喧嘩さえしなければ、なんでもいいか。さてと、ミュージカルの演目は、なんなのかの? マイペースにテーブルへ置かれていたミュージカルのチラシに目を通す大巫女ミクル)」
「レオさん、僕達のチケット四枚、……いや、五枚用意できますか?(リリアナ嬢に対抗するため、覚悟を決めたパトリック殿下)」
「できると思う‼︎ じゃあ、ベル達の隣を用意してくるねー‼︎(チケットを取りに退出するレオ)」
「ーーーーっ‼︎ やりましたね、マリア様‼︎(ちゃっかりマリア嬢の横に座ってるリリアナ嬢)」
「わっふふう‼︎(ミュージカル、ミュージカル‼︎ 超楽しみなマリア嬢)」
「……。(リリアナ嬢め、……マリア様の隣に座って良いのは、僕だけだ‼︎ ミュージカル劇場で、僕とマリア様との絆を見せつけてやる‼︎)」
「……。(リアには悪いが、マリア嬢と少し近づきすぎだと思う。……もしかすると、リアはただ単に寂しかっただけなのかもしれない。……私が至らないばかりに、マリア嬢にご迷惑をかけてしまった。よし、覚悟を決めて、もっと、リアに対して積極的に行くぞー‼︎ いつの間にかパトリック殿下に感化されてるベル殿下)」
「……。(ミュージカル観劇、……何も起こらなかったらいいなー。 半ば諦めてるノア)」
ーーニ刻後、殿下達は、劇場へ向かうのであった‼︎ーー
ーー室内には、家主のレオに、大巫女ミクル、パトリック殿下、マリア嬢、ノア、そして、殿下御一行を屋敷の中まで案内した、とある女性リオナが椅子に着座していた。ーー
ーー室内の中心に設置された丸いテーブルには、あたたかいお茶が入ったティーカップが、人数分置かれている。ーー
「いやー、お師匠様、お久しぶりですね! わざわざ御足労ありがとうございます‼︎(霊力の師匠である大巫女の来訪に緊張気味な魔法マニアレオ)」
「ああ、久しぶり。師匠として再会できて、いろんな意味で嬉しいぞ。……ところで、レオ、……なかなか豪勢なお屋敷に住んでるんだな。(ジト目大巫女)」
「えへへ、いろいろあって、この土地を所有することになりました……。(顔面が汗まみれなレオ)」
「……前にも言ったかもしれないが、贅沢すぎると霊力は必然と失うものである。……慎みを忘れるなよ。(これ以上増築するんじゃないぞ。 ジト目大巫女)」
「……えへへ!(状況によりますね。 テヘペロレオ)」
「まあいい。ツレの三人を紹介しよう。現在トルネードで指名手配されているパトリック・サイフォン殿下と、いろいろあってトルネードから国外追放されたマリア・ラーズベルト公爵令嬢、最後にチャラ男ノア・フィックスド辺境伯だ。」
「どうも、パトリックです。よろしく。(にっこり殿下)」
「お初にお目にかかります、ラーズベルト公爵の一人娘マリア・ラーズベルトでございます。(礼をするマリア嬢)」
「ノア・フィックスドです。よろしくお願いします。(俺ってそんなにチャラ男なのかな? うるうるノア)」
「ランドットのレオ・ナユタです。パトリック殿下、マリア嬢、ノアさん、どうぞよろしくお願いします。(三人に礼をするレオ)」
「よし、挨拶はこれくらいでいいだろう。それでレオ、……ベルとリリアナ嬢は、今、この屋敷にいるのか?」
「はい、……ただ、今から二人は、ミュージカルの観劇に出掛ける予定ですので、大事なお話はまたの機会にした方がいいと思います。」
「ああ、挨拶だけ出来ればそれでいい。……今から二人を呼べるかね?(ジト目大巫女)」
「お安い御用です、お師匠様‼︎(ものすっごい速さで退出するレオ)」
「……。(相変わらずでよかった。 内心弟子のことを心配していた大巫女)」
「ミクル姉さん、ここ、なんかすごいですね。(殿下)」
「ほお、パトリックはわかるかね。」
「……なんとなくですが、ここは、霊力を増幅しやすいようにできているような気がします。」
「粗方正解だ。……正確には、霊力と魔法なんだがな。」
「なるほど……。アデルの土地自体の特性なのか、力がみなぎってきます。(珍しく真面目な殿下)」
「「…………。(ほえーなマリア嬢とノア)」」
「パトリック、……おそらく、この先、歴史書の筋書き通りに進むならば、アデルとトルネードは、いずれ衝突する。……丁度いい機会だ。アデルの風土や文化をよく見ておくといい。」
「はい。……二国間の衝突を止めることが、世界の平和に繋がりますからね。(大真面目殿下)」
「……この世の平和はバランスにかかっている。たとえデコボコであったとしても、釣り合いが取れていればなんとかなるものだ。」
「ギリギリのラインを見つけろってことですよね?」
「そういうことだ。(部外者の我は何もできないからな。 歯痒い気持ちな大巫女)」
コンコンコン! ガチャっ‼︎
「お師匠様、ベルとリリアナ嬢の準備ができました‼︎」
「よし、お通ししてくれ。(三人と見合う大巫女)」
「「「……。(心の中で『ラジャー!』と叫ぶ三人)」」」
◇ ◇ ◇
ーー応接間にベル殿下とリリアナ嬢が入ってきた‼︎ーー
「パトリック殿下、マリア嬢、ノアさん、……ご紹介します。……この、目つきの悪い男が、ランドット王国の第一王子ベル・ナユタ殿下で、隣のご令嬢が、ランドットのリリアナ・ヘレン公爵令嬢です。(一息で言い切ったレオ)」
「ベル殿下、リリアナ嬢、……はじめまして、パトリックです。どうぞ、よろしく。(にっこりしながら観察してるパトリック殿下)」
「ベルと呼んでくれ、パトリック殿。(左手を前に突き出して)よろしく……。(目つきの悪いベル殿下)」
「はいー、よろしくですうー。(にこにこしながらベル殿下の手を握るパトリック殿下)」
「あ、あの、リリアナ・ヘレンと申します。……どうぞお見知りおきを‼︎(深く礼をしつつ、マリア嬢のお腹付近へ左手を突き出すリリアナ嬢)」
「……わふ。(よろしくですわ。 柴犬フードをかぶり、お腹のポケットから巫女寮で貰ってきたあん餅を出し、リリアナ嬢の左手に持たせて、両手でお餅ごとブンブン握手するマリア嬢)」
「ーーーーっ⁉︎(なななんと、初対面で握手をしてくださるお方がいるだなんて⁉︎ そそそれに、この感触は、ニホンにしかない私の大好きなお餅では⁉︎ 感謝感激雨あられですわ‼︎ 今まで、顔が怖いというだけで、避けられてきた為、マーキュリー殿下以外の同年代の同性とは握手をしたことがなかったが、マリア嬢にブンブン握手をされ、嬉しすぎてプチパニック状態になってるリリアナ嬢)」
「……わふわふ。(パトリック様には、内緒ですからね。 お菓子を隠し持ってることをパトリック殿下に知られていないと思っているマリア嬢)」
「……(小声で)わかりましたわ、マリア様。……リリアナ・ヘレン、親友の為に、秘密を隠し通すことをお誓い致します‼︎(会って数分で、何故かマリア嬢の犬語を理解し、おまけに、マリア嬢を親友として認識したリリアナ嬢)」
「……。(マリア様、僕、マリア様がお菓子を隠してるの知ってるんだけどなー。でも、面白そうだからいいや。……それよりも、リリアナ・ヘレン。……彼女は、僕にとって、一番の脅威かもしれない。マリア様の犬語を理解して尚且つ、親友認定だと⁉︎ ふざけるなよ。マリア様の親友兼恋人兼夫は、僕だけなんだ‼︎ マリア様の親友の座は絶対に渡さないぞ‼︎ さりげなくリリアナ嬢の心を読み取って闘争心を燃やしまくるパトリック殿下)」
「……。(うん。隣にいるパトリック殿下がとんでもなく物騒な雰囲気をかもし出していてつらい。それにプラスして、ランドットのベル殿下が、俺に『どういうことだ、ノア?』って、アイコンタクトしてきて、もっとつらたん。……なんで王族の人たちって、こんなにアクが濃すぎるんだろう? もっと穏便な関係を努力してくれないかなー。ちなみに、ベル殿下とは、幼少期に数回会ったことがあるから、良い人ってことは、知ってるけれどもねー。 遠い目をしながら現実逃避しているノア)」
「……。(幼少期に数回だけ会ったことのあるノアが、指名手配中の第二王子側についてるだなんて、なんだか意外だな。フィックスド辺境伯領は、アデルとの国境沿いにある。アデルとバチバチしてそうなイメージだったから、てっきり、トルネードの中枢側との関係を取ると予想していたのにな。……それよりも、パトリック殿下がどうやら、私のリアの心を読んでいるらしい。……許せない。……リアの心を読んでいいのは、私だけだ‼︎ リリアナ嬢のことになると、大抵おかしくなるベル殿下)」
「……。(あん? ベル殿下さんよー、これを言っちゃおしまいですけどね、リリアナ嬢が、先に僕のマリア様に手を出してきたんですよ。そちらの躾が、なってないんじゃないですか? 文句があるなら、リリアナ嬢をちゃんと躾けてからにしてくれません? じゃんじゃんベル殿下に想念を送って、挑発するパトリック殿下)」
「……。(……それは、申し訳ないと思っている。しかし、しかしだな、リアにマーキュリー以外の同性の友達ができたのは、これが初めてなのだ‼︎ こんなにも、喜びに満ち溢れてるリアにノーは言えない‼︎ パトリック殿下、諦めてくれ‼︎ 複雑な心境のベル殿下)」
「……。(僕、慈善事業なんか、するつもりないんで。……リリアナ嬢には、絶対に負けないぞ‼︎ 怒り狂ってるパトリック殿下)」
「……。(……はあ。……霊力さえなければ、殿下達の想念バトルを聞かなくて済むのにな。……っていうか、俺、今、霊力モード切ってるのに、なんで聞こえるんだろう? 殿下達の板挟みにあって、ため息を吐きまくってるノア)」
「……わふもふ。(リリアナ様、私、巫女寮からたくさんのお菓子をいただいてますので、二人だけのときに一緒に食べましょう。 地味に同性の友達ができて嬉しいマリア嬢)」
「ーーーーっ⁉︎ ありがとうございます、マリア様‼︎ ……そう言えば、私、今からとあるミュージカルを観劇しに行く予定なのですが、マリア様もいかがですか? もちろん、ミクル様と、パトリック殿下とノア様もご一緒に‼︎(マリア様ともっとお近づきになって、いろいろなお話がしてみたいですわ‼︎ ドストライクゾーンなマリア嬢と親友になれて有頂天になってるリリアナ嬢)」
「……わふわふう‼︎(それは、とても面白そうですわね‼︎ パトリック殿下が、オッケーを出してくだされば、行けると思います‼︎ なかなか乗り気なマリア嬢)」
「「ーーーーっ⁉︎(困惑パトリック殿下とベル殿下)」」
「おー、いいね、いいね! マリア嬢達の分のチケット、僕が取っておきますよ‼︎(全然空気が読めてないレオ)」
「……。(ベル殿下。 ベル殿下を見るパトリック殿下)」
「……。(パトリック殿下……。 返すベル殿下)」
「……。(今回ばかりは、仕方がない。……ベル殿下、共闘しましょう。マリア様とリリアナ嬢との仲を引き剥がすのです‼︎ なかなか心の狭いパトリック殿下)」
「……。(そうだな。上手い具合に二人を引き剥がして、お互いの益のため、最前を尽くすぞ‼︎ パトリック殿下に追従する心の狭いベル殿下)」
「……。(よくよく考えると、この二人、すっごく似てるんだよなー。 殿下達のアツい想念に圧倒されるノア)」
「……。(喧嘩さえしなければ、なんでもいいか。さてと、ミュージカルの演目は、なんなのかの? マイペースにテーブルへ置かれていたミュージカルのチラシに目を通す大巫女ミクル)」
「レオさん、僕達のチケット四枚、……いや、五枚用意できますか?(リリアナ嬢に対抗するため、覚悟を決めたパトリック殿下)」
「できると思う‼︎ じゃあ、ベル達の隣を用意してくるねー‼︎(チケットを取りに退出するレオ)」
「ーーーーっ‼︎ やりましたね、マリア様‼︎(ちゃっかりマリア嬢の横に座ってるリリアナ嬢)」
「わっふふう‼︎(ミュージカル、ミュージカル‼︎ 超楽しみなマリア嬢)」
「……。(リリアナ嬢め、……マリア様の隣に座って良いのは、僕だけだ‼︎ ミュージカル劇場で、僕とマリア様との絆を見せつけてやる‼︎)」
「……。(リアには悪いが、マリア嬢と少し近づきすぎだと思う。……もしかすると、リアはただ単に寂しかっただけなのかもしれない。……私が至らないばかりに、マリア嬢にご迷惑をかけてしまった。よし、覚悟を決めて、もっと、リアに対して積極的に行くぞー‼︎ いつの間にかパトリック殿下に感化されてるベル殿下)」
「……。(ミュージカル観劇、……何も起こらなかったらいいなー。 半ば諦めてるノア)」
ーーニ刻後、殿下達は、劇場へ向かうのであった‼︎ーー
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