断罪裁判は蜜の味

星 佑紀

文字の大きさ
上 下
11 / 13
第参譚

0010:わくわくアデル皇国編‼︎ 其弐

しおりを挟む
 ーー二人リリアナ嬢とベル殿下のアデル皇国滞在二日目。ーー

 ーーここは、アデル皇国宮殿『謁見の間』。ーー


「ベル殿下、リリアナ嬢、よくぞ来られた。(微笑み)」

「……陛下、お久しぶりでございます。(深く礼)」

「…………。(ベル殿下に合わせて深く礼)」

「そして、レオ殿、…………マーキュリーとマーズ殿下を引き合わせてくれて、本当にありがとう。…………少々拗らせているみたいだがな。(苦笑い)」

「陛下、……幼馴染である二人が結ばれて、僕も心底嬉しい限りでございます。(深く礼)」

「……君達が呼べば、じきに二人も出てくるであろう。……何もないが、ゆっくりしていってくれ。」

「ありがとうございます。(三人で深く礼)」



 ◇  ◇  ◇



 皆様ごきげんよう。ベル殿下及びレオ兄様と一緒に、アデル皇国宮殿へとやってきた、リリアナ・ヘレンですわ!

 現在、皇帝陛下への謁見を済ませて、マーキュリー殿下の自室の前へと訪れたのですが、……正直な話、緊張しております。(そわそわ)一週間ほど、お部屋に篭り切っているとのことですが、マーキュリー殿下は大丈夫なのでしょうか。


「……じゃあ二人とも、早速だけど開けてみるね。」

「頼みます、兄さん。」

「…………。(激しく頷くリリアナ嬢)」


 コンコンコンコン!


「マーキュリー、マーズ、今から入るよー!(大声)」


 ガチャっ


 扉の向こう側には、昔と同じ内装が広がっており、淡い懐かしさを感じます。恐る恐る入ってみますと、……奥の寝室の方に、何やら人影が‼︎ ビビりな私に構わず、ベル殿下とレオ兄様は、ズンズンと進んで行かれました。(大汗)


「マーズ、いるか‼︎」

「うん? ……私はここにいるぞ?(きょとん)」


 どうやらマーズ殿下は、マーキュリー殿下の寝室にいらっしゃるようです。(ひょええええ⁉︎)

 ベル殿下達の後に続いて、マーキュリー殿下の寝室を覗くと、……マーズ殿下と、マーズ殿下のお膝でスピスピと眠っていらっしゃるマーキュリー殿下が、ベッドの上にいらっしゃったのでした。(滝のような汗)


「ここで何をしている⁉︎」

「……マーキュリーを寝かしつけているが、それがどうしたのだ?(きょとん)」

「マーズ、見損なったぞ! マーキュリーに手を出すなんて!(プンスカするレオ)」

「何のことだ?(きょとん)」

「とぼけても無駄だぞ! ……一週間、一歩もここから出なかったみたいじゃないか! …………き、既成事実なんて、早すぎるよ!(赤面)」

「…………マーキュリーが自殺しようとするのを必死で止めていただけなのだが。(きょとん)」

「「「ええええええ⁉︎」」」

「そ、それじゃ、既成事実とかは……。」

「私はそのような無責任なことなどしないぞ。……結婚式を挙げてから、堂々とやる!(ドヤ)」

「そ、そう。(ほっと一安心するレオ)」

「……マーズ、久しぶりだな。」

「おおっ、ベルとリリアナ嬢じゃないか! 久しぶりだな!(爽やかな笑顔)」

「お久しぶりです、マーズ殿下。(深く礼)」

「ああ、……私はもう廃嫡したから、殿下呼びしなくていいぞ。これからは、マーキュリーのただの夫だ!(ドヤ)」

「そ、そうですか。(大汗を拭きまくるリリアナ嬢)」

「マーズ、……何故、マーキュリーが自殺しようとしたんだ?(険しい表情のレオ)」

「ああ、……宮殿に帰って来たら、マーキュリーの正気が戻ってしまってな。半狂乱になって死のうとするから、ここでバトルしまくってたんだ。(じっとりとした眼差し)」

「そ、そう……。(ここでバトル⁉︎)」

「少し前にやっと眠ってくれたから、……我流にはなるが、を施してみた!(爽やか笑顔)」


 ど、ですって⁉︎ 恐る恐るマーキュリー殿下の額をよく見てみますと、確かに、マーズ殿下のが刻まれていらっしゃるではありませんか⁉︎


「……マーズ、どうやったんだよ⁉︎(ドン引き)」

「ああ、……ちょっと意識朦朧としているマーキュリーに、やり方を教えてもらった!(曇りの無い笑顔)」

「ーーーーっ‼︎(ドン引きなレオ)」

「これで、マーキュリーは自殺できないし、私が死ぬときに、マーキュリーも一緒に死ぬから、一石二鳥だ!」

「…………なんか、二人とも大丈夫そうでよかったよ。」

「ああ、レオには一番心配かけたな。」

「ほんとに心配したんだからね!(ビシッと)」

「ありがとな。……マーキュリーも、もう少しで目醒めると思うから、三人も、応接間の方でゆっくりしていてくれ。」

「うん。……そういえばマーズってさ、霊力使えたよね?」

「……少しだけだが。……何かあったのか?」

「(おもむろに小包を取り出して)これなんだけどさ、何か見覚えとかないかな?」

「うん?(レオから小包を受け取って)……これは!(目をピカッと光らせる)」


 マーズ殿下は、受け取った小包を無造作に破いて、中身であるを取り出されました。そして、何やら瞳孔をピカッと光らせると、どういうことなのでしょう? が形を変えて、一つのへと変容したのです!(ガクブル)


「「「ええええええ⁉︎」」」

「ありがとう、レオ。……丁度拘束具が欲しかったんだ。(にこやかなマーズ殿下)」


 マーズ殿下は嬉しそうに、その首輪をカチャカチャ鳴らしながら、マーキュリー殿下の首に装着されたのでした。


「マーズ、それ、…………の、呪いだよ?(ドン引き)」

「ああ、そうだが、…………ちょっとを変えると、いい感じの霊具に早変わりだ!(爽やかな笑顔)」

「………………リア、大事な証拠が無くなってしまったな。(ピシッと石化するベル殿下)」

「そ、そうですわね。(マーズ殿下、怖すぎですわ!)」

「……今までマーキュリーに『記憶の干渉』をされてて、ずっとエドワードにべったりだったから、マーキュリーに贈り物をしたことがないのだ。……やはり結婚が決まったらお祝いに何かあげたくてな。(頬を赤らめるマーズ殿下)」

「ち、ちなみに、その首輪って、ごく普通の物なのかな?(ドン引きレオ)」

「うん? 私と離れられないように小細工してあるぞ。」

「ーーーーっ!(目が飛び出るレオ)」

「当たり前だろう? 私の知らないところで、人付き合いをしていたらしいからな。……必ず私のところに帰ってくるように今から躾けないといけないと思っているんだ。(爽やかな笑顔)」

「そ、そう。(笑顔なのが余計に怖いよー!)」

「れ、レオ兄様、マーキュリー殿下にたくさんの小説をプレゼントしていますので、マーキュリー殿下が目覚めるまで、その小説を読んで待っていましょうよ!(きゅるるん)」


 私はこの場から逃げたいあまりに、それとなくレオ兄様に助け船を出しました。


「おっ! いいね、いいね!(助かったー。)」

「………………悪いが、贈り物の数々は全て灰と化したよ。(爽やかな笑顔で三人を凍らせるマーズ殿下)」

「「「ーーーーっ⁉︎」」」

「……マーキュリーに近寄ってくるどもから、マーキュリーを守らなくてはいけないからね。(笑っているけど目は笑っていないマーズ殿下)」

「ゴミ虫……私は、ゴミ虫。(マーズ殿下の言葉がショックで泡を吹いて倒れるリリアナ嬢)」

「リアーーーーっ!(リリアナ嬢を支えるベル殿下)」

「ちょっとマーズ、それは言い過ぎだよ!」

「リリアナ嬢じゃない。……ずっと、マーキュリーに群がっていた輩どものことだ。(真っ黒マーズ殿下)」

「「ーーーーっ⁉︎」」

「……とりあえず、リリアナ嬢もお昼寝中だし、二人も、応接間で休んでいてくれ。(にっこり)」

「あ、ああ。(怖ええ、マーズ怖ええ。)」

「リアを寝かしたいから、……そ、ソファ借りるな。」

「ああ、……二人とも、……今日はわざわざ来てくれてありがとな。(爽やか真っ黒マーズ殿下)」


「「………………。」」


 ーーマーキュリー殿下とリリアナ嬢の運命は如何に‼︎ーー
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

ヤンデレ王子とだけは結婚したくない

小倉みち
恋愛
 公爵令嬢ハリエットは、5歳のある日、未来の婚約者だと紹介された少年を見てすべてを思い出し、気づいてしまった。  前世で好きだった乙女ゲームのキャラクター、しかも悪役令嬢ハリエットに転生してしまったことに。  そのゲームの隠し攻略対象である第一王子の婚約者として選ばれた彼女は、社交界の華と呼ばれる自分よりもぽっと出の庶民である主人公がちやほやされるのが気に食わず、徹底的に虐めるという凄まじい性格をした少女であるが。  彼女は、第一王子の歪んだ性格の形成者でもあった。  幼いころから高飛車で苛烈な性格だったハリエットは、大人しい少年であった第一王子に繰り返し虐めを行う。  そのせいで自分の殻に閉じこもってしまった彼は、自分を唯一愛してくれると信じてやまない主人公に対し、恐ろしいほどのヤンデレ属性を発揮する。  彼ルートに入れば、第一王子は自分を狂わせた女、悪役令嬢ハリエットを自らの手で始末するのだったが――。  それは嫌だ。  死にたくない。  ということで、ストーリーに反して彼に優しくし始めるハリエット。  王子とはうまいこと良い関係を結びつつ、将来のために結婚しない方向性で――。  そんなことを考えていた彼女は、第一王子のヤンデレ属性が自分の方を向き始めていることに、全く気づいていなかった。

転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!

高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。

無理やり婚約したはずの王子さまに、なぜかめちゃくちゃ溺愛されています!

夕立悠理
恋愛
──はやく、この手の中に堕ちてきてくれたらいいのに。  第二王子のノルツに一目惚れをした公爵令嬢のリンカは、父親に頼み込み、無理矢理婚約を結ばせる。  その数年後。  リンカは、ノルツが自分の悪口を言っているのを聞いてしまう。  そこで初めて自分の傲慢さに気づいたリンカは、ノルツと婚約解消を試みる。けれど、なぜかリンカを嫌っているはずのノルツは急に溺愛してきて──!? ※小説家になろう様にも投稿しています

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

甘すぎ旦那様の溺愛の理由(※ただし旦那様は、冷酷陛下です!?)

夕立悠理
恋愛
 伯爵令嬢ミレシアは、恐れ多すぎる婚約に震えていた。 父が結んできた婚約の相手は、なんと冷酷と謳われている隣国の皇帝陛下だったのだ。  何かやらかして、殺されてしまう未来しか見えない……。  不安に思いながらも、隣国へ嫁ぐミレシア。  そこで待っていたのは、麗しの冷酷皇帝陛下。  ぞっとするほど美しい顔で、彼はミレシアに言った。 「あなたをずっと待っていました」 「……え?」 「だって、下僕が主を待つのは当然でしょう?」  下僕。誰が、誰の。 「過去も未来も。永久に俺の主はあなただけ」 「!?!?!?!?!?!?」  そういって、本当にミレシアの前では冷酷どころか、甘すぎるふるまいをする皇帝ルクシナード。  果たして、ルクシナードがミレシアを溺愛する理由は――。

【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい

小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。 エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。 しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。 ――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。 安心してください、ハピエンです――

ヤンデレ幼馴染が帰ってきたので大人しく溺愛されます

下菊みこと
恋愛
私はブーゼ・ターフェルルンデ。侯爵令嬢。公爵令息で幼馴染、婚約者のベゼッセンハイト・ザンクトゥアーリウムにうっとおしいほど溺愛されています。ここ数年はハイトが留学に行ってくれていたのでやっと離れられて落ち着いていたのですが、とうとうハイトが帰ってきてしまいました。まあ、仕方がないので大人しく溺愛されておきます。

処理中です...