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第参譚

0018:集結

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 パァーーーー


 シュバッ


 ドタバタバタッ



 皆さん、どうもこんばんは。ツクヨミさんと一緒にアデル皇国の魔法省(?)まで移動してきました灰かぶりです。



「ツクヨミさん、……ここがマーズ殿下の仰っていらした魔法省なのですか?」


「そうだよ。ここが、魔法大国アデルの誇る、第一魔法省『イリアルテ』さ‼」


「イリアルテ?」


「そう! 魔法省のならわしで、各建物には人名を付けるようにしているんだよ‼」


「……とても良い名前ですね。(にこにこ)」



 私は、イリアルテの中を見渡しました。

 白い壁に吹き抜けの天井、真夜中なのにキラキラと輝くステンドグラス、……まるでおとぎ話に紛れ込んだ気持ちになります。父も、ここで、お仕事をしていたのだと思うと、胸の奥がほんのりとあたたかくなりました。



「ツクヨミさん、こんなに美しい場所があるのですね。(うっとり)」


「えへへ、ここの設計は僕が担当したんだ!……気に入ってくれて、本当によかった。」



 ツクヨミさんは嬉しそうに言いながら、身に着けていた髪飾りを外しました。……私の幻の人魚姫がーーーーっ‼



「ツクヨミさん、何故髪飾りを外すのですか?」


「えっ? だって、帰ってきたから普段着に着替えようと……。」


「駄目です‼ せっかく美しいのに、勿体ないではありませんか‼」


「いや、僕はれっきとした男……。」


「女とか男とかは関係ありません‼ 生まれ持った美貌は存分に発揮しましょう‼」


「は、恥ずかしいよ、灰かぶり姫。(困り眉)い、今からたくさん同僚達がやってくるんだよ?(顔を真っ赤にしてもじもじしている)」


「……わかりました。ドレスは脱いでもいいでしょう。……ですが、髪の毛のセットとローブは私にお任せてください‼」


「えええええええ⁉(汗)」



 私は無防備なツクヨミさんのドレスに手をかけて、にっこりと笑いかけるのでした。



 ◇  ◇  ◇



「僕、もうお嫁に行けない‼(赤面)」


「大丈夫です、ツクヨミさん。私が代わりにもらいますから。(幻の人魚姫を)」


「お師匠様ー、助けてーーっ‼」



 私は、ツクヨミさんの着替えを一部始終手伝わせていただきました。ついでに普段着用されているローブへ簡単なアレンジを施し、髪の毛も今風にセットさせていただきました。継母様おかあさま達のお手伝いをしてきて、本当によかったですわ‼



「恥ずかしすぎる。同僚たちがこの格好を見たら、どう思うのだろう?(困り眉)」


「全然おかしくありませんよ、ツクヨミさん。私を信じてください。(にっこり)」


「灰かぶり姫。(ウルウル)……せめて前髪だけ元に戻しちゃ駄目?」


「駄目ですわ‼ 折角の美しいお顔をお隠しになさるのでしょう? 却下なのです‼」


「……だって、僕の、皆から怖がられているから……。(もじもじ)」


「色の違う瞳がですか?(キョトン)」


「う、うん。(しゅん)」


「……美しいですよ、ツクヨミさんの瞳。」


「えっ?(顔を上げて灰かぶりを見る)」


「私は、ツクヨミさんの瞳、とても綺麗で大好きですよ。もっと自信を持ってください。」


「う、うん。(頬を赤くして目を潤ませる)」



 ツクヨミさんは、ご自身の美貌に何かしらのコンプレックスをお持ちのようですね。この、継母様おかあさま達から長年鍛えられてきた私が、ツクヨミさんの魔法使いになって差し上げますわ‼



「……あっ、灰かぶり姫、ここの責任者が来たよ!」



 ツクヨミさんが私の背後を指さしているので、振り返ってみますと、そこには、皇国新聞で度々お目にかかる超絶有名人が、カツカツと靴を鳴らして、こちらの方へと歩いてこられているところでした。

 ルビーのように赤い瞳、短く切り揃えられたシルバーブロンドの髪の毛、細くてしなやかな肢体、……白馬に乗った王子様そのものでございますわ。



「灰かぶり姫、魔法省を管轄している、アデル皇国皇太子マーキュリー殿下だよ‼」


「ようこそ、。こんな夜更けにわざわざ来てくれてありがとう。(にっこり)」


「で、殿下、初めまして。ルナ・ロックと申します。ど、どうぞ、よろしくお願いいたします。(深く礼)」


「あはは、こちらこそ、よろしくね! ……それと、僕のことはマーキュリーって呼んでほしいな。」



 マーキュリー殿下は、私の右手を取って、手の甲へと口づけをされるのでした。



「――――っ‼(衝撃)」


「あーっ! マーキュリー殿下、いけません! お師匠様に怒られちゃいますよ‼」


「……エドワードは今、深い眠りについているから大丈夫だ。(灰かぶりの手を握りしめて)」


「灰かぶり姫、殿下にだまされちゃ駄目だからねっ‼ 殿下はこう見えて、性別は女性だから、本気で好きになったら悲しい思いをするんだからねっ‼(ベリっと二人を剥がす)」


「じょ、女性なのですか⁉」


「うん。僕はとある理由で、身体は女だけれど、男の恰好をしているんだよ。(ウインク)」


「美しい、男装の麗人様、なのですね。(うっとり)」


「灰かぶり姫、駄目だよっ‼ 絶対、殿下に必要以上に近寄ったら痛い目みるんだからね‼(マーキュリー殿下と灰かぶりとの間に入る)」


「……ツクヨミが人間に執着しているのは珍しいな。(独り言)」



 シュパッ


 ストンッ


「ツクヨミに灰かぶり姫に、……マーキュリーも揃ったか。」


「マーズ殿下⁉」



 私は、目の前にマーズ殿下とお姫様抱っこされた父がシュパッと現れたので、とてもびっくりしました。



「マーズ、遅いじゃないか!」


「……いろいろあったんだよ。」



 父を長椅子の上におろして、マーズ殿下は応えられました。



「三人とも、疲れているかもしれないが、至急、緊急会議を行うぞ。」



――アデル側陣営はこうして集結したのであった。――
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