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第弐譚
0005:わくドキ結納儀式‼︎ 起
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ーーマーキュリー殿下が帰って六日後。ーー
「これより、ランドット王国第一王子ベル殿下及び、リリアナ・ヘレン公爵令嬢の結納儀式を執り行う――。」
皆様ごきげんよう。
ベル殿下の婚約者であるリリアナ・ヘレンです。
本日は、初めての結納儀式ということで、昨日の夜からとても緊張しております。会場である王の間には、ベル殿下のご家族である王族ナユタ家の方々と、私の家族ヘレン家一同が、長い机を挟んで対峙しておりました。
そしてその中に、リノン男爵令嬢セラ・リノン様もいらっしゃったのです。
「ロバート殿下、いつ結納儀式とやらは終わるのですか?(きゃぴきゃぴ)」
「書類にサインするだけだから、すぐ終わるはずだぞ。(鼻の下伸ばしてる)」
「でんかー、目の前のヘレン家の方々が、私のことをすっごく睨んできて、怖いですー。(ウルウル)」
「そうだな。私が言っておいてやろう。……おい、ヘレン家の落ちぶれ貴族ども、俺の愛しいセラ嬢を睨むとはなんと無礼な。身の程をわきまえろ‼ 負け犬め‼」
……しょっぱなから暗雲が立ち込めていますね。まさか第二王子のロバート殿下がセラ様を連れてこられるだなんて、思ってもみませんでしたわ。
「国王陛下、何故、此度の儀式には一切関係の無いリノン男爵令嬢が王族の席に座っているのですか?(不機嫌)」
私の父、ヘレン公爵が国王陛下へズバッと問いかけられました。丁度、私も質問しようと思っていましたので、一石二鳥ですわ!
「いや、わしもわからん。……近衛兵を呼んで一度外に退出させたが、いつの間にかロバートの隣に戻ってきている。……この結納儀式は門外不出の大事な儀式だから、セラ嬢がここにいると、始めたくても始められん。一体、どうすれば、彼女をここから締め出すことができるのだろうか?」
常に冷静沈着な国王陛下が、とても困っていらっしゃいます。こ、これは、悪役令嬢を目指す私の見せ所ではないのでしょうか!
「国王陛下、私にお任せください。(立ち上がって)……セラ・リノン男爵令嬢、ここは、貴女が立ち入っていい場所ではありません。今すぐここから出ていきなさい‼(怖い顔)」
決まりましたわ‼ これで、セラ様も驚かれて逃げてしまわれるのではないのでしょうか。
「えーーん、ベルでんかー‼ ヘレン公爵令嬢様がわたしのことをいじめてきますー。(泣) たすけてくださいよーー。(ウルウル涙でベル殿下にべったり)」
……私の予想と反して、セラ様は、ベル殿下の方へと泣きつきに行かれてしまいましたわ。(遠い目)
とても、素晴らしいハートといいますか、ガッツといいますか、根性をお持ちのようですね。あまりにも堂々とされていますので、却って、セラ様が正しいように思えてくるのが不思議です。ちなみに、ベル殿下はセラ様に抱き着かれて相当嫌だったのか、セラ様のお手が触れた上着を秒で脱いで、お召し物を着替える為にお席を立たれました。
「……お前、もしかして、ベル兄さんと上手くいっていないのか?」
近くにいたロバート殿下が、暇そうに見えるのか、私に話かけてきます。上手くいくいかないの前に、セラ様の暴走を止めるのが、恋人であるロバート殿下のつとめではないのでしょうか。
「まあ、お前がベル兄さんに捨てられたら、俺の愛人にしてやってもいいぞ。(にやにや)」
「……謹んでお断りですわ。(微笑)」
「――っ、この高慢ちき女が‼(睨)」
「そうです、私はひどい女なのです。……だから、私にわざわざ構う必要はないのですよ、ロバート殿下。(微笑)」
「お前はっ、――いつもそうやって、この俺を見下して、馬鹿にしているんだろ⁉ やっぱり、お前をもっとひどい拷問にかけて国外追放にすればよかったんだ‼」
「……だれを拷問にかけて国外追放するんだ?」
背後から地を這うようなおそろしい声が聞こえてきましたので振り返ってみますと、そこには新しいお召し物に着替え終わったベル殿下が魔王様の風体で佇んでおられたのです!
「べ、ベル兄さん。(怯えて後ずさり)」
「ロバート、……身の程をわきまえた発言を心掛けないと、いずれ、お前の周りにいる仲間達は離れていくぞ。」
「は、はい‼ ベル兄さん‼」
「そして、お前がセラ嬢と将来を共にするという覚悟があるのなら、彼女に令嬢としての教育を施しなさい。彼女があの無礼な態度を改めないのならば、お前に新しい婚約者を用意するからな。(圧力)」
「はい、ベル兄さん‼(汗)」
「私たちはこれから、大事な結納の儀式がある。ロバート、お前に重大な仕事を任せたい。」
「な、なんですか、ベル兄さん。(ゴクリ)」
「セラ嬢を連れて、島国ニホン帝国へと渡り、結婚成就のお守りをもらってきてほしい。」
「わかりました、ベル兄さん。セラ嬢を連れてニホン帝国へ行ってきます‼」
ロバート殿下は付近でキャピキャピしていらっしゃるセラ様の手を引いて、扉の外へと出ていかれたのでした。
「リア、……やっと、邪魔者がいなくなったね。」
にっこりと笑うベル殿下は、まるで地を焼き尽くす魔王様のようでございました。(汗)
「これより、ランドット王国第一王子ベル殿下及び、リリアナ・ヘレン公爵令嬢の結納儀式を執り行う――。」
皆様ごきげんよう。
ベル殿下の婚約者であるリリアナ・ヘレンです。
本日は、初めての結納儀式ということで、昨日の夜からとても緊張しております。会場である王の間には、ベル殿下のご家族である王族ナユタ家の方々と、私の家族ヘレン家一同が、長い机を挟んで対峙しておりました。
そしてその中に、リノン男爵令嬢セラ・リノン様もいらっしゃったのです。
「ロバート殿下、いつ結納儀式とやらは終わるのですか?(きゃぴきゃぴ)」
「書類にサインするだけだから、すぐ終わるはずだぞ。(鼻の下伸ばしてる)」
「でんかー、目の前のヘレン家の方々が、私のことをすっごく睨んできて、怖いですー。(ウルウル)」
「そうだな。私が言っておいてやろう。……おい、ヘレン家の落ちぶれ貴族ども、俺の愛しいセラ嬢を睨むとはなんと無礼な。身の程をわきまえろ‼ 負け犬め‼」
……しょっぱなから暗雲が立ち込めていますね。まさか第二王子のロバート殿下がセラ様を連れてこられるだなんて、思ってもみませんでしたわ。
「国王陛下、何故、此度の儀式には一切関係の無いリノン男爵令嬢が王族の席に座っているのですか?(不機嫌)」
私の父、ヘレン公爵が国王陛下へズバッと問いかけられました。丁度、私も質問しようと思っていましたので、一石二鳥ですわ!
「いや、わしもわからん。……近衛兵を呼んで一度外に退出させたが、いつの間にかロバートの隣に戻ってきている。……この結納儀式は門外不出の大事な儀式だから、セラ嬢がここにいると、始めたくても始められん。一体、どうすれば、彼女をここから締め出すことができるのだろうか?」
常に冷静沈着な国王陛下が、とても困っていらっしゃいます。こ、これは、悪役令嬢を目指す私の見せ所ではないのでしょうか!
「国王陛下、私にお任せください。(立ち上がって)……セラ・リノン男爵令嬢、ここは、貴女が立ち入っていい場所ではありません。今すぐここから出ていきなさい‼(怖い顔)」
決まりましたわ‼ これで、セラ様も驚かれて逃げてしまわれるのではないのでしょうか。
「えーーん、ベルでんかー‼ ヘレン公爵令嬢様がわたしのことをいじめてきますー。(泣) たすけてくださいよーー。(ウルウル涙でベル殿下にべったり)」
……私の予想と反して、セラ様は、ベル殿下の方へと泣きつきに行かれてしまいましたわ。(遠い目)
とても、素晴らしいハートといいますか、ガッツといいますか、根性をお持ちのようですね。あまりにも堂々とされていますので、却って、セラ様が正しいように思えてくるのが不思議です。ちなみに、ベル殿下はセラ様に抱き着かれて相当嫌だったのか、セラ様のお手が触れた上着を秒で脱いで、お召し物を着替える為にお席を立たれました。
「……お前、もしかして、ベル兄さんと上手くいっていないのか?」
近くにいたロバート殿下が、暇そうに見えるのか、私に話かけてきます。上手くいくいかないの前に、セラ様の暴走を止めるのが、恋人であるロバート殿下のつとめではないのでしょうか。
「まあ、お前がベル兄さんに捨てられたら、俺の愛人にしてやってもいいぞ。(にやにや)」
「……謹んでお断りですわ。(微笑)」
「――っ、この高慢ちき女が‼(睨)」
「そうです、私はひどい女なのです。……だから、私にわざわざ構う必要はないのですよ、ロバート殿下。(微笑)」
「お前はっ、――いつもそうやって、この俺を見下して、馬鹿にしているんだろ⁉ やっぱり、お前をもっとひどい拷問にかけて国外追放にすればよかったんだ‼」
「……だれを拷問にかけて国外追放するんだ?」
背後から地を這うようなおそろしい声が聞こえてきましたので振り返ってみますと、そこには新しいお召し物に着替え終わったベル殿下が魔王様の風体で佇んでおられたのです!
「べ、ベル兄さん。(怯えて後ずさり)」
「ロバート、……身の程をわきまえた発言を心掛けないと、いずれ、お前の周りにいる仲間達は離れていくぞ。」
「は、はい‼ ベル兄さん‼」
「そして、お前がセラ嬢と将来を共にするという覚悟があるのなら、彼女に令嬢としての教育を施しなさい。彼女があの無礼な態度を改めないのならば、お前に新しい婚約者を用意するからな。(圧力)」
「はい、ベル兄さん‼(汗)」
「私たちはこれから、大事な結納の儀式がある。ロバート、お前に重大な仕事を任せたい。」
「な、なんですか、ベル兄さん。(ゴクリ)」
「セラ嬢を連れて、島国ニホン帝国へと渡り、結婚成就のお守りをもらってきてほしい。」
「わかりました、ベル兄さん。セラ嬢を連れてニホン帝国へ行ってきます‼」
ロバート殿下は付近でキャピキャピしていらっしゃるセラ様の手を引いて、扉の外へと出ていかれたのでした。
「リア、……やっと、邪魔者がいなくなったね。」
にっこりと笑うベル殿下は、まるで地を焼き尽くす魔王様のようでございました。(汗)
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