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第参譚
0027:マリア様、魔法使いになる⁉︎
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ーーここはパトリック殿下が安置されているお部屋。ーー
ーーパトリック殿下はロック公爵と通信中である‼︎ーー
『エドワード・ロック、おばちゃんに何かあったの?』
『……いや、俺にもよくわからん。(おばちゃん呼び⁉︎)』
『それに、なんか雑音がすんごいけど、何してるの?』
『……接待というかなんというか、……気にするな。』
『ふーーん。(なんか怪しいぞ。)』
『もうすぐアデルの魔法使いがそっちに着く。色々とソイツに聞いてくれ。じゃ、俺はこれで……。(そわそわ公爵)』
プツンっ…………。ツーツーツー。
ーーロック公爵からの通信は途絶えた‼︎ーー
「パトリック、もしかして……。(汗だくサネユキ)」
『うん。……おばちゃんがスピカに支援している事が、彼方にバレちゃった可能性があるね。(考え込む殿下)』
「だだ第三王妃陛下がスピカを支援⁉︎(驚愕マリア嬢)」
『あれ? 僕、マリア様に言ってなかったっけ?』
「初耳ですわ‼︎(ポカポカと、にっこり殿下を叩く素振りをするが、全然当たっていないマリア嬢)」
『えへへ! ……まあ、この話は極秘中の極秘だから、知っているのは、僕とサネユキぐらいかな。……数百人規模の団員のお給金(しかも高給‼︎)を滞りなく出すには、支援者がいないと賄えないんだよ、マリア様。……ただ、おばちゃんの財産からは一銭たりとも出されていない。しのぎというか、……いろんなお仕事をまわしてもらって、その報酬をいただいてるだけだから、賄賂とか、袖の下とか、そういった汚いお金ではないよ。(微笑み殿下)』
「そうだったのですね。(ほへーなマリア嬢)」
「仕事の種類は多岐にわたるぞ。土方に船乗り、馬方に着ぐるみ屋さん、パン屋と理髪店、……宮中カメラマンやそう言えば、小説家もあったな。(遠い目サネユキ)」
『……おばちゃんは手段を選ばないからね。(小声で)衆道の小説を書けって言われたときは、なんか複雑だったな。(遠い目殿下)』
「……?(よくわかりませんが、大変だったのですね!)」
「……パトリック殿下、……着ぐるみ屋さんって、第三王妃陛下に依頼されてやってたんですか⁉︎(驚愕ノア)」
『うん、そうだよ。採算取れてないけど、おばちゃんが着ぐるみ推しだから、赤字でもやめられない。……おばちゃんが死ぬまで永遠に続くよ。(まあ、僕も着ぐるみマリア様大好きだからやめるつもりは皆無だけどね。 ブラック殿下)』
「………………‼︎(ひいあいいいい⁉︎ 慄くノア)」
「パトリック、第三王妃陛下は今……。」
『王城に箱詰め状態なんだよね。(神妙殿下)』
「ーーーーっ⁉︎ それは大変ですわ‼︎(叫ぶマリア嬢)」
「……? あの、どういうことですか?(きょとんノア)」
『王城の警備はかなり厳重でさ、入るのが難しいんだよ。』
「宮殿ならいくらでもツテがあるから何とかなるんだが、王城には私も入った事はない。(生真面目サネユキ)」
『おばちゃんとの連絡も、最近は伝書八咫烏に頼り切っているからね、顔も見てないんだよなー。……サネユキ、どうする?』
「……なかなかに厳しいぞ。(生真面目サネユキ)」
「ーー僕達がサポートをしようか?ーー」
『「「「ーーーーっ⁉︎(誰だ⁉︎)」」」』
ーー元スピカ員達は皆、入り口のドアを振り返った‼︎ーー
「やあ! アデルの偉大なる魔法使いエドワード・ロックに頼まれてやって来た、マーキュリーだよ‼︎(爽やか)」
「それと、お師匠様の弟子のツクヨミです。(顔面を黒髪で覆い隠してる男)」
「……マーキュリー殿下ですか⁉︎(驚愕マリア嬢)」
「うん、マリア嬢、久しぶりだね‼︎(微笑み殿下)」
ーーちなみに、マリア嬢と殿下は旧知の仲だぞ‼︎ーー
「マーキュリー殿下、お久しぶりですわ!」
「久しぶり、マリア嬢! 最近は殆ど交流がなかったからね。……マリア嬢、以前よりも丸くなって可愛らしいな。(マリア嬢の手の甲に口付けるマーキュリー殿下)」
「ーーーーっ‼︎(顔を赤らめるマリア嬢)」
『……。(コロス! 僕のマリア嬢を口説こうとしている時点で敵確定だ‼︎ スピカ総出でアデル全土を焼け野原にしてやる‼︎ 目がイッてるどす黒魔王殿下)』
「待て待てパトリック、落ち着くのだ!(パトリック殿下とマーキュリー殿下の間に入るサネユキ)」
「そうですよ、パトリック殿下。相手は魔法大国の皇太子ですよ‼︎ 今トラブルを起こしちゃったら大変なことになりますって‼︎(霊力でパトリック殿下を止めるノア)」
「うん? ああ、ごめんね! ほら、レディに会ったら接吻するのって礼儀でしょ? トルネードでは違うんだっけ?(空気読めないマーキュリー殿下)」
「(ボソッと)アデルでも接吻なんてしませんがね。」
「んん? 何か言ったかな、ツクヨミくん?」
「いえ、なんでもないです。(トホホ)」
「まあいい。……パトリック殿下は君かな?(サネユキの肩からひょっこり顔を出すマーキュリー殿下)」
『そうだけど、……貴殿は僕のこと、視えるんだね。』
「うん、僕もツクヨミも、いろいろな敵を想定して訓練しているから、簡単な霊力は身につけているんだ!」
『それで、……なんでわざわざここへ来たの?』
「それは、エドワードに頼まれたこともあるんだけどね。(ガバッと床に正座して)此度は、エドワードにマーズ、ツクヨミを助けてくれて本当にありがとうございました‼︎ このご恩は一生忘れません‼︎(床に頭を擦り付けるように土下座するマーキュリー殿下)」
「ありがとうございました‼︎(マーキュリー殿下に続いて土下座するツクヨミ)」
『…………ほえっ?(きょとん殿下)』
「(顔をあげて)……実は僕も、あの日現場にいたんだ。……かなり上空から見てたから、多分気づいてないと思うけれど。……新型爆弾投下による周囲の影響のデータを取ることに精一杯で、みんなのこと、助けられなかった。……皇太子失格だよね。(うるうるマーキュリー殿下)」
『いや、皇太子が出る幕でもないと思うけど。』
「パトリック殿下、……君の決死の行動は、今まで見たことがない。君が国王になれば、トルネードは安泰だな。」
『国王になるつもりは一切ないけどね。(僕にはマリア様の夫という大事な役割があるから、まるっとお断りさ!)』
「ということで、君達の活動は、僕達の魔法省第壱が全面的にバックアップするつもりだから、よろしく‼︎」
『…………はあ。(きょとんパトリック殿下)』
「……。(うわー、パトリック殿下、全然やる気ない‼︎)」
「…………。(様子見だな。 慎重サネユキ)」
「じゃあ、早速、パトリック殿下の魂を本体に戻そうか‼︎(立ち上がるマーキュリー殿下)」
『ーーーーっ‼︎ それに関して、エドワード・ロックは何て言ってたの?(興味津々殿下)』
「それは、…………マリア嬢以外には秘密なんだ‼︎」
『「「「ーーーーっ⁉︎」」」』
「マーキュリー殿下、どういうことですの?」
「詳細は後でね‼︎ ……ツクヨミ、先に、報告書を。」
「はい。(サネユキに分厚い紙の束を渡して)……新型爆弾投下後、トルネード王国第一王子マーズ殿下は、お師匠様の本体を抱えて、トルネード王国王城へと入城しました。(淡々と説明するツクヨミ)」
『「「「ーーーーっ⁉︎」」」』
「約三週間後に、トルネード王国王城にて、仮面舞踏会が開かれます。……一般人も参加可能ですので、第三王妃陛下を救出するには、この日が無難かと思います。」
「トルネードの王城は、魔石で作られた部屋があるから、エドワードはおそらく自然治癒を促進させる為に、王城を指定したんじゃないかな。……そんでもって、ついさっき、テレパシーで連絡がきたんだけど、『第三王妃陛下の救出に協力しろ。』って言われてさ。……第三王妃陛下は、中枢部から煙たがられているみたいだね。陛下の身の安全は、アデルが責任を持って確保するよ。」
「国境沿い付近の爆弾の影響は今のところ確認されておりませんが、近くに住んでいる住民の噂によると、ここ一週間で、『幽霊を見た‼︎』という目撃情報が多発しています。……僕達は、霊力に関してはそれほどですので、協力していただくと助かります。(頭を下げるツクヨミ)」
『サネユキ……。(アイコンタクト殿下)』
「了解。……私の班を派遣しよう。(神妙サネユキ)」
「ありがとう、助かるよ。……魔法は、幽霊さんには一切効かないからね。……それじゃあ、マリア嬢以外は全員、出て行って貰おうか‼︎(パチンと指を鳴らして、魔法を発動。サネユキ、ノア、霊魂パトリック殿下にツクヨミを部屋の外へ追い出すマーキュリー殿下)」
「「「「『ーーーーっ⁉︎』」」」」
ーーマリア嬢以外の全員は華麗に追い出された‼︎ーー
「ーーーーっ⁉︎(これが魔法の力ですの?)」
「それじゃあ、マリア嬢。二週間で出来るようにするよ‼︎」
「……で、ですが、マーキュリー殿下。(困り眉)」
「うん、どうした?」
『(扉の向こう側から)開けろー‼︎ マリア様に何をする気だー‼︎ マリア様を解放しろー‼︎(絶叫しながら扉をバンバン叩くパトリック殿下)』
「パトリック様が可哀想ですわ。(くうーーん。)」
「……大丈夫。不埒なことは一切しないから。二人を引き離すことは絶対にないよ。(誠実マーキュリー殿下)」
「…………。(マーキュリー殿下の目は真実ですわね。)」
「本当は、三年かかるところを二週間でしなきゃいけないから、マリア嬢にはキツイかもしれないけど、パトリック殿下を元に戻すには、これしか無いからね。信じてほしい。」
「……わかりました。パトリック様のためなら、私、火の中、水の中、なんでもやってみせますわ‼︎」
「よしっ! その意気だ‼︎ 時間がないから急ぐよ‼︎」
「ラジャーですわ‼︎」
ーーかくして、二人の謎の特訓が始まった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーー二週間後。ーー
「……パトリック殿下、気を取り直してくださいよ。」
「そうだぞ、パトリック。……もうじき、マリア嬢も出て来てくれるはずだ。(困り眉サネユキ)」
『…………。(ぽかーんと口を開けて灰になってる殿下)』
「マリア様、……お食事も取られずに、ずっと引き込まれて、……健気すぎますわ!(事情を知らないオリビア)」
「着ぐるみのお姉ちゃんがいないと、何だか寂しいでちゅね。(オリビアの横でお水をチビチビと飲むアルト)」
「あっう、うー‼︎(マリア様に早く会いたいのだ!)」
ーーと、霊魂パトリック殿下がいきなり消失した‼︎ーー
「「ーーーーっ⁉︎」」
ーーサネユキとノアは走り出す‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここはパトリック殿下が安置されているお部屋。ーー
「(バンッと扉を開けて)パトリック⁉︎(焦りサネユキ)」
「パトリック殿下ー‼︎(サネユキに続くノア)」
ーーそこには、疲れ果てて眠っているマリア嬢と、マリア嬢の頭を撫で撫でしている本体パトリック殿下がいた‼︎ーー
「「ーーーーっ⁉︎(戻ったのか⁉︎)」」
「ふふふ、間に合って良かったよ。……じゃあ、僕はこれで。(パチンと指を鳴らして消えるマーキュリー殿下)」
「…………パトリック。(信じられないサネユキ)」
「うん、……よくわからないけど、元に戻ったみたいだね。(マリア嬢に再会できて嬉しい殿下)」
「……あの、殿下の額に、マークってついていましたっけ?(不思議そうに見るノア)」
「マーク? 確かにパトリックの額に何か描かれているな。見たところラーズベルト公爵の家紋のようだが。」
「ーーーーっ‼︎ そういうことか。(納得殿下)」
「うん? どうした、パトリック?」
「……奴隷紋だよ、サネユキ。」
「ーーーーっ‼︎ そうか、それならっ……‼︎」
「……? どういうことですか?(きょとんノア)」
「死ぬまでマリア様と一緒ってことだよ。……ありがとう、マリア様。(目に涙を溜めてマリア嬢を抱きしめる殿下)」
「……むにゃむにゃ。……あん、ぱん……。(夢見心地で、ニマニマしているマリア嬢)」
「…………。(どんな夢を見てるの⁉︎)」
「……ノア、行こうか。(空気を読むサネユキ)」
「そうですね……。(同じく空気を読むノア)」
ーー王城の舞踏会まであと一週間‼︎ーー
ーーパトリック殿下はロック公爵と通信中である‼︎ーー
『エドワード・ロック、おばちゃんに何かあったの?』
『……いや、俺にもよくわからん。(おばちゃん呼び⁉︎)』
『それに、なんか雑音がすんごいけど、何してるの?』
『……接待というかなんというか、……気にするな。』
『ふーーん。(なんか怪しいぞ。)』
『もうすぐアデルの魔法使いがそっちに着く。色々とソイツに聞いてくれ。じゃ、俺はこれで……。(そわそわ公爵)』
プツンっ…………。ツーツーツー。
ーーロック公爵からの通信は途絶えた‼︎ーー
「パトリック、もしかして……。(汗だくサネユキ)」
『うん。……おばちゃんがスピカに支援している事が、彼方にバレちゃった可能性があるね。(考え込む殿下)』
「だだ第三王妃陛下がスピカを支援⁉︎(驚愕マリア嬢)」
『あれ? 僕、マリア様に言ってなかったっけ?』
「初耳ですわ‼︎(ポカポカと、にっこり殿下を叩く素振りをするが、全然当たっていないマリア嬢)」
『えへへ! ……まあ、この話は極秘中の極秘だから、知っているのは、僕とサネユキぐらいかな。……数百人規模の団員のお給金(しかも高給‼︎)を滞りなく出すには、支援者がいないと賄えないんだよ、マリア様。……ただ、おばちゃんの財産からは一銭たりとも出されていない。しのぎというか、……いろんなお仕事をまわしてもらって、その報酬をいただいてるだけだから、賄賂とか、袖の下とか、そういった汚いお金ではないよ。(微笑み殿下)』
「そうだったのですね。(ほへーなマリア嬢)」
「仕事の種類は多岐にわたるぞ。土方に船乗り、馬方に着ぐるみ屋さん、パン屋と理髪店、……宮中カメラマンやそう言えば、小説家もあったな。(遠い目サネユキ)」
『……おばちゃんは手段を選ばないからね。(小声で)衆道の小説を書けって言われたときは、なんか複雑だったな。(遠い目殿下)』
「……?(よくわかりませんが、大変だったのですね!)」
「……パトリック殿下、……着ぐるみ屋さんって、第三王妃陛下に依頼されてやってたんですか⁉︎(驚愕ノア)」
『うん、そうだよ。採算取れてないけど、おばちゃんが着ぐるみ推しだから、赤字でもやめられない。……おばちゃんが死ぬまで永遠に続くよ。(まあ、僕も着ぐるみマリア様大好きだからやめるつもりは皆無だけどね。 ブラック殿下)』
「………………‼︎(ひいあいいいい⁉︎ 慄くノア)」
「パトリック、第三王妃陛下は今……。」
『王城に箱詰め状態なんだよね。(神妙殿下)』
「ーーーーっ⁉︎ それは大変ですわ‼︎(叫ぶマリア嬢)」
「……? あの、どういうことですか?(きょとんノア)」
『王城の警備はかなり厳重でさ、入るのが難しいんだよ。』
「宮殿ならいくらでもツテがあるから何とかなるんだが、王城には私も入った事はない。(生真面目サネユキ)」
『おばちゃんとの連絡も、最近は伝書八咫烏に頼り切っているからね、顔も見てないんだよなー。……サネユキ、どうする?』
「……なかなかに厳しいぞ。(生真面目サネユキ)」
「ーー僕達がサポートをしようか?ーー」
『「「「ーーーーっ⁉︎(誰だ⁉︎)」」」』
ーー元スピカ員達は皆、入り口のドアを振り返った‼︎ーー
「やあ! アデルの偉大なる魔法使いエドワード・ロックに頼まれてやって来た、マーキュリーだよ‼︎(爽やか)」
「それと、お師匠様の弟子のツクヨミです。(顔面を黒髪で覆い隠してる男)」
「……マーキュリー殿下ですか⁉︎(驚愕マリア嬢)」
「うん、マリア嬢、久しぶりだね‼︎(微笑み殿下)」
ーーちなみに、マリア嬢と殿下は旧知の仲だぞ‼︎ーー
「マーキュリー殿下、お久しぶりですわ!」
「久しぶり、マリア嬢! 最近は殆ど交流がなかったからね。……マリア嬢、以前よりも丸くなって可愛らしいな。(マリア嬢の手の甲に口付けるマーキュリー殿下)」
「ーーーーっ‼︎(顔を赤らめるマリア嬢)」
『……。(コロス! 僕のマリア嬢を口説こうとしている時点で敵確定だ‼︎ スピカ総出でアデル全土を焼け野原にしてやる‼︎ 目がイッてるどす黒魔王殿下)』
「待て待てパトリック、落ち着くのだ!(パトリック殿下とマーキュリー殿下の間に入るサネユキ)」
「そうですよ、パトリック殿下。相手は魔法大国の皇太子ですよ‼︎ 今トラブルを起こしちゃったら大変なことになりますって‼︎(霊力でパトリック殿下を止めるノア)」
「うん? ああ、ごめんね! ほら、レディに会ったら接吻するのって礼儀でしょ? トルネードでは違うんだっけ?(空気読めないマーキュリー殿下)」
「(ボソッと)アデルでも接吻なんてしませんがね。」
「んん? 何か言ったかな、ツクヨミくん?」
「いえ、なんでもないです。(トホホ)」
「まあいい。……パトリック殿下は君かな?(サネユキの肩からひょっこり顔を出すマーキュリー殿下)」
『そうだけど、……貴殿は僕のこと、視えるんだね。』
「うん、僕もツクヨミも、いろいろな敵を想定して訓練しているから、簡単な霊力は身につけているんだ!」
『それで、……なんでわざわざここへ来たの?』
「それは、エドワードに頼まれたこともあるんだけどね。(ガバッと床に正座して)此度は、エドワードにマーズ、ツクヨミを助けてくれて本当にありがとうございました‼︎ このご恩は一生忘れません‼︎(床に頭を擦り付けるように土下座するマーキュリー殿下)」
「ありがとうございました‼︎(マーキュリー殿下に続いて土下座するツクヨミ)」
『…………ほえっ?(きょとん殿下)』
「(顔をあげて)……実は僕も、あの日現場にいたんだ。……かなり上空から見てたから、多分気づいてないと思うけれど。……新型爆弾投下による周囲の影響のデータを取ることに精一杯で、みんなのこと、助けられなかった。……皇太子失格だよね。(うるうるマーキュリー殿下)」
『いや、皇太子が出る幕でもないと思うけど。』
「パトリック殿下、……君の決死の行動は、今まで見たことがない。君が国王になれば、トルネードは安泰だな。」
『国王になるつもりは一切ないけどね。(僕にはマリア様の夫という大事な役割があるから、まるっとお断りさ!)』
「ということで、君達の活動は、僕達の魔法省第壱が全面的にバックアップするつもりだから、よろしく‼︎」
『…………はあ。(きょとんパトリック殿下)』
「……。(うわー、パトリック殿下、全然やる気ない‼︎)」
「…………。(様子見だな。 慎重サネユキ)」
「じゃあ、早速、パトリック殿下の魂を本体に戻そうか‼︎(立ち上がるマーキュリー殿下)」
『ーーーーっ‼︎ それに関して、エドワード・ロックは何て言ってたの?(興味津々殿下)』
「それは、…………マリア嬢以外には秘密なんだ‼︎」
『「「「ーーーーっ⁉︎」」」』
「マーキュリー殿下、どういうことですの?」
「詳細は後でね‼︎ ……ツクヨミ、先に、報告書を。」
「はい。(サネユキに分厚い紙の束を渡して)……新型爆弾投下後、トルネード王国第一王子マーズ殿下は、お師匠様の本体を抱えて、トルネード王国王城へと入城しました。(淡々と説明するツクヨミ)」
『「「「ーーーーっ⁉︎」」」』
「約三週間後に、トルネード王国王城にて、仮面舞踏会が開かれます。……一般人も参加可能ですので、第三王妃陛下を救出するには、この日が無難かと思います。」
「トルネードの王城は、魔石で作られた部屋があるから、エドワードはおそらく自然治癒を促進させる為に、王城を指定したんじゃないかな。……そんでもって、ついさっき、テレパシーで連絡がきたんだけど、『第三王妃陛下の救出に協力しろ。』って言われてさ。……第三王妃陛下は、中枢部から煙たがられているみたいだね。陛下の身の安全は、アデルが責任を持って確保するよ。」
「国境沿い付近の爆弾の影響は今のところ確認されておりませんが、近くに住んでいる住民の噂によると、ここ一週間で、『幽霊を見た‼︎』という目撃情報が多発しています。……僕達は、霊力に関してはそれほどですので、協力していただくと助かります。(頭を下げるツクヨミ)」
『サネユキ……。(アイコンタクト殿下)』
「了解。……私の班を派遣しよう。(神妙サネユキ)」
「ありがとう、助かるよ。……魔法は、幽霊さんには一切効かないからね。……それじゃあ、マリア嬢以外は全員、出て行って貰おうか‼︎(パチンと指を鳴らして、魔法を発動。サネユキ、ノア、霊魂パトリック殿下にツクヨミを部屋の外へ追い出すマーキュリー殿下)」
「「「「『ーーーーっ⁉︎』」」」」
ーーマリア嬢以外の全員は華麗に追い出された‼︎ーー
「ーーーーっ⁉︎(これが魔法の力ですの?)」
「それじゃあ、マリア嬢。二週間で出来るようにするよ‼︎」
「……で、ですが、マーキュリー殿下。(困り眉)」
「うん、どうした?」
『(扉の向こう側から)開けろー‼︎ マリア様に何をする気だー‼︎ マリア様を解放しろー‼︎(絶叫しながら扉をバンバン叩くパトリック殿下)』
「パトリック様が可哀想ですわ。(くうーーん。)」
「……大丈夫。不埒なことは一切しないから。二人を引き離すことは絶対にないよ。(誠実マーキュリー殿下)」
「…………。(マーキュリー殿下の目は真実ですわね。)」
「本当は、三年かかるところを二週間でしなきゃいけないから、マリア嬢にはキツイかもしれないけど、パトリック殿下を元に戻すには、これしか無いからね。信じてほしい。」
「……わかりました。パトリック様のためなら、私、火の中、水の中、なんでもやってみせますわ‼︎」
「よしっ! その意気だ‼︎ 時間がないから急ぐよ‼︎」
「ラジャーですわ‼︎」
ーーかくして、二人の謎の特訓が始まった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーー二週間後。ーー
「……パトリック殿下、気を取り直してくださいよ。」
「そうだぞ、パトリック。……もうじき、マリア嬢も出て来てくれるはずだ。(困り眉サネユキ)」
『…………。(ぽかーんと口を開けて灰になってる殿下)』
「マリア様、……お食事も取られずに、ずっと引き込まれて、……健気すぎますわ!(事情を知らないオリビア)」
「着ぐるみのお姉ちゃんがいないと、何だか寂しいでちゅね。(オリビアの横でお水をチビチビと飲むアルト)」
「あっう、うー‼︎(マリア様に早く会いたいのだ!)」
ーーと、霊魂パトリック殿下がいきなり消失した‼︎ーー
「「ーーーーっ⁉︎」」
ーーサネユキとノアは走り出す‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここはパトリック殿下が安置されているお部屋。ーー
「(バンッと扉を開けて)パトリック⁉︎(焦りサネユキ)」
「パトリック殿下ー‼︎(サネユキに続くノア)」
ーーそこには、疲れ果てて眠っているマリア嬢と、マリア嬢の頭を撫で撫でしている本体パトリック殿下がいた‼︎ーー
「「ーーーーっ⁉︎(戻ったのか⁉︎)」」
「ふふふ、間に合って良かったよ。……じゃあ、僕はこれで。(パチンと指を鳴らして消えるマーキュリー殿下)」
「…………パトリック。(信じられないサネユキ)」
「うん、……よくわからないけど、元に戻ったみたいだね。(マリア嬢に再会できて嬉しい殿下)」
「……あの、殿下の額に、マークってついていましたっけ?(不思議そうに見るノア)」
「マーク? 確かにパトリックの額に何か描かれているな。見たところラーズベルト公爵の家紋のようだが。」
「ーーーーっ‼︎ そういうことか。(納得殿下)」
「うん? どうした、パトリック?」
「……奴隷紋だよ、サネユキ。」
「ーーーーっ‼︎ そうか、それならっ……‼︎」
「……? どういうことですか?(きょとんノア)」
「死ぬまでマリア様と一緒ってことだよ。……ありがとう、マリア様。(目に涙を溜めてマリア嬢を抱きしめる殿下)」
「……むにゃむにゃ。……あん、ぱん……。(夢見心地で、ニマニマしているマリア嬢)」
「…………。(どんな夢を見てるの⁉︎)」
「……ノア、行こうか。(空気を読むサネユキ)」
「そうですね……。(同じく空気を読むノア)」
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イラストは友人のしーなさんに描いていただきました!!
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彼女が胸に抱く本は、世界を股に掛ける小説作家クリンゲル・ホームズ氏 著書の『悪役令嬢は能無し婚約者に印籠を渡す』という大衆小説であり、なけなしのお金をはたいて購入した彼女の大切な宝物だった。
「あら、あの子は……。(ジト目)」
……一心不乱に憧れを追いかけ回す彼女には、密かに舌舐めずりする公爵令嬢の重たい思いに気づく暇はなかったのであった。
※大幅な加筆修正を行いました。(2023.08.19〜09.07)
※ 続編を連載中です。
※本編より、自作小説『断罪裁判は蜜の味』の一部キャラクターが登場します。
※続編より、自作小説『灰かぶり姫と月の魔法使い』の一部キャラクターが登場します。
※尚、本作品と自作の他作品の世界は全て繋がっており、時系列もほぼほぼ一致しております。(多少のズレはあります。)
※アプリで閲覧される際は縦読み推奨です。
※予告なく加筆修正致します。
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